夕張市 5年度教育行政執行方針 小中一貫教育へ協議 幼児から高校卒業まで支援
(市町村 2023-07-28付)

夕張市教育長小林広明
夕張市教委・小林広明教育長

 【岩見沢発】夕張市教委の小林広明教育長は第2回定例市議会で5年度教育行政執行方針を説明した。学習指導や教育課程の編成・実施、児童生徒指導など各分野における小中一貫した学びの実現に向けて、さらに協議を推進。また、幼児教育の段階から高校卒業へとつなぐ一連の継続した支援に努める。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育の推進

▽確かな学力を身に付ける教育の推進

 タブレット端末の学習ツールとしての積極的な活用や文部科学省が実施するデジタル教科書の活用検証事業を通して、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な実現に努め、子どもたちの思考力・判断力・表現力や情報活用能力の育成を目指すとともに、オンラインによる授業配信にも取り組み、学びを止めることなく、児童生徒の学ぶ意欲の向上を促進する。

 本年度新たに小中学生の希望者を対象に、タブレット端末を活用した「ゆうばりサポートオンライン塾」を開設。自ら学びに向かう力や確かな学力の一層の向上と定着を目指する。

 小中協働の強化について、小中連携学力向上プロジェクト委員会(ユープロ)の活動の充実を通して、小中間で一貫性のある授業スタイルや学習規律の共有を図るとともに、合同研修や乗り入れ授業、小学6年生児童の中学校校舎での学習活動の実施等小中の交流事業を実践する。

 また、9年間を通した学力の経年変化の分析と改善策の検討を行うなど、義務教育9年間を通して一貫した学力向上策を追究する。

 教師の授業力の向上について「新たな教師の学びの姿」の実現を目指す、教師主体の研修制度がスタートする。個別最適な学びと協働的な学びの一体的な実現に努め「主体的・対話的で深い学び」の充実や学習ツールとしてのICT機器を有効活用した授業改善のためのスキルアップを図る。

▽豊かな人間性を身に付ける教育の推進

 組織的な生徒指導、教育相談体制の確立や外部専門機関との連携および情報交流等の充実を図り、いじめや不登校の未然防止に努める。さらに、不登校児童生徒の支援については、教育支援センター(適応指導教室)の設置へ向けて準備、検討する。

▽小中一貫ならびに幼児期から高校卒業までをつなぐ学びの充実

 小中一貫した教育は、9年間を通して子どもたち一人ひとりの学びを支え、可能性を伸ばし、誰一人取り残すことのない教育の実現を目指す重要なテーマと考えている。本年度は、学習指導や教育課程の編成・実施、児童生徒指導など各分野における小中一貫した学びの実現に向けて、さらに協議を深めていく。

 具体的には、ユープロの活動による学力向上策だけでなく、心と体の育成における生活規律や体力向上策の連携・協働および、児童生徒理解や学級経営の交流等、小中一貫した取組を進める。また、先進事例の調査研究や設置された小中一貫校または義務教育学校への視察研修を行っていく。

 夕張高校との連携については、小・中・高間での教育活動や生徒指導等の情報交流・引き継ぎ、授業参観や夕張高が実施する職員研修に小・中の教員が参加するなど積極的に行う。

 また「小中高一貫ふるさとキャリア教育」の推進では、地域の人材や教育資源を生かした学習に取り組み、郷土理解と郷土愛を育むふるさと学習の充実を図るとともに、子どもたちがまちづくりや地域の将来像を話し合ったり、情報活用能力や課題解決能力を培ったりする実践に努める。

 さらに、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要性を踏まえ、認定こども園・保育園とゆうばり小学校との連携・協働の取組を進め「架け橋期」の教育の充実を図る。持続的な街づくりや地域経済の発展のためにも、小中一貫した学びを中心に、幼児教育の段階から高校卒業へとつなぐ一連の継続した支援に努める。

▽信頼される学校づくりと家庭、地域との連携

 学校運営協議会活動の充実を図るとともに、地域学校協働本部や市内企業、NPO法人、官公庁等の支援を得て、体験型、課題探究型の学習活動に取り組む。

 道では、道民みんなで教育を考える日として11月1日を「北海道教育の日」と制定している。市においても、本年度、この11月1日を「夕張市教育の日」として制定し、市民の皆さんが家族ぐるみ、地域ぐるみで教育を考えてみる、そんな機会にしてほしいと考えている。

▽教職員の働きやすい環境の構築

 教職員の時間外勤務を削減し、教材研究や子どもたちと向き合う時間を確保するなど教師本来の職務に専念できる環境の整備については、校務支援システムの導入による教職員の勤務時間の管理を行うことで時間外勤務の縮減を図るなど、働き方改革を推進する。

