【解説】学校の水害対策へ手引案(解説 2023-04-27付)
文部科学省は学校施設における水害対策の推進のための手引の作成に向けた準備を進めている。25日の有識者会議で案を審議。5月下旬ごろの公表を目指しており、学校設置者、治水・防災担当部局の連携体制の強化を求める通知を併せて発出する予定だ。
全国の公立学校の2割が浸水想定区域(要配慮者利用施設として位置付けられた学校)に立地し、近年は水害や土砂災害の激甚化・頻発化によって学校施設の被害が多発している。
平成30年7月の豪雨では31道府県で2252校、令和元年の東日本台風では31道府県で294校、令和2年7月の豪雨では33府県で2114校が休校に。いずれも人的被害は生じなかったものの学校教育活動の再開に支障を来しており、対策が急務となっている。
このため文科省が設置する学校施設等の防災・減災対策の推進に関する調査研究協力者会議では、教育委員会を中心として様々な関係部局が参考として活用できる手引の作成を検討。主に水害対策の基本的な考え方や検討手順、対策の要点のほか、災害発生時に学校施設が担う役割や学校設置者や治水・防災担当部局との連携による検討体制の例を示す。
対策例として、早期復旧の重要エリアとなる受変電設備の設置場所のかさ上げや止水板の設置、ピロティ(柱だけで構成する吹き抜けの空間)による高床化などハード面の整備のほか、点検・確認の具体例などソフト面の備えを盛り込む。
緊急時における幼児児童生徒の安全確保対策では「避難場所や避難経路」「避難誘導のためのバリアフリー化」「上階に垂直避難する場合の対策」を確認し施設整備の検討を行うことや、想定最大規模(千年に1度の頻度)の浸水想定図を踏まえ対策を検討することが重要としている。
(解説 2023-04-27付)
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