一般質問(6月28日)道議会質疑
(道議会 2023-10-19付)

Q 質問QuestionA 答弁AnswerP 指摘Point outO 意見OpinionD 要望Demand

【質問者】

▼阿知良寛美議員(公明党)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼土屋俊亮副知事

▼濱坂真一副知事

▼倉本博史教育長

▼鈴木信弘警察本部長

◆道総合計画

Q阿知良議員 道においては、将来の北海道づくりの重要な指針となる新しい総合計画を早急に策定し、今後、目指すべき姿や達成すべき目標などについて明らかにすべきと考える。

 道では、今後どのような取組を展開していくのか知事の所見を伺う。

A鈴木知事 北海道総合計画について。不安定な国際情勢を背景に、わが国全体が、エネルギーの安定的な確保、食料や経済の安全保障といった課題に直面する中、本道の持続的な発展に向けては、エネルギーなどの価格高騰の影響緩和といった当面の対策に加えて、本道のポテンシャルを生かし、社会経済情勢の変化に対応しながら、中長期的な展望に立って施策を推進していくことが重要である。

 こうした中、ゼロカーボン北海道の実現や、次世代半導体をはじめとするデジタル産業の集積といった長期にわたる大きな取組を進めていくためには、現在の計画期間である令和7年度を超えて政策を展開していく必要があることから、道としては、新たな総合計画の策定に速やかに着手することとし、概ね10年後の北海道の目指す姿や政策の目標について、道民と共に検討を進めていく。

Q阿知良議員 国は、さきの計画部会報告の素案の中で、人口減少や広域分散型社会の課題を乗り越え、共に北海道の未来をつくるなどと示されているが、未来を担う人材が夢と希望を持って活躍できる社会を構築することは極めて重要な課題と考える。

 本格的な少子化社会を迎える中で、次代を担う人材づくりに向けて、未来への投資に積極的に取り組むべきではないか。

 知事は、この点についてどのようなビジョンを持っているのか伺う。

A濱坂副知事 北海道を担う人づくりについて。人口減少の進行などによって人手不足が深刻化する中、活力あふれる北海道を実現していくためには、未来を担う人づくりを、関係者と一体となって、中長期的な展望に立ち進めていくことが重要であると考えている。

 道ではこれまで、医療や福祉をはじめ、農林水産業や建設、運輸といった、地域の暮らしや産業を担う人材の育成確保に努めてきたところであるが、今後の総合計画の策定に向けては、人づくりは本道が持続的に発展するための礎として重要であるとの認識のもと、人手不足への対応はもとより、エネルギーやデジタルをはじめ、本道のこれからの成長をけん引する産業における専門的な知識や技術を有する人材の育成などについても必要な検討を進めていく。

Q阿知良議員 国の第9期計画は、年内にも閣議決定され、6年度からスタートされるものと承知している。道の計画についても、当然、国の計画との整合性を図るものと考えるが、知事の所見を伺う。

A鈴木知事 国の計画との関係について。5月に示された国の新たな総合開発計画の素案では、わが国を取り巻く状況に急速かつ大きな変化が生じている中、本道が果たす役割はこれまで以上に重要との考えのもと、食料安全保障や観光立国、ゼロカーボン北海道、さらには、生産空間の維持発展と強靱な国土づくりといった主要な施策が掲げられ、今後の決定に向け、さらに検討が進められるものと承知している。

 本道が持続的に発展していくためには、国と道が同じ方向性を目指して計画を策定し、より一層連携を図ることによって、施策の相乗効果を生み出していくことが重要と認識しており、道としても、今後とも、こうした国の計画の内容や今後の議論などを十分に踏まえながら、新たな総合計画の策定に向けた検討を進めていく。

◆子育て対策

Q阿知良議員 道は、国のこども未来戦略方針をどのように受け止めているのか、また、どのような取組を展開されようとしているのか、知事の所見を伺う。

 さらに、道として、子ども・子育て対策の充実を図るためにも、子育て世帯などから直接、要望、意見を伺うなど、実態調査を実施されてはどうか、併せて所見を伺う。

A鈴木知事 子ども応援社会の実現に向けた子ども政策の推進について。国が策定した戦略方針では、若い世代の所得を増やし、社会全体の構造、意識を変え、全ての子ども、子育て世帯を切れ目なく支援することを基本理念としており、道としては、こうした考えのもと、子ども政策を一体的に推進していくことが重要である。