 また、中学校運動部活動の土日の地域移行については、実施に向けた協議を関係者、関係機関等と行っていくなど、一層の教職員の職務環境の向上を図る。

(市町村 2023-07-28付)

その他の記事( 市町村)

赤平市 5年度教育行政執行方 小中で統一した活動推進 部活動地域移行へ調査・研究

 【岩見沢発】赤平市教委の高橋雅明教育長は第2回市議会定例会で5年度教育行政執行方針を説明した。小・中学校での統一した教育活動を推進。また、部活動の地域移行について関係機関と連携を図りながら...

(2023-08-04)  全て読む

北広島の山口校長と工藤校長 コロナ禍を振り返る デジタル化進行 交流再開に期待

石狩小中教頭会新会長山口歩  新型コロナウイルス感染症は令和2年1月に国内で初の確認以来、学校現場に多大な変化をもたらした。コロナ禍における3年余りの間、感染拡大防止と学びの保障に追われた学校現場の苦労は計り知れない。...

(2023-08-03)  全て読む

スポーツ科学とカーリング研修 科学の視点で競技体験 北見市教委など 最新技術紹介

北見市教委北見工業大スポーツ科学とカーリング研修会  【網走発】北見市教委と北見工業大学は7月27日、アルゴグラフィックス北見カーリングホールで「スポーツ科学とカーリング」研修会を開いた。北見市内の小・中学校、義務教育学校の教諭10人が参加。...

(2023-08-01)  全て読む

由仁町 5年度教育行政執行方針 小学校算数 一部教科担任制 中学校数学教員が担当

由仁町教育長石井洋  【岩見沢発】由仁町教委の石井洋教育長は第2回定例町議会で5年度教育行政執行方針を説明した。小中一貫教育について本年度から計画的に推進。中1ギャップ解消のために小学校の算数に一部教科担任制を...

(2023-07-31)  全て読む

芽室町 精力的に地学協働活動展開 子の個別最適な学び支援 ボランティア100人以上登録

芽室町・地学協働活動  【帯広発】芽室町では、地域住民が日常的な教育活動を支える地域学校協働活動が盛んに行われている。学校支援ボランティアに参加したことで「子どもたちから元気をもらった」という声が住民から住民へと...

(2023-07-28)  全て読む

大樹町5年度教育行政執行方針 GIGA運営支援センターを設置 中学校バリアフリー設計も

大樹町教育長沼田拓己  【帯広発】大樹町教委の沼田拓己教育長は5年度教育行政執行方針において、GIGAスクール運営支援センターを設置することを示した。また、特別な教育的支援を必要とする子どもたちの在籍状況を踏まえ...

(2023-07-25)  全て読む

網走市教委 学校力向上へ地域協 課題や方向性など確認 ICT活用や家庭学習探る

網走市教委第2回地域協議会  【網走発】網走市教委は14日、網走市立第一中学校(仲野寿浩校長)で学校力向上に関する総合実践事業5年度第2回地域協議会を開いた。中核校の網走小学校をはじめ、各指定校の校長、教頭、主幹教諭、...

(2023-07-25)  全て読む

足寄町5年度教育行政執行方針 検証改善サイクル確立 効率の良い指導を工夫

足寄町教育長東海林弘哉  【帯広発】足寄町教委の東海林弘哉教育長は5年度教育行政執行方針において、教育課程の充実や学力を高める検証改善サイクルを確立することを示した。生涯学習推進アドバイザーの指導のもと、小・中・高...

(2023-07-25)  全て読む

部活動地域移行へ十勝管内2町村 池田町教委 検討協初会合 現状把握し課題整理を 少年団や高校との連携視野

池田町・部活動地域移行検討協議会  【帯広発】池田町教委は、学校部活動地域移行検討協議会を設置した。10日に第1回会合を開き、国の動向および町の現状を委員13人と共有。加賀学教育長は、町の現状を把握した上で課題を整理する必要...

(2023-07-21)  全て読む

部活動地域移行へ十勝管内2町村 中札内村教委 説明会開く 地域に応じ運営体制を 道スポーツ協・熊耳氏が解説

中札内村・部活動地域移行説明会  中札内村教委は10日、村内の創造文化センターで部活動地域移行説明会を開いた。道教委の部活動の在り方検討支援アドバイザー派遣事業を活用し、公益財団法人北海道スポーツ協会のクラブアドバイザーを...

(2023-07-21)  全て読む