江別市 5年度教育行政執行方針 独自にいじめアンケート 学校教育など次期計画策定へ
(市町村 2023-06-05付)

江別市黒川淳司
江別市教委・黒川淳司教育長

 江別市教委の黒川淳司教育長は、第2回定例市議会で5年度教育行政執行方針を説明した。学校教育基本計画、社会教育総合計画、スポーツ推進計画、子どもの読書活動推進計画の4つの次期計画の策定を進めるほか、市独自にいじめアンケート調査を実施する。学校教育基本計画で定める目指す子ども像「夢を持ち、夢を語り、夢の実現に向けて行動する子ども」の実現に向けて、教育環境の充実に努める考えを示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育

 子どもたちが、生涯にわたって自立して生き抜くために必要な「確かな学力」を身に付けることができるように、基礎的・基本的な知識や技能を確実に習得させ、課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育むことを重視した指導が求められている。

 併せて、子どもたち一人ひとりが自分自身の良さや可能性を認識し、自己肯定感や自己有用感を高めていくとともに、全ての人を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら持続可能な社会の創り手として成長できるよう、各施策を推進していく必要がある。

 5年度においては、3年余りをかけて準備を進めてきた小中一貫教育を「市小中一貫教育基本方針」に基づき、4月から市内の全公立小・中学校に本格導入している。各中学校区で定めた中学校卒業時における「目指す子ども像」を学校・家庭・地域で共有を図りながら、系統性と一貫性を持った教育の推進に取り組んでいく。

 併せて、特別な支援を必要とする児童生徒が個々の状況に応じた適切な教育が受けられるよう、特別支援教育における小・中学校間の連携強化を図るほか、児童が幼児教育から小学校教育へと円滑に適応できるよう、幼児教育施設と小学校との接続など、学校段階間の連携・接続の推進に取り組んでいく。

 また「市教育情報化ガイドライン」に基づき、ICTを効果的に活用することで「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実や、小学校入学から中学校卒業までの9年間にわたる情報活用能力の系統的な育成の実現を目指し、確かな学力の定着につなげていく。

 つぎに、いじめ防止対策では「市いじめ防止基本方針」に基づき、全ての児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、いじめを許さない意識の醸成や援助希求的態度の育成に努めるとともに、市独自にいじめアンケート調査を実施するなど「いじめ見逃しゼロ」を目指し、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に取り組んでいく。

 また、増加傾向が続く不登校児童生徒に対する支援では、4月から適応指導教室「すぽっとケア」の開催日数を週4日から5日に拡充したほか、支援する児童生徒のさらなる増加や、通う際の利便性などを考慮した常設会場の開設に向け準備を進めていく。

 さらに、校長会、教頭会との意見交換の中で出された意見をもとに全校で設置に向けた取組を進めることとした「校内の登校支援室」については、各小・中学校で多目的教室等を活用した設置が進められており、教育委員会からも支援員を学校へ派遣するなど、不登校または不登校傾向にある児童生徒の社会的自立に向けた支援の充実を図っていく。

 つぎに、物価高騰対策として、学校給食の原材料費の高騰が続く中、補助金の交付により、保護者負担を増やすことなく、栄養バランスや量を保った給食を提供するなど、子育て世帯への支援に努めていく。

 このほか、児童生徒の体力向上に向けた市内大学との連携事業、子どもたちの読書環境充実に向けた学校司書の拡充、部活動の地域移行や部活動指導員の在り方について幅広く意見を聞くワークショップの開催、学校施設の計画的改修と適切な維持管理など、学校教育基本計画で定める目指す子ども像「夢を持ち、夢を語り、夢の実現に向けて行動する子ども」の実現に向けて、教育環境の充実に努めていく。

▼社会教育

 「市社会教育総合計画」で定めた基本理念である「江別の風土を生かし、豊かで潤いのある地域社会を創造する人づくり」の実現に向け、引き続き、幼児から高齢者までの全ての市民が心身共に健やかで充実した生活を営めるよう、学習・文化活動を気軽に行える場を提供するほか、文化・歴史遺産を通じて、市民のふるさと意識の醸成を図っていく。

 5年度においても、引き続き、青少年の健全育成や生涯学習の推進、文化芸術の振興などの活動を行っている団体に対し、必要な支援を行うとともに、こうした団体と連携のもと、多くの市民が参加し楽しんでもらえる各種事業やイベントを実施していく。

 また、旧町村農場の保存と利活用については、市民ワークショップなどを経て策定した「旧町村農場保存活用整備方針」に基づき、江別の酪農の歴史と産業を発信する施設に、多くの人が集い、学び、親しまれる魅力的な機能を加えるなど、6年度のリニューアルオープンを目指し、改修工事を実施していく。

 さらに、高知県土佐市と友好都市提携45周年の節目を祝い、さらなる両市の絆を深めるため相互訪問を実施するほか、新型コロナウイルス感染症によって見合わせていた、土佐市との小中学生の相互訪問による教育交流も再開する。

 併せて、同様に実施を見合わせていた、姉妹都市の米国グレシャム市との中学生、高校生の相互訪問交流についても本年度の事業再開に向けグレシャム市側と協議を進めるほか、市内の国際交流団体等とも連携しながら、市民が国際交流に関わる機会の提供に努めていく。

 また、郷土の歴史を後の世代に正しく継承していくため、郷土資料館においては、文化財整理室に収蔵する歴史的文化資源を利活用したロビー展を開催するとともに、6年度に開館30周年を迎えるセラミックアートセンターにおいては、記念展開催に向け準備を進めていく。

 このほか、脱炭素化社会実現に向けて、市民が様々な用途で利用する公民館やセラミックアートセンターにおいて、ホール照明のLED化工事を実施するなど、社会教育施設において環境に配慮した設備への更新を進めていく。

▼スポーツ

 全ての市民がスポーツ活動を通じた健康づくりや運動習慣の実践・定着を目指すことをはじめとした「市スポーツ推進計画」で定める基本方針の実現に向け、市民がスポーツを「する」「みる」「ささえる」機会の充実を図っていく。

 5年度においても、市民が日常的にスポーツに親しみ、充実した活動を行えるよう、体育館をはじめとした市内のスポーツ施設を誰もが安心して利用できる施設運営に努めるとともに、長寿命化計画に基づき、適正な施設改修を計画的に進めていく。

 また、7月から8月にかけて開催される令和5年度全国高校総体北海道大会では、当市においても、ホッケーと競泳の2種目が開催される。選手・監督や観客等、延べ約2万人の来場者を見込んでおり、選手のハイレベルなプレーや躍動する姿を目の当たりにすることで、市民のスポーツへの関心が高まることが大いに期待されるほか、当市が持つ豊かな自然や観光、文化等の多様な魅力を全国に発信する絶好の機会だと捉え、開催地として関係機関と連携し、万全の準備を進めていく。

 さらに、平成26年度から取組を進めてきた、スポーツ合宿誘致では、ラグビーワールドカップのオーストラリア代表や東京オリンピックのマラソン、競歩のフランス代表、このほか、水球やハンドボールなどの日本代表クラスの合宿地として実績を積み上げてきており、トップアスリートとの交流による市民への波及効果などを考慮し、支援内容の見直しを行った上で、引き続き、誘致活動を進めていく。

 このほか、小・中学校体育館の地域開放や夏休みのプール開放、各種スポーツ関連団体への支援や前年度に続き、当市において2回目の開催となる特別支援学校フットサル大会への支援など、各種スポーツ施策を進めていく。

(市町村 2023-06-05付)

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