石狩管内5年度教育推進の重点 全ての子の未来を保障 「授業改革055!」踏まえ
(道・道教委 2023-04-26付)

石狩管内教育推進の重点
石狩管内教育推進の重点(クリックすると拡大表示されます)

 石狩教育局の田中賢一局長は、10日に開かれた管内小・中学校長会議で5年度教育推進の重点を説明した。本年度重点のテーマを「子どもの未来保障~持続可能な社会の創り手の育成」と設定。前年度から進めている「授業改革055!」を踏まえ、学校が本来担うべき子どもたちの資質・能力の確実な育成や、ICT活用の充実、地域総がかりによる資質・能力の育成を強く要請。全ての子どもたちの未来を保障する取組のさらなる充実を求めた。

 5年度管内教育推進の重点はつぎのとおり。

【1 策定】

 5年度管内教育推進の重点については、5年度以降の北海道が目指す教育の全体像が示された「北海道教育推進計画」に基づき、4年度管内教育推進の重点の評価結果、管内教育連絡調整会議や市町村別教育推進会議における説明・協議等を踏まえ、管内全ての公立学校が「これだけは」と共通して取り組むべきことを3点に焦点化した。

 教育局が提示する「重点」であるが、あくまでも皆さんのまち、皆さんの学校の「重点」として取り組んでいただくようお願いする。

【2 管内教育推進の重点】

 5年度の重点のテーマを「子どもの未来保障~持続可能な社会の創り手の育成」とし、テーマの実現に向けた3つの重点を設定した。

 重点1は「資質・能力の確実な育成」、重点2は「資質・能力を育成するICT活用の充実」、重点3は「地域総がかりによる子どもの資質・能力の育成」である。

 それぞれの重点に、具体的な取組を示した。

▼重点1

 重点1の資質・能力の育成に向けた取組の1つ目は、学習指導要領に基づく「対話」を重視した授業実践を示した。「教える授業から、対話を通して学び取る授業」へ変えていくことを、意識改革を含め「授業改革」とし、前年度から各学校で取組を進めている。

 重点1の取組の2つ目は、勉強が分からず困っている子どもたち、いわゆる「伸びしろ層」を0(ゼロ)にし、全ての子どもたちが学ぶ実感を持つよう、底上げを図ることを目的とした「授業改革055!」である。

 この授業改革055!は、中間層や定着層の子ども一人ひとりに資質・能力を身に付けさせることを意味している。平均正答率で語るだけでは見えない課題があることから、一人ひとり人の子どもの成長の状況を捉えることがポイントとなる。

 各学校においては、前年度から進めてき授業改革の結果、子どもたちに資質・能力が確実に身に付いたかを確認し、子どもの成長の状況を捉え、身に付いていなければ指導の改善を図るなど、授業改革を推進するようお願いする。

▼重点2

 重点2の取組は、ICT機器を有効に活用し、その子どもに合った「個別最適な学び」を進めるとともに、隣の子どもだけではなく、ICTを活用し、広く様々な人とコミュニケーションを図り、学んでいく「協働的な学び」を充実するようお願いする。

 なお、ICTを活用するだけではなく、各教科等のねらいに応じて効果的に活用するよう留意願う。

▼重点3

 重点3は、学校だけで完結することではない。教育課程を通して資質・能力を身に付けさせるのは学校であるが、それ以外にも子どもたちに身に付けさせるべきことがある。その際に地域の力を有効に借りようということである。

 そのためには、学校の目指す目標や方向性を地域住民に十分理解してもらう必要があることから、学校経営方針の理解促進を図ることが重要である。

 また、地域住民が、学校から依頼されたことのみに協力するだけではなく、学校経営方針を理解した上で、地域住民が主体的に、自分たちのできることを考えて学校の教育活動に参画することができるようにすることが重要である。

 そうした形で地域の理解や協力を得て、地域総がかりで全ての子どもに資質・能力を身に付けさせることが重要であり、社会教育の側面からのアプローチも行いながら、地域と学校の連携・協働を推進するようお願いする。

【3 まとめ】

 3つの重点をまとめると、重点1は、学校が本来やるべきことである。「学校は何をするところか?」の問いの答えになる部分である。全ての子どもに、教育課程を通して資質・能力を身に付けさせる、という学校が本来的にやるべきことである。

 重点2は、今よりもさらに発展する高度情報化社会に向け、そのコミュニケーションを充実させるために必要な、未来社会で活用する力である。想像もつかない高度情報化社会において、適切かつ円滑にコミュニケーションを取るために必要な資質・能力である。

 重点3は、地域住民の参画を得ることによって、より一層効果的な教育活動になることを意味する。

▼子どもの成長の姿

 さらには、この3つの重点を推進したあとの子どもの成長の姿を具体的にイメージして組織的に対応することも重要である。

 例えば、重点1を推進すると学ぶ力が身に付き、重点2ではより多くの価値観に触れ、多様性を学び、重点3では学習したことが社会で使える実用的なものとなる。

 こうした重点推進後の子どもの姿をイメージして、各学校で取り組んでいただきたい。

 やるべきことは、この3つに焦点化し、どの学校においても取り組んでいただくようお願いする。

 教育局としてお願いしたいことは、これら3つの重点を学校経営方針に「約束」として入れ込んでいただき、その成果と課題について、印象評価ではなく、学校評価の項目として設定し、客観的に評価することである。

▼進め方

 また、校長の皆さんには、学校の経営者として、この重点を推進する際に想定されることは、年度の途中で教育課程を見直すという教育課程の継続的な改善・充実や、重点3に関わって地域連携担当者を設定または増員するなど、年度途中での分掌組織のアップデートをする必要性が出てくる場合もあるということである。

 その際は、経営者としての視点で、組織のコミュニケーションを充実させ、目的の達成のために、学校組織マネジメントを働かせていただきたい。

 最後に、教育課程を通して、必要な資質・能力を、全ての子どもに身に付けさせる子どもの未来保障に向けた取組を充実させるとともに、石狩の教育が本道教育をけん引するフロントランナーとして、子どもの未来をしっかりと保障することができるようお願いする。

(道・道教委 2023-04-26付)

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