【解説】日本語教育の質向上へ
(解説 2023-08-24付)

 日本に住む外国人が増え、日本語教育の需要が高まる中、日本語教師の国家資格の新設などを盛り込んだ日本語教育機関認定法が5月に国会で成立した。教師の指導力や教育内容のばらつきが問題視されていたが、質の向上へ踏み出す。

 国は平成20年に「留学生30万人計画」を掲げ、令和2年を目標に留学生の受け入れ体制を強化してきた。元年には31万2000人を受け入れ、コロナ禍で減ったものの前年度は23万人に。これに伴い、日本語学校も右肩上がりで増えており、留学生の約2割が日本語学校で学ぶ。

 日本語教師になるためには、大学で養成課程の所定単位を履修、民間の研修を420時間以上受講、民間の検定試験に合格など複数のルートがある。そのため、教師の指導レベルに差が生じることなどが問題視されていた。ことし1月に文化庁の有識者会議がまとめた報告書でも「教員の経験不足が改善されていない学校がある」「学習ニーズの多様化に対応できる教師の質的・量的確保が不十分」との指摘があった。

 こうした状況を踏まえて新法では、指導の質を保つため日本語学校の教師には国家資格「登録日本語教員」の取得を義務付ける。筆記試験合格と実践研修の修了を取得条件とする。

 筆記試験は基礎と応用があり、国の指定期間が実施する。既に大学の養成課程や民間の研修を修了した者は基礎試験を免除する。また現役教師は教育実習が免除となる。本年度中に試行試験を実施する計画。問題の分析や改善、システムの検証などを行う。

 また、新法では日本語学校の教育内容や生活の支援体制などが適正か国が審査し、要件を満たした学校を認定する仕組みも設定。認定基準案は21日に公開し、来月20日までパブリックコメントを募集している。

(解説 2023-08-24付)

その他の記事( 解説)

【解説】1日は「防災の日」

 きょう9月1日は「防災の日」。地震発生を想定し、参加者がそれぞれの場所で安全行動を取る統一行動訓練「北海道シェイクアウト」は午前10時から始まり、学校、企業、福祉施設、公共機関など約9万3...

(2023-09-01)  全て読む

【解説】学校の業務改善の対応例

 文部科学省は学校・教員が担う業務を「基本的に学校以外が担うべき業務(登下校対応、学校徴収金の徴収・管理など)」「学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務(調査・統計等への回答、休み時...

(2023-08-30)  全て読む

【解説】日本版DBS導入を検討

 政府は、子どもと接する仕事に就く者に性犯罪歴がないことを確認する新しい制度「日本版DBS」導入の検討を進めている。こども家庭庁の有識者会議が23日開かれ、学校や保育所などでは義務化すべきと...

(2023-08-29)  全て読む

【解説】遠隔授業の要件弾力化を

 中教審初等中等教育分科会の高校教育の在り方ワーキンググループは24日の会議で議論の中間まとめ案を示した。高校の統廃合進行による小規模校存続の必要性から遠隔授業の要件の弾力化を提案したほか、...

(2023-08-28)  全て読む

【解説】学校事故対応指針見直しへ

 文部科学省は24日、学校安全の推進に関する有識者会議を開き、学校事故対応に関する調査結果を報告した。2~4年度に学校管理下で起きた死亡事故に関し、都道府県・指定都市教委の3割が国に報告して...

(2023-08-25)  全て読む

【解説】援助希求教育 9月実施を

 18歳以下の自殺者数は8月下旬から9月上旬の長期休業明けにかけて増加する傾向にあり、文部科学省は対策を呼びかけている。道教委は18日付で関係者に対し自殺予防週間(9月10~16日)の実施に...

(2023-08-23)  全て読む

【解説】プール事故防止手引 策定3割

 こども家庭庁が18日に公表した「放課後児童クラブにおけるプール活動等の実施状況に関する調査結果」によると、プール、海、川、湖など入水を伴う活動を実施している道内放課後児童クラブの安全対策マ...

(2023-08-22)  全て読む

【解説】社会参画につながる探究活動を

 今回の研究成果は9日に札幌市内のかでる2・7で開かれた道高校「倫理」「公共」研究会第57回研究大会で会員が報告した。  特筆すべき事項は多岐にわたり、特に学校生活や現在の生活に対する満足...

(2023-08-18)  全て読む

【解説】専門科目の免許取得促進

 文部科学省は10日の中教審初等中等教育分科会教員養成部会で、教科に関する専門的事項に関する科目見直しのための省令案を示した。現職教員が認定講習等で免許状を取得しやすくすることがねらいで、専...

(2023-08-17)  全て読む

【解説】いじめ調査 改善へ協議

 文部科学省・こども家庭庁が設置するいじめ防止対策協議会は9日に本年度の初会合を開き、いじめの重大事態調査の運用・体制の改善に向けた協議を開始した。国は今後、協議会の意見を踏まえ第三者性の確...

(2023-08-16)  全て読む