道議会質疑 予算特別委員会(7月10日)(道議会 2023-11-02付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼太田憲之委員(自民党・道民会議)
▼中川浩利委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼三橋剛総合政策部長
▼菅原裕之総合政策部地域振興監
▼笠井敦史総合政策部計画局長
▼大野哲弘総合政策部地域創生局長
▼佐々木敏総合政策部計画推進課長
▼奈良華織総合政策部地域創生担当課長
◆創生総合戦略
Q太田委員 現行の北海道創生総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法に基づく都道府県の総合戦略として、2年度からの5ヵ年を計画期間として策定したものである。
次期戦略は、新しい総合計画の内容を踏まえて策定することと伺っているが、ほかにどのような計画や方向性を反映させて策定していく考えなのか伺う。
A大野地域創生局長 次期創生総合戦略について。現行の創生総合戦略は、地域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目指す国の動きを踏まえ、施策全般にデジタルの力の活用や脱炭素の視点などを反映し、3年12月に改定したところ。
次期戦略の策定に当たっては、新しい総合計画の方向性を踏まえつつ、喫緊の課題である少子化対策はもとより、食やエネルギーなど、本道の強みや潜在力を最大限生かした施策を重点的に展開できるよう、官民連携によるモデル事例の創出や地方への人の流れの創出、拡大の強化など、国の総合戦略における重点検討課題や、直近の人口推計を踏まえた国の長期ビジョンの改定内容も十分反映しながら、道の人口ビジョンの見直しと併せ、整理していく。
Q太田委員 今後、どのように検討作業を進め、いつ頃の策定を目指しているのか。
A菅原総合政策部地域振興監 次期戦略に係る今後の進め方について。次期戦略の策定に当たっては、産学金等の関係者で構成する北海道創生協議会において毎年度行っている施策の検証結果を踏まえるとともに、協議会の下にワーキンググループを設置し、本道の人口動態のほか、今後実施予定の人口減少などに関する意識調査や地域におけるヒアリングの結果について整理、分析を行い、各分野からの意見を伺いながら、新たな時代に対応した本道の地域創生について検討を行っていく。
なお、策定時期については、次期戦略の方向性について、年度内を目途にワーキンググループで取りまとめた上で、総合計画の方向性や国の長期ビジョン等の改定状況なども踏まえて、適時適切に進めていく。
◆人口減少対策
Q中川委員 本道の人口減少の状況について、全国と比してどのような状況にあるのか、所見を伺う。
また、前知事時代の16年間と比較して、これまでの鈴木知事の4年間で状況はどのように変化をしたのか、また、その変化の要因について所見を伺う。
A奈良地域創生担当課長 人口減少の状況について。本道の総人口は、平成9年の約570万人をピークに減少しており、直近の令和4年では、ピーク時から56万人少ない514万人であり、全国では、2008平成20年の約1億2800万人をピークに、直近の令和4年では、300万人少ない1億2500万人となっているところ。
本道のピーク時からの増減率はマイナス9・8%、全国においてはマイナス2・4%となっており、全国を上回るスピードで減少が続いている状況となっている。
また、平成15年から平成30年までの16年間と、令和元年から4年までの4年間の比較では、少子化の進展によって、出生数が死亡数を下回る自然減が進む一方で、コロナを契機とした地方への関心の高まりや市町村と連携した本道への人の定着や呼び込みなどによって、転出が転入を上回る転出超過数について、減少幅が抑制されているところである。
Q中川委員 道として、人口減少問題にこれまでどのような対策を行い、どのような成果が出たのか、また、取組を進めてきた中で、どういったことが課題として依然残っているのかについて、道の所見を伺う。
