オホーツク管内5年度教育推進の重点 子の可能性引き出して 力強いリーダーシップ発揮を(道・道教委 2023-04-24付)
説明に立つ桑原局長
【網走発】オホーツク教育局の桑原知己局長は14日、網走市内のオホーツク・文化交流センターで開かれた管内公立小・中・義務教育学校長会議で5年度管内教育推進の重点を説明した。「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」など3つの柱と、管内教育推進に係る30の取組を提示。「社会の形成に参画するための資質・能力を確実に育むことができるよう学校経営の最高責任者としての気概を持ち、力強いリーダーシップを存分に発揮してほしい」と呼びかけた。
説明概要はつぎのとおり。
【はじめに】
管内教育推進の重点については、管内の状況を考慮し、必要な取組を管内一丸となって推進するため策定したものであり、これを共有するため年度の初めに関係者に示すものだが、校長の皆さんには、前年度4月に示した「4年度オホーツク管内教育推進の重点」および「4年度オホーツク管内教育推進の取組」に基づき、学校経営の改善・充実はもとより、管内の教育の充実・発展に寄与いただいたことに感謝する。
また、各学校においては、教職員が一丸となって感染症対策と学びの保障の両立に多大な尽力をいただき、心から感謝申し上げる。
【管内教育推進の重点】
5年度管内教育推進に係る取組の策定に当たっては、新たな道の推進計画に基づき、4年度の管内教育推進の取組の評価を踏まえ、3つの柱と16の項目を設定している。
▼柱1「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」
▽新しい時代に必要となる資質・能力の育成
4年度の学力調査において、小・中学校共に全ての教科で「思考・判断・表現」を問う問題や記述式問題の正答率が全国と比べて特に低いことから、各教科において「書く活動」を意図的に位置付け、言語活動の充実を図るとともに「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進を設定している。
▽特別支援教育の充実
4年度特別支援教育体制整備に関する調査において、全ての校種で校内研修に特別支援教育を位置付けているものの、特別支援学級担当者のみの参加にとどまっている学校も一部見られることから、全ての教職員に特別支援教育に係る専門性を身に付けてもらうため、特別支援教育に係る校内研修の充実を設定している。
▽道徳教育の充実
道徳が教科化され、各学校において、道徳科の指導方法の工夫等に向けた取組は進んでいるが、道徳的価値への理解に終始する授業など、指導方法に課題が見られることから、道徳科の特質を踏まえた指導方法や評価方法の工夫改善に向けた校内研修の充実を設定している。
▽ふるさと教育の充実
児童生徒に郷土愛を育むため、各教科等のねらいの達成に向けた地域の人材や施設、関係機関等の教育資源の積極的な利活用を位置付けている。
▽外国語教育の充実
小学校においては、アクティビティー等の練習に終始する授業、中・高校においては、文法や内容の説明に終始する授業など、指導方法に課題が見られることから、コミュニケーションを行う目的や場面・状況等を設定した言語活動の充実を図るとともに、各学校段階で4技能5領域のバランスの取れた英語力の育成に向けた授業改善を位置付けている。
▼柱2「学びの機会を保障し質を高める環境の確立」
▽ICTの活用推進
GIGAスクール構想2年目を終えたが、依然としてICT端末の活用に地域差や学校差が見られることから、校長のリーダーシップのもと、校内の推進体制や教育課程におけるICT活用の位置付け、計画的な研修の実施など、教職員のICT活用指導力の向上を位置付けている。
▽いじめの防止や不登校児童生徒への支援の充実
前年度は、各校種において、いじめの積極的な認知が進んだ一方で、児童生徒がいじめを受けていると考えられる件数といじめの認知件数の間に依然として大きな差が見られることから、全教職員がいじめ防止対策推進法におけるいじめの定義をあらためて確認し、組織的にいじめの早期発見・早期対応の取組を行うことができるよう、学校いじめ対策組織を中心とした、学校全体が一体となった生徒指導体制の充実を位置付けている。
また、管内の全ての校種において、不登校児童生徒数が増加傾向にあることから、不登校児童生徒等の支援の充実に向けた、遠隔システム利活用の促進を位置付けている。
▽働き方改革の推進
各学校において、校長のリーダーシップのもと、教員一人ひとりがワークライフバランスの視点を持ちながら、教育活動を実施してもらっている。引き続き、学校における働き方改革の実現に向け、校務支援システムやICTの活用等による業務改善の推進など、学校教育の質を高める環境の構築を位置付けている。
▼柱3「地域と歩む持続可能な教育の実現」
▽地域と学校の連携・協働の推進
管内の全ての小・中学校において、コミュニティ・スクールが導入されているが、学校運営協議会が形骸化している等の課題が見られることから、学校運営協議会の機能強化に向け、市町村教育委員会において、学校支援の取組、放課後の子どもの居場所づくりなど、地域学校協働活動の充実を位置付けている。
【おわりに】
今、校長に求められているのは、教育への高い識見と崇高な教育理念、子どもへの愛情を持ち、複雑化・多様化する学校の諸課題の解決に向け、明確な経営ビジョンを示し、学校力を高めながら、関係機関と協働できるトップリーダーの姿である。皆さんには、将来を担う子どもたちに、持続可能な社会の作り手として、新たな価値を創造し、予想不可能な社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を確実に育むことができるよう、学校経営の最高責任者としての気概を持ち、力強いリーダーシップを存分に発揮されるよう期待している。
教育局としても、管内教育委員会協議会教育長部会や管内小中校長会、さらには、皆さん一人ひとりとこれまで以上に連携を密にしながら、管内教育の改善・充実に努めていくので、一層の協力をお願いする。
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(道・道教委 2023-04-24付)
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