札幌市立高・特校長会 4年度事業報告 研究紀要から 第8回
(札幌市 2023-05-18付)

教務部長連絡協②

【第2回連絡協議会(10月31日市立札幌新川高校)】

 本年度は、新学習指導要領による教育課程の本格実施初年度となり、観点別評価の実践状況についての情報共有と総合的な探究の時間についての協議を進めるため、例年では2回の開催としていた連絡協議会を3回開催することとし、前期評価の振り返りのできる10月に第2回の連絡協議会を開催した。

▼あいさつ=矢田春義校長(市立札幌新川高校)

 新学習指導要領での教育課程がスタートし、各校の教務部長の皆さんにおいては、新しい学びの工夫や観点別評価、ICTの活用など、様々な面で尽力いただいていると認識している。特に観点別評価については、各校で悩まれていることと思うが、例えば、市立札幌開成中等教育学校のIBのルーブリックなどを参考とするなど、他校の状況から得られるものがあり、それぞれの課題や悩みなどが解決できるよう情報を共有できる連絡協議会となることを期待している。

▼あいさつ=牧野弘幸高校担当係長(札幌市教委)

 4月から新学習指導要領の本格実施を迎え、GIGAスクール構想による1人1台端末(BYOD)によるICTを活用した授業改善など、新しい取組も積極的に進めていただいていると認識している。

 本連絡協議会がこの時期に開催されることは、前期評価を終え、各校の実践から浮かび上がる課題や不安などについて情報共有を図る良い機会だと感じる。今後も、観点別評価を活用し、評価のための評価とならず、学習改善を図ることを意識した指導と評価の一体化の実現に向けた取組を進めていただくようお願いする。

▼全体協議司会=野田貴洋教諭(市立札幌藻岩高校)

▽観点別学習状況による前期評価後の各校における課題について

・各観点の評価を到達度(%)で入力し、自動算出しているが、主体的に学習に取り組む態度の評価の仕方に課題があると実感している

・これまで行ってきた評価の結果と観点別に評価した結果のずれがある。学習指導要領に示される目標の概ね達成をBの基準とした評価を行っているが、主体的に学習に取り組む態度で高い評価になる傾向があり改善が必要だと思われる

・各教科で評価項目を多く設けることがまだできていない。校務支援システムが単位制に対応していない

・観点別の評価を5段階の評価に換算する際の連動の状況をチェックする必要がある

・3観点について正しく理解されるよう教科でしっかりと研修する必要がある。その際の各教員間の目合わせができなければ、正しい評価ができない。評定平均の概念はなくした方が良い

・校内で作成した入力シートを使えば、ミスなく評価ができるように運用しているが、校務支援システムで作成する成績一覧表に観点の評価が表示されないため、実際の評価との不一致があった場合にチェックができない場合がある

・出席停止で授業に出られない生徒にも評価しなければならないが、学習機会の保証と合わせてどのように行っていくべきかの十分な検討が必要

▽総合的な探究の時間とカリキュラム・マネジメント

 本年度、各校が実践しているプログラムや運営の仕方など、総合的な探究の時間の改善が図られている旨の内容がそれぞれ紹介された。各校の状況報告から、総合的な探究の時間のプログラムでは改善が進む中、各教科・科目の授業における探究的な学びの充実を組織的に行うまでには至っていない状況についての意見が多く寄せられた。学校全体で取り組むカリキュラム・マネジメントを意識する際には、各教科・科目でどのような授業を進めているかを把握しながら各教科と連携して、組織として検討を進める必要があることが課題として浮かび上がった。特に、ゲストティーチャーの活用、地域や外部との連携を行う際には、協力してくれる方も多いが、実際にその活動を行うとなると、対応する教員の負担が大きいことが共通の課題であり、各校で運営の中心となる教員の配置をどうしているかが共通の話題となった。

 また、3部制の市立札幌大通高校では、外部の講師などを招聘する際に、各部を一括して行うことができず、同一の講師に3回の協力をお願いするなど特有の課題があることも紹介された。各校で行われる活動のうち、参考となる取組(成果発表会など)を互いに視察し合うなど、内容のさらなる発展を目指すことを意識する場となった。

▼助言=牧野高校担当係長

 本日は、例年では開催されない時期に本連絡協議会が開催されたが、とても有意義な情報共有がなされたと実感している。

 本日、課題等について話し合われた観点別評価については、評価に係るチェックシートにおいて、エビデンスが残るものを評価対象とすることやルーブリックの活用について参考にしていただきたい。

 観点別評価は、中学校でも20年以上行っているが、試行錯誤している状況は今でも変わらないと聞いている。

 総合的な探究の時間の取組も各校が工夫しながら活動していただいていることは素晴らしい。教科等横断的な学習についての参考事例として、松山南高校などがホームページでも紹介している。

 この他にも先進的に実践している学校の取組を見つけて参考にしていただきたい。

▼あいさつ=矢田校長

 有意義な情報交換が行われ、今回は特に工夫ある総合的な探究の時間の各校の取組について知ることができた。

 指導と評価の一体化の視点から、観点別評価の結果でCの評価となった生徒が確認された場合は、授業の改善や生徒への支援が必要だと思われる。

 開成中等教育学校のように定期考査を実施しない学校もあり、各校においても定期考査の在り方がふさわしいか検討するといった考え方もあるのではないかと考える。

(札幌市 2023-05-18付)

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