A奈良地域創生担当課長 人口減少問題への道の取組などについて。道では、現状への危機感を共有し、オール北海道での取組を推進するため、創生総合戦略などを策定するとともに、市町村が策定する戦略との有機的な連携を図りながら、子育て環境の充実や、地域特性を生かした働く場や雇用の創出、住み続けたいという思いを育む愛着の醸成のほか、移住、定住やワーケーションの普及促進など、様々な取組を進めてきたところ。
こうした取組などによって、一部の市町村では人口の増加や減少の緩和が見られるほか、様々な形で本道に関わりを持つ関係人口の創出や、首都圏からの本社機能が移転した企業数の増加も見られるところ。
一方で、自然減に加え、若年者や女性の東京圏への転出超過などは、引き続き、深刻な課題であり、さらなる取組が必要と認識している。
Q中川委員 人口減少問題が未来の本道に及ぼす負の影響、なぜこの問題に向き合わなければならないのかについて、あらためて道の所見を伺う。
A大野地域創生局長 道としての認識について。人口減少は、産業における担い手の確保、消費の縮小や地域交通の維持、税収減による住民サービスの低下など、様々な分野において深刻な影響を及ぼすものと考えており、経済や暮らし、行政などの地域を支える重要な機能が危機的な状況に陥ることも危惧されるところ。
特に、広域分散型の地域構造を有する本道においては、若年層を中心とした人口流出によって、基幹産業である1次産業をはじめとした担い手の不足をはじめ、地域医療や身近な交通手段の確保が懸念されるなど、地域の経済や住民の暮らしへ大きな影響を及ぼすものであり、全国を上回るスピードで本道の人口減少が進んでいる状況に対し、強い危機感を持って取り組んでいく必要がある課題と認識している。
Q中川委員 知事は、先日の代表質問で、北海道創生総合戦略についても、総合計画の方向性や国の長期ビジョンの状況を踏まえて、新たな戦略策定作業を進める旨、答弁しているが、それに併せて北海道人口ビジョンについても見直しを行う考えがあるのかないのか伺う。
また、見直しに当たっては、これまでの道における人口減少対策に対して、真摯に総括、検証を行い、反省点を明確にしておく必要がある。
道として、人口減少対策を道政運営上どのように位置付けて、今後どのように進めていくつもりなのか、見解を伺う。
A菅原総合政策部地域振興監 人口減少対策について。人口減少は、道政が直面する最大のピンチとして、継続して粘り強く取り組むべき課題であり、人口ビジョンおよび戦略において、人口減少への危機感、今後の見通し、課題などを広く道民と共有し、北海道の創生に向けた施策を総合的かつ計画的に推進しているところ。今般の新たな総合計画の策定に伴い、関わりの深い創生総合戦略についても見直しを行うこととしたところ。
その策定に当たっては、北海道創生協議会で行っている施策の検証結果を踏まえるとともに、協議会の下に設置するワーキンググループにおいて、本道の人口動態のほか、人口減少に関する意識調査などについて整理、分析の上、各分野からの意見を伺いながら検討を行い、総合計画の方向性や国の長期ビジョン等の改定状況なども反映し、道の人口ビジョンの見直しと併せて整理をする考えである。
道としては、新たな戦略を策定するとともに、市町村とも連携し、人口減少問題を含めた様々な地域課題に関し、地域の実情に応じたきめ細かな支援に努めるなど、持続可能な地域づくりに向け、取り組んでいく。
◆総合計画見直し
Q中川委員 総合計画の見直しについて、一昨年に改訂したばかりの計画をあえてこのタイミングでリニューアルしようとするねらいについて、あらためて、分かりやすい形で説明をお願いする。
A笠井計画局長 新たな総合計画について。ことし5月に開催した総合開発委員会においては、エネルギー問題や食料、経済の安全保障など、わが国を取り巻く環境の大きな変化に対応するため、新たな総合計画を策定すべきといった意見をいただいたところ。
道としては、人口減少など、本道が直面する課題への対応に加えて、こうした変化に的確に対応し、新たな需要を取り込んでいくため、現在の計画期間である2025年度を超えて政策を展開していく必要があるとの考えに立ち、新たな計画の策定に着手することとしたところ。
Q中川委員 2年前に改訂した際「改訂のポイント」として示された3つの重視すべき視点は、危機に対する強靱な社会の構築、北海道の真価の発揮、社会の変革への挑戦だった。
