【解説】大学等の生成AI活用
(解説 2023-07-18付)

 文部科学省は13日付で大学・高専における生成AIの教学面の取り扱いを関係者に周知した。現時点で利活用が想定される場面の例や留意点を示し、各大学等で策定する指針の見直しや組織的な研修に役立てるよう期待している。

 チャットGPTをはじめとする対話型生成AIの活用が広がる中、多くの大学等が利活用の可否や不可とする場面で活用した際の措置などを示す指針の策定を進めている。文科省は各大学等の教育の実態に応じて対応を検討すること、技術の進展や指針の運用状況に応じて対応を適宜見直すことが重要としている。

 生成AIの利活用が有効な場面例として「ブレインストーミング」「論点の洗い出し」「情報の収集」「文章構成、翻訳やプログラミングの補助」を挙げ、技術的限界の体験によって生成AIを使いこなす教育活動にも言及。教員による教材開発や大学事務での活用に触れ、教職員間で取組事例・懸念事項を共有し適切な活用を追求する有効性を示した。

 留意すべき観点は①学習活動との関係性や成績評価②技術的限界③機密情報や個人情報の流出④著作権―の4点。レポート・論文では生成AI利活用の旨や活用した生成AIの種類・個所を明記させること、小テスト・口述試験等と併用することなど評価方法の工夫を挙げた。

 質問や指示に個人情報や機密情報を含めることで情報漏えいにつながるリスクもあるとし、特に教職員が利用する場合、大学等の情報セキュリティ指針や、個人情報保護法を踏まえた対応を呼びかけている。

 生成AIの診断ツールの開発も進みつつあるが、文科省は学習成果で診断ツールを活用する場合は結果を過信しないことが重要と指摘。有料版・無料版で成果物に差が生まれ得ることにも留意が必要としている。

(解説 2023-07-18付)

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