【解説】いじめ調査 改善へ協議
(解説 2023-08-16付)

 文部科学省・こども家庭庁が設置するいじめ防止対策協議会は9日に本年度の初会合を開き、いじめの重大事態調査の運用・体制の改善に向けた協議を開始した。国は今後、協議会の意見を踏まえ第三者性の確保方策を講じるほか、国の重大事態調査のガイドラインの見直しを行う。

 いじめ重大事態の件数は増加傾向にあり、3年度の発生件数は705件と過去2番目に多い数字に。一方いじめ重大事態調査は、調査すべき内容が必ずしも明確でないために学校や学校設置者に過度な負担を強いている事例や、調査組織の設立の遅れ、調査の長期化につながる事例もあるなど対策が急務となっている。

 国は4月から学校設置者に対していじめ重大事態調査の報告書の提出を求めており、文科省とこども家庭庁が情報共有し、調査の適切な運用やいじめ防止対策の改善・強化を図っている。

 会議も今回から初めてこども家庭庁と共同設置に。委員からは重大事態調査の分析結果を踏まえた望ましい調査方法を早期に示すとともに、多忙な学校現場を支援する体制の整備を早急に検討するよう求めた。

 調査組織の第三者性確保に当たっては、弁護士や臨床心理士などの委員の選定を支援する広域団体の設立を要望。

 また、首長部局によるいじめ再調査の実施の有無を判断する基準が明確でない可能性があるとし、いじめ重大事態調査のガイドラインにおいて一定の明確な基準を明示するよう求めた。

 このほか、基礎自治体となる市区町村教委のみでの対応が困難なケースが多いことから、広域自治体である都道府県教委との連携強化が必要との意見も。「特に小規模自治体では専門家のネットワークは乏しい。基礎自治体間の広域連携と都道府県の連携が極めて有意義」と指摘した。

(解説 2023-08-16付)

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