道議会質疑一般質問(6月30日)(道議会 2023-10-20付)
Q 質問QuestionA 答弁AnswerP 指摘Point outO 意見OpinionD 要望Demand
【質問者】
▼水間健太議員(自民党・道民会議)
▼小林千代美議員(民主・道民連合)
▼武市尚子議員(自民党・道民会議)
▼早坂貴敏議員(自民党・道民会議)
▼石川さわ子議員(北海道結志会)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼菅原裕之総合政策部地域振興監
▼中島俊明経済部長
▼加納孝之環境生活部長
▼野澤めぐみ保健福祉部子ども応援社会推進監
▼倉本博史教育長
◆特別支援教育
Q水間議員 3年度、中学校において特別支援学級に在籍していた生徒が高校に進学した割合は約40%である。
支援を必要とする子どもが高校生活を円滑に過ごす上で、学級担任等の専門性の向上も重要であるが、それ以上に管理職の意識を高める必要があると考える。道教委は、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A倉本教育長 高校における特別支援教育について。道教委が4年度に実施した調査では、道内の高校において特別な教育的支援を必要とする生徒が一定数在籍しており、管理職を含む全ての教員について、障がいへの理解や専門性の向上を図ることが求められている。
こうした中、道教委では、教職員を対象とする特別支援教育の研修の機会を設けているが、各高校が、支援を必要とする生徒に対して適切な指導や支援を組織的に行うための校内支援体制を充実させるためには、校長のリーダーシップが重要である。
このため、道教委では、本年度から、管理職を対象とした特別支援教育を重点とする学校経営のための研修を実施するとともに、各高校における支援に関するニーズを踏まえたフォローアップを行うこととしており、こうした取組を通じて特別支援教育への管理職の意識を高め、これまで以上に生徒に寄り添う教育の推進が図られるよう取り組んでいく。
Q水間議員 全道的に特別支援学級の子どもたちが増加傾向にある中で、保護者が身近な地域で適切な支援を受けさせたいと願っても、近隣の地域に通学可能な学校がないことから、遠く離れた高等支援学校に入学せざるを得ない子どもが多いと聞いている。
未配置地域への配置など、地域の実態に応じた高等支援学校の配置について、道教委としての基本的な考え方を伺う。
A倉本教育長 高等支援学校の配置について。道教委では、障がいのある生徒が、できるだけ身近な地域において、障がいの状態や心身の発達の段階等に応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保するという観点に立ち、高校や小・中学校の空き校舎、空き教室など、既存施設を活用して、必要な受け入れ体制の整備を図ってきた。
今後も、こうした考え方のもと、中学校における障がいのある生徒の在籍状況や今後の推移、圏域内における高等支援学校の配置状況、地域における実習先や就労先などの状況、活用可能な空き校舎など既存施設の状況などを総合的に勘案し、生徒の障がいの状態や、本人、保護者のニーズ等を把握しながら、受け入れ体制の整備を検討していく。
Q水間議員 高等支援学校を卒業した生徒の就職率は、近年、上昇しており、この間、教職員や生徒の努力もあり、地域の障がい者理解が進んだものと考えている。
これまでの取組に加え、地域の教育資源を積極的に活用することで、今後さらなる可能性があると考えるが、道教委の取組について伺う。
A倉本教育長 地域の教育資源の活用について。高等支援学校の生徒が、経験を広げて積極的な態度を養い、社会性や豊かな人間性を育むためには、学校が、地域の方々や関係機関などと連携協働しながら、生活に根差した実践的な教育の充実を図ることが重要である。
こうした中、道教委では、連携協働の一層の推進に向け、学校と地域住民などが目標やビジョンを共有し、力を合わせて学校の運営に取り組むコミュニティ・スクールの設置を進めてきており、ことし4月をもって全ての道立特別支援学校に導入した。
各高等支援学校においては、地域と共にある学校の実現はもとより、生徒の実習先や就労先の拡大に向け、地域行事への参加や企業等と連携した職場体験などを実施しており、道教委では、こうした取組の普及に向け、本年度から、複数の学校を指定した上で、効果的な事例や成果、工夫した点などを取りまとめることとしており、地域資源を活用した多様な教育活動が多くの学校で実践されるよう取り組んでいく。
◆半導体人材育成
Q小林議員 次世代半導体製造成功の鍵は、いかに優秀な人材を道内で育成できるかにあると認識する。
