教職員の協力を高める学校づくり〈№１２２〉　「改善させる」から「育む」へ　生徒指導提要の改訂を読む⑤

（教職員の協力を高める学校づくり 2023-09-08付）

　「生徒指導提要」改訂版の１９ページには、生徒指導を組織的・計画的に進めるために「２軸３類４層」の重層的支援構造モデルが特徴的に示されています。

　２軸の常態的・先行的（プロアクティブ）生徒指導とは、日常の生徒指導を基盤とする発達支持的生徒指導と組織的・計画的な未然防止教育の積極的な先手型の生徒指導をいい、もう一方の軸を、課題の予兆的段階や初期状態における指導・援助を行う課題早期発見対応と深刻な課題への切れ目のない指導・援助を行う困難課題対応的生徒指導として事後対応型の即応的・継続的（リアクティブ）生徒指導としています。

　上にある図は、生徒指導の課題性への対応の種類から３類に分類され、発達支持的生徒指導とは、全ての児童生徒を対象に発達を支える生徒指導を意味しています。

　つぎの段階である課題予防的生徒指導とは、全ての児童生徒を対象とした課題の未然防止教育と、課題の前兆行動が見られる一部の児童生徒を対象とした課題の早期発見と対応を含んでいます。

　また困難課題対応的生徒指導とは、深刻な課題を抱えている特定の児童生徒への指導・援助をいいます。

　さらに生徒指導の４層とは、２軸３類に加えて、生徒指導の対象となる児童生徒の範囲から、全ての児童生徒を対象とした第１層「発達支持的生徒指導」と第２層「課題予防的生徒指導：課題未然防止教育」、一部の児童生徒を対象とした第３層「課題予防的生徒指導：課題早期発見対応」、そして、特定の生徒を対象とした第４層「困難課題対応的生徒指導」の４層からなる生徒指導の重層的支援構造としてモデル化しています。

　特徴として言えるのは、目前の問題に対応する問題解決型の即応的・継続的（リアクティブ）生徒指導に重きを置くのではなく、積極的な生徒指導として成長を促す常態的・先行的（プロアクティブ）指導等（発達支持的生徒指導、課題未然防止教育）を日常的に充実させることが盛り込まれたことにあります。

　言い方を換えるならば「改善させる」生徒指導から「育む」生徒指導に重点を置くことが特徴と言えます。

（北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭）

(教職員の協力を高める学校づくり 2023-09-08付)