 こうした中、今定例会では、子ども・子育て施策を着実に進めるための必要な予算を計上したほか、新たに、不妊治療を受ける方々の経済的負担の軽減を図るため、保険適用外である先進医療の費用や、交通費等を支援する事業や児童相談所で一時保護している子どもたちの意見の表明を支援する事業を提案したところ。

 私は、これまでも様々な地域の子ども関連施設を訪問してきたところであり、今後とも、積極的に地域に出向き、子どもや子育て世帯などから直接、話を伺い、その声を丁寧に受け止めながら、全ての子どもたちが明るく健やかに成長していける子ども応援社会の実現に向けて、全力で取り組んでいく。

◆ゼロカーボン北海道の推進

Q阿知良議員 知事は、ことし4月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合で、再エネポテンシャルを生かした脱炭素の取組を示した北海道・札幌宣言を札幌市と連携して発信した。

 本道では、平成20年にG8サミットの国際会議が洞爺湖を舞台に開催されたが、この際、世界地球温暖化対策会議のような国際会議を開催し、そのポテンシャルの高さや北海道の取組を世界に発信してはどうかと考える。知事の所見を伺う。

A鈴木知事 ゼロカーボン北海道の推進について。道では、さきのG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合において、脱炭素社会の未来を開く北海道・札幌宣言を行い、大臣会合に合わせて来道した各国の方々にも出席いただき、本道の有する再生可能エネルギーのポテンシャルの高さや、洋上風力発電等の生産研究拠点の国内外からの誘致などに取り組むことを札幌市とともに発信した。

 また、今週には、次世代半導体や洋上風力発電などに関し、在日EU代表部の大使との意見交換を予定しているところ。今後とも、様々な機会を通じて、国や経済界、大学などとも連携し、世界に向けて本道のポテンシャルの高さや様々な魅力を効果的に発信するとともに、世界からの投資につながる国際的な知見の獲得などに取り組んでいく。

Q阿知良議員 道は、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする長期目標と、2030年度までに排出量を48%削減する中期目標を設定し、ゼロカーボン北海道の実現に向けた取組を推進することとしている。

 ゼロカーボン北海道推進計画においては、例えば、家庭部門においては47%の排出量削減が求められているが、道民一人ひとりが家庭で何をすれば何%の削減になるのか、そして、具体的にどういった取組による削減を積み上げた結果、目標が達成されるのかというロードマップを示した上で、基金を活用し、それらの取組を後押しする施策を実施すべきと考える。所見を伺う。

A土屋副知事 ゼロカーボン北海道の実現に向けた取組について。道では、ゼロカーボン北海道推進計画において、2030年度までの48%削減に向け、産業、家庭、運輸など、各分野ごとに令和7年度の削減の目安を提示するなど、進捗状況を踏まえながら取組を進めていく考えである。

 計画の中でも、家庭や事業者における削減行動の実践例や削減効果を示しているところであるが、新たに設置するゼロカーボン北海道推進基金の活用などによって、家庭や事業者のCO2排出量の見える化による行動変容の促進や、省エネ住宅の取得、改修等、あるいは、太陽光パネルの導入支援を行うなど、道民や事業者と一体となって、ゼロカーボン北海道の実現に向けた取組を進めていく。

◆キャリア教育

Q阿知良議員 本道においては、少子・高齢化に伴う人手不足など、課題が顕在化しており、このような状況の中、本道経済の持続的な発展のためには、地域における人材の育成を担う教育の役割はますます重要と考える。

 そのために、高校においては、生徒に対して早い段階から地元の企業の理解を深めるとともに、学校が地域とのつながりを求めるなど、関係機関と一体となった教育活動全体を通した組織的かつ計画的なキャリア教育を実践し、高校生に望ましい勤労観、職業観を育成することが大切である。

 今後、地域の発展を担う人材の育成に向けて、どのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 地域を担う人材の育成について。5年3月の新規高卒者の雇用情勢は、前年同月比で、求人数が増加している一方、求職者数が減少している状況であり、求人充足率では特に農林漁業と建設業が低いなど、地域を支える産業への就業に対する生徒の関心を高める必要があると受け止めている。

