教職員の協力を高める学校づくり〈№120〉 自ら守ろうとする校則か 生徒指導提要の改訂を読む③(教職員の協力を高める学校づくり 2023-08-10付)
今号から生徒指導提要の第I部「生徒指導の基本的進め方」にある特筆すべき内容について記述します。
働き方改革の要請や教員不足の問題、ベテラン教員の大量退職と若手教員の増加などによる学校の指導力不足など様々な課題が教育現場で語られていますが、まず読者の皆さまに期待したいことは、教職員が生徒指導提要の趣旨を理解し、生徒指導観を変え、教師の指導を前提とする「~をさせる生徒指導」から、個々の発達を支え「生徒自ら~する生徒指導」に変換することです。
さらに今後の生徒指導の在り方について共通認識を持ち、生徒指導提要が示している生徒指導によって学校がどう変わっていかなければならないのか。また変わることによってどのような生徒像が期待できるのかを描きながら、抱えている課題と向き合い検討を重ね実践することを願っています。
詳細にわたる生徒指導提要の改訂版ですが、第I部「生徒指導の基本的進め方」の第3章は学校の校則について「校則は児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるものであり、児童生徒の発達段階や学校、地域の状況、時代の変化等を踏まえて、最終的には校長により制定されるもの」としており、「校則の運用については、校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けたきまりであるのか、教職員がその背景や理由について理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意義を理解し自主的に校則を守るように指導していくことが重要である」と述べています。
この記述で注目しなければならないのは、学校のきまりそのものについて、教職員全員がその必要性を十分に理解するとともに、生徒が学校生活を過ごす上で納得できる校則である内容であるかどうか。さらに学校から「指導されるための校則」ではなく「自らを律するために守る校則」と捉えられる校則であるかどうかです。
そのためには校則を見直す過程が重視されるべきであり、教師の押し付けではなく、生徒と協議し生徒と教師の合意形成の機会を経て決定されるべきであると理解しています(生徒指導再考シリーズ№74~76参照)。
つぎに校則は「普段から学校内外の関係者が参照できるように学校のホームページ等に公開しておくことや、児童生徒がそれぞれのきまりの意義を理解し、主体的に校則を順守するようになるために、制定した背景等についても示しておくことが適切であると考えられ、校則を制定してから一定の期間が経過し、学校や地域の状況、社会の変化等を踏まえて、その意義を適切に説明できないような校則については、あらためて学校の教育目的に照らして適切な内容か、現状に合う内容に変更する必要がないか、また本当に必要なものか、絶えず見直しを行うこと」、さらに「校則によって、教育的意義に照らしても不要に行動が制限されるなど、マイナスの影響を受けている児童生徒がいないか、いる場合にはどのような点に配慮が必要であるか、検証・見直しを図ることも重要」としています。
つまり校則は時代の流れに応じて見直し、改善を図りながら、地域や保護者の理解を得るためホームページなどで公開する意義が述べられており、地域や保護者に信頼され、開かれた学校づくりのためにも校則改定の一連の作業は、重要な意味を担っていると言えます。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2023-08-10付)
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