視覚障がい者の同級生題材に　ＮＨＫ放送コンテストラジオ部門　札幌丘珠高放送局が優勝

（学校 2023-09-07付）

（左から）下嶽さん、藤原さん、顧問の柳谷論史教諭

　札幌丘珠高校（能登啓児校長）の放送局は、７月下旬の４日間開催されたＮＨＫ放送コンテストのラジオ・ドキュメント部門で全国優勝した。２年生の藤原理華さんと下嶽大登さんを中心に、同校の視覚障がいのある２年生の津川れいらさんのドキュメンタリー番組を制作。津川さんの「一人の人として見てほしい。障がいじゃなくて個性だから」という思いを収録した。同作品は今月１５日にＡＩＲ―Ｇ㈱ＦＭ北海道８０・４で放送される。

　同コンテストのラジオ・ドキュメント部門は、７分間の規定時間で、学校を取り巻く素材を高校生の視点で表現し、制作したかを競う。全国大会には約１８０校が参加し、同校が優勝。「枠をはずして」をテーマに同校の視覚障がいがありながらも誰よりも明るく生きる津川さんを特集した。

　津川さんは、小学校１年生の時に交通事故に遭い、枠で囲われている文字が見えなくなり、色調の区別が難しくなった。迷惑よりも心配をかけてはいけないと考え「人に迷惑をかけている分、自分でできることは誰よりも頑張りたい」と話す。

　「障がいは本人しか分からないから、自分が困っていると伝えないと相手も分からない。先生が知らないまま授業が進み、自分にとって意味のない授業になる。手伝ってほしいだけで、特別視されたりかわいそうと思ってほしいわけではない」と話し、「他人と違うのは当たり前。個性だと受け止めて、一人の人として見てほしい。病気ではなくて個性だから」と訴えた。

　テーマの考案者の下嶽さんは「津川さんは、家庭科のバリアフリーの授業の時に、初めて自身の障がいを明かした。障がいを周囲に感じさせずに明るく生きる姿に興味を持ち、ドキュメンタリーをとりたいと思った」と話した。

　責任者の藤原さんは、全国優勝したことについて「まさか優勝できるとは思わなかった。決勝の時、会場で約３０００人の前で作品が放送されたのが印象的だった。多くの人に聞いてもらえることをとてもうれしく思う」と話した。

１５日に放送

　作品は今月１５日にＡＩＲ―Ｇ，ＦＭ北海道８０・４で放送される。

視覚障がい者の同級生題材に　ＮＨＫ放送コンテストラジオ部門　札幌丘珠高放送局が優勝

(学校 2023-09-07付)