空知局つなぐプロジェクト やれば必ず変わる 地域の取組テーマに討論(道・道教委 2023-04-10付)
【岩見沢発】空知教育局は3月上旬、岩見沢市民会館・文化センターまなみーるで「つなぐプロジェクト」をオンライン開催した。管内の市町村教委や小・中学校から約40人が参加。岩見沢市教委の生涯学習・文化・スポーツ振興課学習活動支援係長の横山惠氏と北竜町教委の社会教育係兼社会体育係社会教育主事の岸直樹氏、日浦(株)の日浦孝博社長の3人が「地域の多様な取組について」をテーマに、パネルディスカッションを実施。それぞれの取組を確認し、取り組んでいきたいことについて話し合った。
同事業は、企業や学校関係者が地域の垣根を越えた地域活動を実施していくことが目的。助言者として北海学園大学経済学部地域経済学科の西村宣彦教授がオンラインで参加した。西村教授は経済学や財政を専門に取り組んでいる。人口が減少している自治体の対策を考えた際に、地域を担う人づくりや学校の存在意義・可能性について研究する中で、社会教育への関わりが強くなったという。
パネルディスカッションでは、横山学習活動支援係長と岸社会教育主事の社会教育関係者2人、日浦社長の事業関係者1人が「地域の多様な取組について」をテーマに、それぞれが取り組んでいることについて話し合った。
横山氏は、家庭教育支援チームの取組を紹介。同チームは文部科学省の登録チームで、子育て経験者や教職員、カウンセラーなど多種多様な自主的に集まった人たちで構成されている。母親の居場所をつくることが目的で、子どもが不登校になったり、ゲーム依存になったりした際などに何でも相談できる場所として設けられている。
横山氏は、家庭教育は全ての教育の出発点とした上で「生活習慣や社会的マナーは家庭で学ぶことではあるが、今は核家族化の影響で子育て環境が孤立している。親に精神的余裕などがない場合には、児童虐待につながる可能性があるので社会全体で取り組んでいく必要がある」と訴えた。
また、情報発信について「現在、一般開放をしているが不安を抱えていながら外に出られない人たちに何とか知ってほしい」と話し「定期健診や企業の研修会など保護者のいる場所に赴き、情報発信していきたい」と意気込んだ。
岸氏は、北竜町独自の「子どもと高齢者ふれあい事業」について説明。複数の高齢者と北竜町立真竜小学校の辻脇志郎教頭(当時)を推進員に年間約150人以上の小学生が参加した。
地域とのつながりが希薄化していることから、餅つきや農園での野菜の播種や収穫、かまくら造りなどの体験を実施している。高齢者の持つ知識を異世代交流を通して継承し、高齢者に対する尊敬と思いやりの心を育てることを目的にしている。岸氏は、その橋渡し役として、いかに話しやすい雰囲気づくりができるかを試行錯誤している。
今回は、中学生以上の参加者を募るため、部活動の教員に同事業を紹介。参加は強制にしないこととした。
活動後には参加者に行ったアンケート調査を実施。結果を踏まえてつぎの活動に生かすよう心がけたことで、小学校卒業後に活動を手伝いたいと考える児童も現れた。
推進員の辻脇教頭は、同事業の成果について「学校教育と違い、高学年が低学年をサポートするなど子ども自身が自分で考えて行動することができる」と話し「自分の親と関わる機会が減る家庭が多い現況で、地域の人たちが子どもと関わる機会が増えるようにより一層取り組んでいきたい」と話した。
日浦社長は地域コーディネーターとしてのキャリア事業の取組について説明した。6年前に青年会議所JCに所属していたことをきっかけに、学校での事業実践を実施。社会の課題に向き合い、自身の成長につなげる取組を行った。
教育の課題を調査・取材した際に、学校は地域理解について取り組んでいることを知り「地域からすると学校は敷居が高い場所と感じたが、飛び込んでみたことでキャリア学習を実施できた」と話した。総合的な学習の時間で地域文化・産業、キャリア学習などの有識者を呼び込み、学校の地域理解に寄与した。
キャリア学習を行う上で、自分たちの誇りを伝えることで子どもたちの学ぶ意欲が向上したとともに、教員にも豊かな学びを提供することができた。子どもたちも教員も楽しんで参加できたからこそ地域とのコネクションができたと考えているとして「地域につなげていくことは容易ではないが、学校と協力して気軽にチャレンジすることで成果が出る」と話し、やってみれば必ず変わることを訴えた。
学校と企業をコーディネートする際には、互いのメリットを明確にすることが必要と強調。学校はより豊かな学び・地域との関わりを深めること、企業はリクルートにつなげられることや学校と関わることによって企業としても学べることがあることなどを例に挙げた。
その後、参加者で「学校や地域と連携した取組」について学校や地域における実践や、今後取り組んでみたいことについてグループ交流を実施。地域の様々な人たちとの交流を通してつながりを広げ、多様な活動の充実に資する機会とした。
(道・道教委 2023-04-10付)
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