【解説】産官学連携で新技術活用(解説 2023-06-26付)
文部科学省は科学技術・イノベーション白書を公表した。高い研究能力を持つ地方大学、高専、自治体、産業界が連携・協働してイノベーション創出を図ることで、新産業や雇用創出、良質な医療サービスの提供につなげている全国各地の事例を紹介している。
科学技術・イノベーション創出の振興施策を報告するもので、各年度の話題を特集する第1部と年次報告の第2部で構成。20日付で閣議決定された。
第1部ではこれまでの地域科学技術・イノベーション政策を概観するとともに、大学、高専、自治体、企業によるイノベーションの創出と、地域社会への還元や雇用創出につなげる好事例を掲載。熊本県では最先端の半導体技術の研究開発と関連産業の創出とともに、大学や高専と連携して人材育成に取り組む様子を伝えている。
岩見沢市と北海道大学が連携して取り組む「産学地域共創プロジェクト」では、母子健康調査などのビッグデータに基づく低出生体重児の要因・対応策の分析や、日本初となる住宅・遠隔妊産婦健診の実現などによって低出生体重児の4%削減に成功。医療費の削減、20年間の消費行動や労働効果など年間2000億円程度となる経済効果が生まれると試算しており、将来の少子化対策にも寄与するよう期待されている。
全国の高専によるイノベーション創出の事例では、画像データを全自動で点字翻訳するシステムを開発した東京高専や、高齢者施設利用者の健康状態を遠隔で把握するシステムを開発した香川高専を紹介している。
第2部ではこれまでの科学技術振興方策を総括。教育データの活用やSTEAM教育による探究力育成、科学技術人材を育成するスーパーサイエンスハイスクールを取り上げている。
(解説 2023-06-26付)
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