【解説】生成ＡＩ指針　夏前にも公表

（解説 2023-05-18付）

　永岡桂子文部科学大臣は１６日の記者会見で、夏前をめどに学校現場における生成ＡＩの取り扱いを定めるガイドラインを公表する考えを示した。情報活用能力との関係整理や授業での活用場面のほか、校務負担を軽減する活用方法を盛り込む見通し。

　学校現場における生成ＡＩの利用については先進７ヵ国（Ｇ７）教育大臣会合でも議論され、教育に与える正と負両方の影響を見極める重要性を確認した。

永岡大臣は大臣会合での議論、有識者の意見、政府全体の検討状況、中教審での議論を踏まえた上でガイドラインを策定するとし「ガイドラインは（学校での）活用に当たっての参考資料として示すもの」「教師の業務量の増加というものにつながるものではない。生成ＡＩを活用した校務の負担軽減の可能性についても盛り込むことを考えている」との考えを示した。

　同日、中教審の下に設置されたデジタル学習基盤特別委員会の初会合が開催され、生成ＡＩの利用に関する今後の対応を協議した。

　文科省からは、批判的思考力や創造性への影響、個人情報や著作権保護の観点などのリスク整理が必要としつつ、学習指導要領で学習の基盤となる資質・能力に位置付けている「情報活用能力」の観点から「新たな技術である生成ＡＩを使いこなす視点」「自己の考え方の形成に活用する視点」の重要性を提起した。

　ガイドラインには①生成ＡＩに関する説明②情報活用能力との関係整理③年齢制限や著作権、個人情報の扱い④活用が考えられる場面や禁止すべき場面⑤授業デザインのアイデア―の５項目を盛り込む予定。出席者からは「偽りのデータを引用する可能性の明記」「安全性かつ透明性の高い技術の導入」「学校での活用の試行実証」の必要性が指摘された。

(解説 2023-05-18付)