【解説】在校等時間 適切な管理を
(解説 2023-07-11付)

 富山県滑川市内の中学校の男性教諭が死亡した原因は長時間労働として富山地方裁判所が県・市側に約8300万円の損害賠償の支払いを命じる判決を下したことを受け、永岡桂子文部科学大臣は7日の記者会見で「在校等時間や業務量の適切な管理をはじめ学校の働き方改革を一層進めていく」との考えを示した。

 平成28年7月、富山県滑川市の中学校の男性教諭がくも膜下出血の発症によって死亡する事案が発生。当該教諭は学級担任と教科担任、部活動顧問を兼務し時間外勤務は月平均110時間を上回っていた。

 遺族側は過剰な長時間労働は学校の安全配慮義務を怠ったためと損害賠償を求めて訴訟。市側は部活動の顧問に関しては教員の自由裁量と主張したが、判決では全くの自主的活動の範疇に属するとは言えないこと、業務負担軽減の是正措置をとったとは言えず、校長の安全配慮義務と長時間労働に起因する過労死を認定した。

 永岡文科大臣は「子どものため懸命に教育活動に従事していた教師にこのような事態が発生してしまうことは本人はもとより家族にとっても計り知れない苦痛であり児童生徒や学校にとって本当に大きな損失」と表明。「教員が疲労や心理的負担を過度に蓄積し、心身の健康を損なうことがないよう在校等時間や業務量の適切な管理をはじめ学校における働き方改革を一層進めていく」とし、部活動の地域移行や地域連携を進めていく考えを示した。

 文部科学省が発表した4年度教員勤務実態調査(速報値)によると、中学校の部活動やクラブ活動の平日・休日の活動時間は平成28年度の前回調査と比べ40分減少。一方、中学校教員の時間外在校等平均時間は1ヵ月当たり推計約58時間と国が定める45時間を大きく上回っている。

(解説 2023-07-11付)

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