【解説】障がい学生の支援拠点拡充へ
(解説 2023-09-20付)

 大学、短大、高等専門学校に在籍する障がいのある学生は増加しており、日本学生支援機構の調査によると4年は前年比8928人増の4万9672人を記録。10年前の1万1768人の約4倍となっている。

 障がい種の割合は「精神障がい」が31・8%、「病弱・虚弱」が27・2%、「発達障がい」が20・7%などで、特に発達障がいをはじめ目に見えない障がいの増加が顕著となっている。在籍率は大学が1・19%、短大が1・48%、高専が4・48%。

 各大学等では、教室内在籍の配慮、授業内容の代替や提出期間の延長、試験時間の延長、別室受験など求められる支援が多様化している。しかし、障がいのある学生を支援する専門部署を設置する大学等の割合は全体の26・1%、担当者の配置率は22・7%にとどまっている。6年度からは改正障害者差別解消法が施行となり、私立を含む全ての大学等で障がい者への合理的配慮の提供が義務化されるため、各大学等への支援が求められている。

 こうした状況を踏まえ文部科学省は、先進的な取組や知見を有する大学等を中核とするプラットフォームの形成支援の拡充を計画。6年度は全国に4つの拠点を整備し、高等教育機関全体における障がい学生支援体制の整備を図る。

 事業期間は6~10年度の5年間で、障がい学生を支援する人材育成に向けた研修のほか、学生相談に対応するための指導助言、支援機器の貸し出しを開始する。また、合理的配慮の提供事例や紛争解決事例などの好事例を収集し、大学等で活用できるデータベースを構築する。

 現在文科省の有識者会議では、これら合理的配慮の提供に関する諸課題や具体的な対応方策について検討を進めており、6年1月にも議論の第3次取りまとめを行う見通し。

(解説 2023-09-20付)

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