【解説】「不適切保育」を明確化(解説 2023-05-15付)
昨年4~12月の期間、園児の心身に悪影響を及ぼす「不適切な保育」が全国で914件確認されたことが、こども家庭庁の調査で明らかになった。同庁はこれまで曖昧だった不適切な保育の考え方を明確化するガイドラインを策定し12日付で関係者に周知。今後、保育所等での虐待通報を義務付ける制度的対応を検討するほか、保育現場の負担軽減や巡回支援の取組を強化する。
調査は昨年12月に静岡県裾野市の保育園において園児への暴行の疑いで元保育士が逮捕された事件の発生を受けて実施したもの。「子ども一人ひとりの人格を尊重しない関わり」「物事の強要や脅迫的な言葉がけ」「罰の付与」など不適切な保育や虐待に該当する行為を調べた。
調査の結果、保育所2万2720施設で当該行為が疑われるとして事実確認を行ったのは1492件。うち市町村が当該行為の事実を確認したのは914件、道内での確認件数は6件となった。虐待の確認件数は90件、道内分はゼロ。
また、不適切な保育の捉え方や保育所・自治体における取組や対応にばらつきが見られ、同庁は不適切な保育の考え方を明確化した「保育所等における虐待等の防止および発生時の対応等に関するガイドライン」を策定。保育所や自治体に求められる事項を示した。
また児童福祉法一部改正が6年度施行となり、高齢者・障がい者施設の虐待の通報が義務化されることから、保育施設職員による虐待発見の通報義務創設も含め制度的対応を検討する。
一方、保育所等で虐待が起きる背景には人的・時間的な余裕がないことも指摘されている。国は今後、虐待等の未然防止に関する運用上の見直しや工夫事項を周知するほか、若手職員等を支援する巡回支援事業の一層の活用を周知する。
(解説 2023-05-15付)
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