札幌市立高・特校長会4年度事業報告 研究紀要から 第9回(札幌市 2023-05-19付)
教務部長連絡協③
【第3回連絡協議会(12月5日市教委)】
本年度の連絡協議会は、3回の開催を計画し、各校における教育課程上の課題等の解決に向け、互いに協働できる機会となることを目的として、第3回教務部長連絡協議会を教育委員会が主催する教育研修会と同日の開催とした。
▼あいさつ=矢田春義校長(市立札幌新川高校)
改訂された学習指導要領の初年度、観点別学習状況評価、ICTの活用と様々な課題があることから、数年ぶりに3回目の連絡協議会を開催すべく準備を進め、本日の開催を迎えることができた。各校が抱える課題などについて共有し、新学習指導要領の定着につながる機会となることを期待している。
▼あいさつ=牧野弘幸高校担当係長(札幌市教委)
先日、つくばで開催された全国の教育課程研究協議会に参加してきたが、その中で、他県の指導主事と交流した際にも学習指導要領初年度に抱える課題は、全国でも同様であることが話題となった。本連絡協議会においては、各校の教務部長が、互いの取組を参考にしながら自校のブラッシュアップを図るための貴重な場としていただきたい。
▼全体協議司会=野田貴洋教諭(市立札幌藻岩高校)
今回の協議は、時間が限られていることから、事前に2つの項目についての意見や課題を集約し、その内容に関連する参考事例や共通の課題を協議する形式とした。
▽教務部の業務について
多くの学校で不登校傾向の生徒や長期欠席生徒が増加傾向にあり、併せて、新型コロナウイルス感染症の影響で、長期の出席停止、場合によっては、出席停止によってほとんど出席していない生徒が存在する。
これらの場合の定期考査の扱いや単位認定など、各校がそれぞれで対応に苦慮している報告がなされた。
特に不登校生徒の別室受験の実施状況などについての質問が複数寄せられ、協議では、具体的な解決策までは見いだせない状況となったが、今後の継続課題として、各校の情報共有が必要であることが認識された。
BYODによる1人1台端末を使用したICTの活用を各校が試行錯誤しながら進めているが、BYODの対応をどの分掌が担うかといった、校内での業務的な扱いについても整理すべきであること、効果的な実践など研修の在り方などをどうすべきかが話し合われた。
また、業務負担軽減や簡略化の視点から、分掌を細分化し、業務を分担することで実際の負担が軽くなった事例や定期試験の採点でスキャネットシートデジらく採点の活用、授業支援ツール「winbird」を活用することによる授業改善なども紹介された。
▽教育課程上の課題について
ここでは、各校がどのような教育課程上の課題を抱えているかについての共有がなされた。
〈授業時数確保の実現にむけて〉
・1週間を50分×7時間×5日で授業を実施しているが、行事や学校事情によって短縮授業も実施している。年間の通常授業×短縮授業は、おおよそ1:1だと思われる
・総合的な探究の時間など、必要に応じて通常6時間授業の日の7時間目にぶら下げで総合的な探究の時間などの授業とLHRを確保するよう設定している
・行事の精選などをさらに進めながら授業時数の確保に努めている
・本校では、定期考査期間を設けていない。それぞれの授業の中での見取りによって評価している。ただし、ペーパーテストを全く行わないということではなく、それぞれの授業(科目)の中で必要に応じて行っている
〈不登校および出席停止への対応〉
・コロナ禍などによって、ほとんど出席停止で登校できていない生徒の評価をどのようにすべきか
・不登校生徒の保健室・別室登校について、各校では、どの程度行っているのか
・定期考査を受けられない生徒への追考査の実施はどのように取り決めているか
・単位制で半期認定科目がある場合、生徒の出席状況によっては、定期考査の結果が一つもなく、評価判断材料が不足することが考えられるが、そのような場合、どう評価すべきか
・定期考査では、学級閉鎖、出席停止のように学校側から出席を止めている場合は、追考査の機会を補償すべきと考えている(その他のケースでの追考査や別室受験は設けていない)
・観点別も導入され、定期考査によらない評価も可能なため、検討することも必要ではないか
〈教育課程編成について〉
・大学入試に科目「情報」が必要となるケースに対応した教育課程への変更が必要になる。各校ではどのように対応しているか
・学校外における学修の単位認定の具体について、参考となるものがあれば紹介してほしい
これら話題について、解決に向けた情報をその場で話し合う時間がなくなったため、参考となる意見があれば、後日、各校の教務部長間において、校務支援などを通じた情報提供を行っていただくよう参加者にお願いした
▼助言=牧野高校担当係長
本日は、各校の困りの状況を共有することができた。
例えば、話題に挙がっていた定期考査について、やらなければならないといった固定観念が教員には根強く意識されているように思われる。観点別の評価材料として定期考査に代わるものがあれば、定期考査を行わない場合でも正当な評価が可能であると考える。
この点については、各校で状況に応じた工夫や検討をお願いしたい。
▼あいさつ=矢田校長
本日の活発な意見から、各校の課題について互いに把握できる良い機会だったと実感している。小・中学校では、新しい学習指導要領の実施が高校よりも早く始まっている。本年度、全道図書館協会に関わっている。
感想文などを読んでみると、小学生でも比喩的表現や感情を表す表現など、言葉の使い方が小学生とは思えない文章を書くことができている。高校では、小・中学校で身に付けた基礎的な力をもとに、さらに課題の解決などにつなげられる力を身に付けさせることが求められている。
そのために、小中の学習指導要領を把握することも有用かもしれないと思っている。
(札幌市 2023-05-19付)
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