【解説】多様な学び 認知格差解消を(解説 2023-09-22付)
子どもの好奇心や探究心に応えて支援する「サード・プレイス」が、都市部を中心に現れつつある。
東京大学では科学技術に卓越した意欲や能力を持った高校生を発掘・育成する東大GSC(グローバル・サイエンスキャンパス)がサード・プレイスとして機能。科学技術に卓越した高校生を研究室で預かり、教員や大学院生による指導や学会発表・論文発表への参加によって学際的な視点や創造性を養っている。
フランス発のエンジニア養成機関「42(フォーティーツー)東京」もその一つ。学歴・職業にかかわらず挑戦したい人に質の高い教育を提供するというコンセプトで、学費は完全無料、24時間利用可能な施設などの環境を整備している。16歳以上から入学可能だが、オンラインテストに合格した入学候補者同士が4週間、協力して取り組む入学試験に合格する必要がある。
㈱NEST EdLABが運営するオンライン研究スクールNEST LAB(小中学生の才能発掘研究所)では、科学、ロボティクス、AI、プログラミングなどに興味・関心を抱く児童生徒を対象に教材や研究サポートを提供し、オンラインでの指導を受けて実験や発表を行っている。
一方、こうした取組は都市部に限られており、特に収益化が困難な地方部においては学びへのアクセスが困難となっている。また、利用者の多くは家庭力や情報収集力が高い富裕層に限られている現状もある。
このため教育イノベーションの在り方を検討する経済産業省の産業構造審議会は、オンラインや民間資金の組み合わせによって子どもの好奇心を伸ばすこと、学校教育とサード・プレイスの相互連携で認知格差を克服して地域や家庭の力に左右されることのない環境を構築することの重要性を提起している。
(解説 2023-09-22付)
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