【解説】社会参画につながる探究活動を
(解説 2023-08-18付)

 今回の研究成果は9日に札幌市内のかでる2・7で開かれた道高校「倫理」「公共」研究会第57回研究大会で会員が報告した。

 特筆すべき事項は多岐にわたり、特に学校生活や現在の生活に対する満足度が非常に高い反面、家庭学習の時間の短さや学業に悩んでいる生徒の割合が高い傾向にあり、現状の満足度の高さが必ずしも将来への積極的なアプローチに直結していない点が挙げられた。

 また「人生にはお金が何よりも大切」「今が楽しければそれが一番良い」「人生は運に左右されることが多い」と考えている割合は保護者より生徒の方が高く、コロナ禍の制約を経て現実主義的、刹那的な傾向が強くなっている可能性が推察された。社会に必要な技能に対する生徒の認識は高く「多くの人と協働して課題を解決する力」に関しては、日々の学校生活や部活動での指導が影響していると指摘している。

 選挙権の行使に関しては78・3%の生徒が肯定的に捉えているが、24・1%が「自分の1票では社会が変わらない」と考えている。8割の生徒が「社会に貢献したい」「地域の文化・伝統的価値を大切にすべき」と回答したものの、実際にボランティアや環境保全活動、文化財保全活動に興味を抱く生徒は5割程度と差が生じている。

 こうした状況について同研究会は、必要性を理解するものの行動に移しにくい生徒、「誰かがやってくれる」と考える生徒への働きかけが必要とし、実際に社会的課題の解決に向けて行動する人や団体を紹介する教育活動、公共の学習の意義をあらためて強調。社会参画につながる探究を目指して授業を設計する教員の発想や、他教科・科目、総合的な探究の時間などと連携して学習計画を考えるカリキュラム・マネジメントの重要性を挙げている。

(解説 2023-08-18付)

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