【解説】教員の業務や処遇見直しへ
(解説 2023-05-24付)

 永岡桂子文部科学大臣は22日、中教審に「“令和の日本型学校教育”を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」を諮問した。学校・教員が担う業務の再整理や残業代として支給されている教職調整額の見直しなどが焦点。来年春ごろに方向性を示す。

 文科省の調査によると、小・中学校の教職員の4年度の平均在校等時間は6年前と比べ減少しているものの、副校長・教頭をはじめ依然として長時間勤務の教員が多い。加えて教員不足の状況が全国的に続き、質の高い人材の確保と教職の魅力向上が喫緊の課題となっている。

 このため永岡文科大臣は中教審に①教師に係る勤務制度を含めた一層実効性ある働き方改革の推進②教師の給与に関する枠組みの見直しを含む処遇改善③学校の指導・運営体制の充実―の3点について検討するよう諮問。役割分担と適正化を推進する観点から学校・教師が担う業務の在り方を再整理するとともに、時間外在校等時間を1ヵ月45時間以内と定める国の指針の実効性向上を図る方策を検討する。

 教員の処遇改善に向けては、自発性・創造性が大きい教師の職務の特殊性を踏まえ、一律月給の4%としている教職調整額を俎上に載せる。さらに教師の意欲・能力の向上に資する給与制度や職務・勤務の状況に応じた給与のめりはりも検討する。

 休日のまとめ取りを可能とする「1年単位の変形労働時間制」も活用促進へ運用を見直す。また、教育委員会・学校間で差が生じている業務改善の取組状況の可視化方策を検討する。このほか35人学級や小学校高学年における教科担任制、支援スタッフの配置などを検討項目として挙げ、きょう24日開催の初等中等教育分科会で議論を開始する。

(解説 2023-05-24付)

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