【解説】コロナ禍 子の向社会性改善
(解説 2023-04-28付)

 コロナ禍において、小中学生の協調性や共感性などの向社会性が年々改善傾向にあることが、国立成育医療研究センター研究所社会医学研究部の「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」結果で明らかになった。

 調査は、全国50自治体から選ばれた小中学生、高校生とその保護者を対象に2~4年度の期間で実施。2年度は小5・中2、3年度は小5~中3、4年度は小5~高1を対象に調査した。

 調査結果をみると、協調性や共感性などの向社会性を表す指標について、小5~中3までの各学年において、4年度は3年度調査に比べて改善が見られた。一方で、仲間関係・多動/不注意・情緒・行為の問題を含む総合的な困難さについては、小5・中1で改善が見られたものの、中3で悪化するなど、全体では改善に至らなかった。

 また、中等度以上の抑うつ傾向について、子どもの全体に占める割合が3年度は11%、4年度は13%と改善が見られなかったものの、保護者では、3年度が40%、4年度が28%と改善傾向に。

 子どもの孤独感を表す指標、肯定的な未来志向に関する指標では、3、4年度で統計学的に有意な変化はなかったが、保護者において、小6~中2の各学年で心の状態を表す指標に改善が見られた。

 同研究部では、子どもの心身の健康について「新型コロナウイルスなどの社会的な事象に大きな影響を受けるため、その事象によって子どもたちの状態がどう変化したのかをしっかり分析していくことが重要」と指摘。「同様の調査を継続的に行い、データを蓄積し、社会に還元することで、子どもにとっての最善の環境を整えることが大切」としている。

(解説 2023-04-28付)

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