少年の主張石狩地区大会 千歳中3年・矢部優実さんが最優秀 読書楽しむことの大切さ
(道・道教委 2023-08-16付)

少年の主張石狩地区大会
千歳中3年・矢部優実さん

 石狩振興局は7月中旬、5年度少年の主張石狩地区大会を開いた。審査の結果、「読書を“楽しむ”ことの大切さ」をテーマに発表した千歳市立千歳中学校3年の矢部優実さんが最優秀賞に輝いた。優秀賞は、当別町立西当別中学校2年の鴨川凛璃子さん、恵庭市立恵明中学校3年の吉田有李さんが受賞した。矢部さんは、読書を通じて視野を広げ、教養や知識、読解力を身に付ける重要性を主張した。読書と読解力の相関関係に触れながら、多くの人が読書を楽しむことが大切であると実感。「読書の喜びを感じてくれる人が一人でも増えることを願っている」と訴えた。

 『へいわのうた』。これは私が生まれてから初めて好きになった本の名前です。私の母は、私が小さな頃からよく図書館に連れて行ってくれました。そのおかげで、私は今も本を読むことが大好きです。読書は視野を広げたり、教養や知識を身に付けたりすることができるとても素晴らしいものです。

 しかし、最近、読書をしない人が増えていることが社会で問題になっています。日本を含む72の国で行われている国際学力到達度調査(PISA)によると、文章を正確に読み取る力である読解力について、日本は低下傾向にあるそうです。また、PISAでは、読書が習慣になっている人の方が、得点は高い傾向にありました。このことから、読書と読解力には、深い関わりがあることが分かります。

 私は、読解力は人間にとって最も必要な力だと思っています。なぜなら、読解力を身に付けることができるのは人間だけであり、読解力のすごさを知っているのも、人間だけだからです。実は、今から300年ほど前の日本人はとても読解力が高かったと言われています。その理由は、当時の日本人は非常に読書好きだったからです。江戸時代の日本人にとって、読書は一番の娯楽でした。たくさんの本を読んでいれば、当然読解力や思考力は高まっていきます。そして、読書によって培われた力が「明治維新」で発揮されます。日本人が身に付けた読解力や思考力のおかげで、日本は奇跡と呼ばれるスピードで近代化に成功しました。

 このような歴史から、読解力は人間にとってとても大切な働きをしてくれることが分かります。さらに、読解力が役立つのは江戸時代だけではありません。AI時代と呼ばれている現代にも、読解力はとても重要な力です。AIの発達によって、今後、人間の職業がAIに代替されることが懸念されています。しかし、AIは読解力という力を身に付けることができません。言葉が生み出す豊かな世界や、言葉に表れる複雑な感情を読み取ることなどは、人間にしかできないことです。AIの発達がどれだけ進んでも、人間にしか担うことのできない仕事が必ずあります。つまり、読解力はどんな時でも、私たちにとって必要な力なのです。

 そして、その読解力を付けるためには、読書が一番の方法です。私は、読書をする人が増えれば読解力が高い人を増やすこともできると考えています。そのためには、読書をする人を増やすことが必要です。では、読書をする人を増やすには、どうすれば良いのでしょうか?

 「之を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず」。中国の有名な書物「論語」に出てくる言葉です。ある物事に対して、それを知る者は、それを好む者にはかなわない。それを好む者は、それを楽しむ者にはかなわないという意味です。私は、これは読書に向かう時の姿勢にも言えることだと思います。読書を楽しむことができれば、読書量が増え、読解力や思考力などの力は身に付いていきます。私は、読書をする人を増やすには、読書を「楽しい」と思う人を増やすことが大切だと思っています。

 長い文章を読むことに抵抗がある人は、漫画や雑誌など、読みやすいものから入るのも一つの方法です。まずは、写真や絵が多くても楽しいと思えるものを手に取るべきです。読書は何歳から始めても遅いということはありません。これから、私が幼い時に感じた本からの感動を多くの人に伝えたい。そして、読書の喜びを感じてくれる人が一人でも増えることを願っています。

(道・道教委 2023-08-16付)

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