【解説】小規模自治体の広域連携
(解説 2023-06-28付)

 文部科学省が設置する調査研究協力者会議は、26日の会議で「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた報告書案を取りまとめた。全国的に少子高齢化・過疎化が進む中で教育の機会均等を実現するため、小規模自治体における教育委員会事務の広域連携の促進を掲げ、国や都道府県教委の役割を示した。

 地方教育行政法では、特に人口規模が少ない市区町村の教育委員会における事務処理体制を強化するため近隣市区町村と協働で事務を管理・執行することを認めている。文科省の3年度調査によると職員数が10人以下の教育委員会は全体の26・2%。指導主事の全国的な配置数は年々増加傾向にあるものの、配置が行われていない教育委員会は22・9%を占める現状にある。

 協議会を設置して近隣自治体で事務を共同処理している割合は15・4%で、「教員研修」「教育長・教育委員の研修」に関する例が多い。指導主事などの職員を共同設置している自治体の割合は2・2%。近隣自治体との事務委託率は4・1%で児童生徒の就学に関する事務が多く見られた。

 報告書では、小規模自治体における広域連携の事例を収集・周知するほか、各制度の特徴や活用の留意点をあらためて整理して示す国の役割を指摘。

 職員研修や学校事務の共同実施、デジタル基盤の共同運用の有効性にも触れ、2町で教育委員会を共同設置する岐阜県の教育委員会や、連絡協議会を設けることでGIGAスクールを共同で進める大分県の教育委員会の事例を取り上げている。

 地方教育行政を担う人材確保の方法も提案。他自治体の教育長経験者の選任や、校長経験者など専門的知見を有する者をアドバイザーとして任用する方策を示した。

(解説 2023-06-28付)

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