【解説】日本版DBS導入へ有識者会議
(解説 2023-06-21付)

 こども家庭庁は、教育・保育施設や子ども関連業務従事者の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」の導入に向けた有識者会議を近く開催する。会議での議論を経て、早ければ秋の臨時国会で制度化に向けた関連法案を提出する予定。

 内閣府が4年3月に実施したアンケートによると、言葉、視覚、身体接触など何らかの性暴力被害に遭遇していると回答した若年層(16~24歳)の割合は26・4%と4分の1を占め、被害者の半数以上は誰にも相談していない。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの4年度相談件数は約6万3000件と3年前と比べて1・5倍に増加している。

 国は4年に子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本方針)を策定し、5~7年度を性犯罪・性暴力対策の「さらなる集中強化期間」に設定。再犯防止施策や相談しやすい環境の整備、「生命(いのち)の安全教育」の推進など取組を強化する方針を示している。

 英国で導入されているDBS(犯罪情報管理庁)は、政府が個人の犯罪記録を管理して性犯罪歴がないことを示す証明書を発行することで子どもを性犯罪から防止する仕組み。日本版DBSでは教育・保育施設のほか、放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ、部活動に関する業務の従事者も想定している。

 こども家庭庁はこれまで、検討チームを設置して職業選択の自由やプライバシー権との関連を含む法的な論点や具体的手続きなどを検討。有識者会議では、日本版DBS制度の必要性、制度設計における留意点や論点整理について検討を進め、制度の具体化に向けた検討を加速化させる。

 会議で子ども・家庭・福祉・児童心理・法学に関する有識者、保護者の代表らを構成員とする予定。

(解説 2023-06-21付)

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