知事は、ラピダス社に対して、道内には多数の高等教育機関があり、人材面でラピダスのプロジェクトに貢献できると強調し、誘致をしたが、日本ではかつて、半導体産業の衰退によって多くの優秀な人材が海外に流出し、その後、人材育成も十分に進まなかった過去がある。
半導体を専門的に研究する学科を持つ大学は道内に少なく、教員も少ないのが現状である。
半導体関連技術者全体が日本では人手不足の状況にあり、学生が大学院を卒業するには少なくとも6年かかる。スピード感を持った学生の育成にいかに対応できるのか伺う。
道内の大学を卒業した方の多くは道外に就職する現在、育てた優秀な人材を道内での就職につなげることができるのか伺う。
また、高等教育機関への支援が不可欠と考えるが、知事の見解を求める。
A鈴木知事 半導体人材の育成等について。道内では、理工系の大学や高専などにおいて、半導体産業を支える人材を育成するためのカリキュラム等が十分整っていないことから、国では、道や道内大学など関係機関で構成する北海道半導体人材育成等推進協議会を設立し、モデルカリキュラムの作成、導入などに取り組むこととしている。
道としては、こうした取組に積極的に貢献するとともに、道内の大学と連携した学生向けのセミナーなどによって、今後の半導体関連産業を担う人材の育成に取り組むほか、道内の大学や高専の卒業生の就職動向などを丁寧に把握しながら、必要に応じ、マッチングやセミナーといった取組により理系人材の道内での就職を支援するなど、適切に対応していく。
A中島経済部長 経済活動が活発化する中、様々な業種において人手不足が深刻化しており、道内企業の経営を支える多様な働き手の確保に取り組むことが一層重要になるものと認識している。
このため、道では、人材確保に向けて、道外企業で活躍経験のある人材の誘致やU・Iターンの促進、職場定着に向けた就業環境改善などへの支援、人手不足が深刻な業種を対象に支援金等を支給する事業を実施するとともに、賃上げにつながるよう生産性や収益性の向上に資する専門家派遣を実施しているところ。今後とも、道内各地で人手不足に直面する地域産業や企業のニーズを丁寧に把握しながら、人材の確保や経営基盤の強化に努めるなど、適切に対応していく。
P小林議員 ラピダスの事業で一番の鍵を握るのは、ひとえに人材育成と感じている。
優秀な学生の、今、道内卒業生の8割が道外に就職をするという現在である。若者に北海道を選んでもらい、北海道の未来を託す、知事の力強いメッセージが必要だということを指摘する。
◆ヒグマ対策
Q武市議員 近年、道内各地でヒグマの市街地出没が相次いでおり、札幌の山際ではヒグマが出没するのが当たり前のようになってきている。
住宅地でも、ヒグマの目撃情報によって午後休校や集団下校となった小中学生と出会うこともしばしばあり、自分の子ども時代を顧みても、かつてなかったことではないかと感じている。
市街地に出没が増えた要因を現在どのように分析しており、今後どのように対策を進めていこうとしているのか、道の見解を伺う。
A加納環境生活部長 市街地におけるヒグマ対策などについて。全道のヒグマの生息数は増加の傾向にあると考えており、専門家からは、ヒグマの生息域が人里周辺まで拡大していることや、人への警戒心が薄れているなど、生態や行動が変化していることが指摘されているところ。
道では、ヒグマと人とのあつれきを抑制するため、人里に頻繁に出没する問題個体の排除や人への警戒心を植え付けることを目的とした春期管理捕獲を5年春から開始するとともに、道民に対しては、ヒグマに関する正しい知識の啓発や、人里に出没した際のSNSを活用した情報発信を行うほか、人身事故が懸念される場合には、ヒグマ注意報を発出して広く注意を促しているところであり、今後も、道民の安全・安心の確保に向けて、市町村や関係機関との連携をより強めながら、様々な観点からヒグマ対策を進めていく。
◆働き方改革
Q早坂議員 道教委では、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、教員の業務負担を軽減するため、2年度から、学習指導員を新規に、そして、教員業務支援員は拡充して各学校に配置することで、より効果的な教育環境を整えるための取組を行ってきた。
5年度については、新型コロナウイルス感染症の5類への移行を受け、当初予算では、両事業とも7月末までに限って配置のための予算が措置されていたところだが、プリントの印刷や採点業務などの補助のほか、5類移行後も感染症対策として健康観察や換気の確保を行う必要があることから、教員業務支援員については8月以降も配置を継続できるよう、今定例会に補正予算が計上されている。
教員の働き方改革が求められる中、教員免許を持たずに学校に配置できる支援員などの外部人材の存在は非常に大きく、コロナ対策としてのリモート授業や少人数指導など、子どもたちの学びをサポートする学習指導員がいなくなることにより、教員の負担が大きくなるのではないかと懸念している。
