【解説】定年延長に対する全国の対応
(解説 2023-04-13付)

 定年引き上げの経過措置によって隔年で退職者数が変動する中、3分の2の都道府県教委が6年度の新規採用教員の平準化を図る見通しであることが全国都道府県教育長協議会の調査で分かった。60歳以降の職員が一度退職した上で短時間勤務に移行する「定年前再任用短時間勤務制」に関してはほぼ全ての都道府県で導入予定となっている。

 法改正に伴い公務員の定年は60歳から65歳まで段階的に引き上げとなり、60歳以降の職員に適用される制度は大きく変化。調査は47都道府県教委を対象に、制度の今後の枠組みや国への要望に役立てるため実施。調査期間は4年7月27日~8月29日。

 管理監督職勤務上限年齢制(60歳に達した管理監督職の職員は管理監督職以外の職に降任する制度)による降任等の特例(特例任用)については、7割の都道府県が「導入しない」と回答。導入予定の自治体では「新設や統廃合に係る地域との調整など特定の事業を継続する場合」「教育委員会の重点施策や先進的な取組を行う学校」「管理に困難性のある学校」などのケースがあり、条例の規定のみで実際に活用する都道府県は少ない。6年度の新規採用に関しては30都道府県が複数年で採用の平準化を図る方針。退職者や再任用の見通しをもとに中長期的な採用計画を立て欠員の正規化などで対応する。

 全国都道府県教育長協議会は、定年前再任用短時間勤務を希望する職員の増加が予想されるとし、60歳以上の職員の多様な働き方を実現するために教科指導や新採用教員指導など加配定数の拡充が必要と指摘。特に養護教諭、栄養教諭、事務職員など少人数職種の欠員補充に対する補助として、再任用の短時間勤務職員を中規模校に配置する加配措置を国が講じる必要があるとしている。

(解説 2023-04-13付)

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