 こうした中、各学校では、生徒の勤労観、職業観を育成するため、地元の職業人を招いての講話や実際の現場の見学など、実践的かつ体験的なキャリア教育を推進しており、道教委としても、地元企業との懇談機会の設定や建設現場における見学会など、職業理解の効果的な取組をまとめた就職指導実践事例集を作成し、全ての高校に配布するなど、キャリア教育充実に向けた取組を進めている。

 現在、コロナ禍によって減少していた企業のインターンシップ受け入れが回復をしてきたことから、今後は、高校生の就業体験活動の充実に向け、地元企業等での受入れや業種の拡大に努めるなどして、生徒一人ひとりが持つ可能性や能力をさらに高めるキャリア教育を推進し、地域を担う人材の育成を進めていく。

◆特殊詐欺防止

Q阿知良議員 特殊詐欺防止対策として、知事部局が中心となって、関係団体と一層の連携を図り、必要な予算措置を図るなど、具体的な取組を展開すべきと質問してきたところである。

 今後、道として特殊詐欺被害防止にどのように取り組んでいくのか、知事、教育長、警察本部長に伺う。

A鈴木知事 特殊詐欺被害防止に向けた取組について。道では、犯罪のない安全で安心な地域づくり条例のもと、特殊詐欺の被害を未然に防ぐため、民間企業などとも連携しながら、送金に使用されやすいATMの操作画面での注意喚起や、SNSなどを活用した電話やはがきによる詐欺の手口の迅速な周知のほか、子や孫からの注意を呼びかけるメッセージカードの配布や、安全・安心どさんこ運動による高齢者への声かけ促進などの取組を進めている。

 道としては、今後とも、道警察、市町村、事業者、老人クラブなどと連携を強め、広報誌や地域FMをはじめ、様々な媒体によって広域で注意喚起をするほか、新たに、高齢者が集う場において特殊詐欺電話体験会を開催するなど、幅広い年齢層に届く実効ある特殊詐欺対策を実施し、道民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向け、地域と一体となって取り組んでいく。

A倉本教育長 特殊詐欺の被害防止について。本道においても特殊詐欺の被害が深刻化する中、子どもたちが生涯を通じて安全な生活を送る基礎を培うとともに、進んで安全で安心な社会づくりに参加し、貢献できる資質・能力を育成することは重要である。

 このため、道教委では、道警と連携し、高齢者を狙った特殊詐欺被害防止の児童生徒向けの啓発資料を学校を通じて家庭に配布し、子どもたちの防犯意識の醸成に取り組んでいるほか、一部の高校では、地元警察の協力を得て、生徒が被害防止の動画や4こま漫画を作成し、高齢者住宅を訪問して注意を呼びかけるなど、地域社会の一員として取り組んでいる。

 道教委としては、こうした取組を通じて高齢者を犯罪から守ることができるよう、道や道警、関係団体による北海道犯罪のない安全で安心な地域づくり推進会議での連携のもと、子どもたちが自ら進んで安全で安心な社会づくりに参画する取組を推進していく。

A鈴木警察本部長 特殊詐欺対策について。5年5月末の道内における特殊詐欺被害は、認知件数60件、被害額約1億3700万円で、65歳以上の高齢者が被害者の8割を占めている。前年同期比では、認知件数、被害額ともに減少しているが、昨年1年間の被害が過去最悪に近い状況にあったこともあり、依然として厳しい情勢にあると認識しているところ。

 このため、道警では、お金を要求するなど、不審な電話がかかってきた際、110番することに抵抗がある高齢者が気軽に警察に相談していただけるよう、「詐欺電話がきたら♯9110」という警察相談ダイヤルを案内する、分かりやすいキャッチフレーズを用いて周知を図るとともに、国家公安委員会委員長から特別防犯対策監に委嘱されている杉良太郎氏やカーリングチームのロコ・ソラーレなどの著名な方々に被害防止の呼びかけをしていただくなど、高齢者に伝わりやすい広報啓発を推進しているところ。

 また、犯人からの電話を直接受けることのないよう、電話防犯機器の設置促進や留守番電話機能の活用を促しているほか、ことし5月から電話事業者によって新たに開始された高齢者を対象としたナンバーディスプレー等の無償化の取組を周知するなど、高齢者が被害に遭わないための対策を推進しているところ。

 道警としては、引き続き、道民の安全・安心を確保するため、特殊詐欺事件の取り締りはもとより、はやりの手口を情報共有するなど、道、道教委、関係機関・団体等と連携し、より効果的な被害防止対策を推進していく。

(道議会 2023-10-19付)

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