働き方改革を進めるに当たっては、様々な地域の実情や学校現場の現状をしっかり把握した上で、教員の負担軽減を図っていくことが大変重要だと考える。道教委として、今後どのように学校における働き方改革を進めていくのか、所見を伺う。
A倉本教育長 学校における働き方改革について。子どもたちの豊かな学びを保障し、より一層効果的な教育活動を行うためには、教員が健康でやりがいを持って働くことのできる環境づくりが重要である。
道教委では、これまで、教員の業務負担軽減にもつながる学習指導員や教員業務支援員など外部人材を活用するとともに、学校や市町村教委の職員などによる働き方改革促進会議を通じた意見集約や、道教委職員の学校訪問による意見交換などを実施し、地域や学校現場の実情把握に努めているところ。
道教委としては、引き続き、外部人材を活用するための財政措置の拡充や制度の充実について国に要望していくとともに、子どもたちの学びの充実と教員の負担軽減に向けて、学校の実情をより丁寧に把握しながら、支援スタッフの効果的な配置、活用に努め、学校における働き方改革を推進していく。
◆地方分権問題
Q石川議員 振興局は、道の市町村行政に対する補完機能、また、道政における市町村の参加の要に位置する重要な機構であり、同時に、振興局の現状に対する市町村からの厳しい評価があることを踏まえ、知事は、この政策機能の強化と市町村の参加に関して、振興局の現状をどう評価され、また、どのような問題点を感じておられるのか伺う。
A菅原総合政策部地域振興監 振興局の在り方について。道では、振興局を地域づくりの拠点と位置付け、総合出先機関としての事務の完結性や政策展開機能を高めるため、地域の実情を踏まえた振興局長からの政策提案、振興局長裁量による職員配置や市町村への職員派遣、また、市町村と協働して取り組む地域政策推進事業など、市町村や地域づくり団体等と一体となって地域課題の解決に向けた施策展開を進めている。
道としては、道内各地で人口減少や高齢化が進む中、振興局が、持続可能な地域づくりに向けて、移住、定住の促進や観光振興などの取組に加え、ゼロカーボン北海道やデジタル化の推進といった新たな取組にも機動的に対応していく必要があると考えており、今後も、組織の在り方や業務の進め方を不断に見直し、振興局機能の充実強化に取り組んでいく。
Q石川議員 振興局は、道の市町村行政に対する補完機能、また、道政における市町村の参加の要に位置する重要な機構であり、同時に、振興局の現状に対する市町村からの厳しい評価があることを踏まえ、知事は、この政策機能の強化と市町村の参加に関して、振興局の現状をどう評価され、また、どのような問題点を感じておられるのか伺う。
A菅原総合政策部地域振興監 振興局の在り方について。道では、振興局を地域づくりの拠点と位置付け、総合出先機関としての事務の完結性や政策展開機能を高めるため、地域の実情を踏まえた振興局長からの政策提案、振興局長裁量による職員配置や市町村への職員派遣、また、市町村と協働して取り組む地域政策推進事業など、市町村や地域づくり団体等と一体となって地域課題の解決に向けた施策展開を進めている。
道としては、道内各地で人口減少や高齢化が進む中、振興局が、持続可能な地域づくりに向けて、移住、定住の促進や観光振興などの取組に加え、ゼロカーボン北海道やデジタル化の推進といった新たな取組にも機動的に対応していく必要があると考えており、今後も、組織の在り方や業務の進め方を不断に見直し、振興局機能の充実強化に取り組んでいく。
Q石川議員 今の地方自治は、各自治体が各地域において責任を持つ個別自治体の自治と、互いに協力して行う連携による自治という二つの要素から成り立つと考える。
この連携による自治には、市町村間の水平連携と道・市町村間の垂直連携があるが、広い本道においてこれが育つことは、本道の諸問題を解決していく上で極めて重要な課題であり、特に、各地の活性化のために、道と札幌市が札幌の都市力を活用した連携策を推進することは、その中核的な位置を占めると考える。
これまで、道と札幌市は、二重行政の解消をはじめとして、北海道、札幌市の双方に関係する懸案事項について、知事と札幌市長が意見交換を行う行政懇談会を開催してきた。しかし、これらの協議で議論の対象になる地域や課題は、道と札幌市の行政の問題に限られていたと承知している。
札幌市は、道内の市町村との連携のため、道内の市町村に対し、ホームページを通じて、札幌市の都市機能の活用を促進しているほか、近隣11市町村とさっぽろ連携中枢都市圏を形成し、連携して事業を実施している。
こうしたことから、道と札幌市が、これまでの枠組みを超えて、視野を全道に広げ、市町村や地域の支援策、活性策を強力に講じるべきと考える。
これらを推進する仕組みとして、知事と札幌市長を両トップにした道・札幌市政策連携戦略会議を新たに設置してはいかがか。
A菅原総合政策部地域振興監 札幌市との連携について。本道が抱える様々な地域課題の解決のためには、市町村との連携協力が不可欠であり、中でも、北海道の3分の1の人口を有し、都市機能が集積している札幌市との連携は重要なものと認識している。
このため、道では、これまでも、新型コロナウイルス対策や雪害への対応、行政サービスの提供や施設のより効果的な運営の在り方、また、本道の人口減少対策に係る取組など、様々な分野で札幌市と連携を図ってきたところ。
道としては、今後も、札幌市はもとより、道内の市町村と緊密に連携協力し、地域課題の解決や地域の活性化に資する取組を着実に進め、本道全体の発展につなげていく。
Q石川議員 寿都町や神恵内村が文献調査を受け入れた背景には、地域経済の疲弊や、国、道などの財政対策をはじめとする地域支援策が不十分であることが背景にあると考える。
概要調査への移行に反対する立場の道としては、道自身も、本庁および振興局が当該町村に対し地域振興策をしっかり講じなければならないと考える。どのように取り組んでいるのか伺う。
A中島経済部長 道の地域振興策について。道は、広域自治体として、市町村の様々な課題について、地域づくりの拠点である振興局が窓口となり、それぞれの市町村と一体となって地域振興を総合的に進めてきているところ。
寿都町においては、基幹産業である漁業生産安定・向上や、史跡、文化財を活用した取組などを、また、神恵内村においては、地域の商社と連携した特産物の輸出拡大や広域観光の推進の取組などを支援してきたところ。
道としては、今後とも、地域の実情に即した効果的な施策の展開によって、地域の持続的な発展に向けた取組を支援していく。
◆子どもの権利条例
Q石川議員 厚生労働省によると、4年に生まれた子どもの出生数は77万747人と、統計史上初めて80万人台を割り込んだ。
一方、自殺した児童生徒の人数は500人を超えて過去最大、児童虐待の通告数も過去最大となるなど、子どもを取り巻く状況は極めて深刻である。
国においては、子どもの権利条約が改正児童福祉法等に反映され、そして、今年、こども家庭庁を設置するとともに、子ども施策の包括的な法律として、こども基本法が施行された。
とりわけ、子どもの意見を表明する機会や様々な社会活動に参加する機会の確保を求めており、自治体においては、子どもの権利が守られるよう総合的に取り組むべきと考える。
本道の子どもたちが置かれている現状を知事はどのように受け止めているのか、また、子どもの権利を守るためにどのように取り組んできたのか伺う。
さらに、多様な背景を持つ子どもの意見をしっかりと聞き、権利侵害に悩み、苦しんでいる子どもが、一人で悩みを抱えることなく、気軽に相談でき、救済されるよう、北海道子どもの権利条例を制定すべきと考える。併せて見解を伺う。
A野澤保健福祉部子ども応援社会推進監 子どもの権利を守る取組について。こども基本法では、基本的な人権が守られ、意見が尊重されること、また、道の少子化対策推進条例においても、こうした子どもの権利や利益を最大限尊重することを基本理念としている。
近年、児童虐待のほか、ひとり親家庭やヤングケアラーなど、子どもたちを取り巻く環境は複雑・多様化しており、様々な支援ニーズにも対応しながら、子どもの権利を守り、誰一人取り残さない社会を実現していくことが重要であると認識している。
道では、これまでも、ほっかいどう親子のための相談LINEや、教育庁による子ども相談支援センターなど、悩みを抱える子どもたちに寄り添う相談体制を整備してきたほか、今定例会には、児童相談所で一時保護している子どもたちの意見の表明を支援する予算を提案したところ。
今後とも、こうした取組をはじめ、子どもの未来づくり審議会子ども部会やユースプランナー制度など、様々な場を活用しながら、子どもたちの権利が守られ、意見の尊重や表明をしやすい環境づくりに取り組んでいく。
Q石川議員 広域自治体である北海道の子どもたちの声をどのようにして聞いていくのか、知事に伺う。
A鈴木知事 子どもの権利を守る取組について。道では、少子化対策推進条例に子どもの権利や利益の尊重を掲げ、審議会への中高生の参画や一時保護所における権利ノートを活用した意見表明の機会の確保、さらには、ヤングケアラーや社会的養護を経験されたケアリーバーなど、様々な方々からの意見を聞いてきたところである。
こうした中、国では、現在、子どもが意見を表明し、社会に参加することができる新たな取組として「こども若者★いけんぷらす」を開始し、参加者を募集していることから、こうした動きを道における取組の参考としながら、子どもたちの権利が守られ、意見の尊重や表明をしやすい環境づくりに取り組んでいく。
(道議会 2023-10-20付)
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