今回、知事は、エネルギーの安定的な確保、食料や経済の安全保障といった課題などに直面していること、あるいは、デジタル産業の集積などによる変化を計画見直しの理由としているが、2年前の前回改訂時には、こうした未来を想定していなかったということになるが、いかがか。
また、(コロナ禍のような)リスク要因も織り込んだ上で計画を策定する必要性について、道の所見を伺う。
A佐々木計画推進課長 計画策定に当たっての考え方について。3年度の総合計画の改訂に当たっては、感染症をはじめとする様々な危機に対する強靱な社会の構築といった推進方向を掲げ、感染症の経験を生かし、安全・安心な社会経済活動を営むことができるよう、サプライチェーンの強靱化や、持続可能な公共交通、物流の構築など、危機リスクの回避や分散化を図ることを盛り込んだところ。
新たな計画の策定に当たっては、総合開発委員会での議論も踏まえながら、可能な限り今後の本道を取り巻く社会経済情勢の様々な変化を想定し、そうした変化による道民の暮らし、地域経済への影響を捉えるなどして、本道の持続的な発展に向けた政策の目標や方向性について丁寧に検討を進めていく。
Q中川委員 総合計画は、長期的な展望に立って、道の政策の基本的な方向を総合的に示すものであり、個別具体の施策、事業は、重点戦略計画、特定分野別計画、地域計画などに委ねられていると承知している。
今般の総合計画の見直しと連動して、北海道創生総合戦略については、新たな戦略策定作業を進める考えであるということは承知しているが、北海道強靱化計画、北海道Society5・0推進計画、北海道地球温暖化対策推進計画といった重点戦略計画、各種の特定分野別計画について改定を行う考えがあるのか否か、また、新規に策定する分野別計画などの考え方について所見を伺う。
A佐々木計画推進課長 特定分野別計画などについて。行政基本条例においては、特定の分野における政策の基本的な方向を明らかにする計画、いわゆる特定分野別計画については、総合計画が示す政策の基本的な方向に沿って策定し、推進することとされているところ。
現在、各部局が策定している重点戦略計画や、保健、医療、福祉、経済、産業などといった分野ごとの計画は、その目的や対象、期間などが一様ではないことから、総合計画が示す政策の方向性を踏まえた上で、それぞれの計画を取り巻く社会経済情勢の変化や、国の関係法令や制度の改正などに応じて、今後、計画ごとに見直しの必要性などについて検討を進めていく。
また、今後策定する特定分野別計画についても、行政基本条例の規定に基づき、新たな総合計画の政策の方向性に沿った内容となるよう検討していく。
Q中川委員 先般、7年を目標値としていた道産食品輸出額1500億円以上を達成した。それも含め、総合計画で80ある指標のうち、達成しているものや既に絶望的なものなど、現時点における状況を伺う。
A佐々木計画推進課長 指標の進捗状況について。総合計画に掲げる指標については、ことし5月の北海道総合開発委員会において、計画の最終年度である2025年度の目標値に対する達成度に応じ、その進捗状況を示したところ。
このうち、数値目標がある指標については、到達しているものが約2割、改善しているものが約4割、改善していないものが約4割となっており、また、全国と比較した数値の差を改善するなどの指標については、約7割が目標に到達していないところ。こうした状況については、コロナ禍により国内や海外との人の移動や物流が制限されたことに伴う影響などが主な要因となっているところ。
なお、このたびの指標の進捗状況の評価は、5年5月1日時点の確定公表値を直近の実績値としており、道産食品輸出額については、その時点で直近のデータが一部推計値のため、確定値である2年度で評価した結果、改善していないものにカウントされている。
Q中川委員 目標設定の考え方について所見を伺う。
A笠井計画局長 目標設定の考え方について。現在の計画では、政策の効果を定量的に把握する指標を設定することとしており、各指標には、原則として目標値を設定し、指標項目の性格などによって、目標値の設定が困難なものについては、他の都府県との順位の比較などによって、その方向を示すこととしているところ。
道としては、新たな計画においては、政策の目標をより分かりやすく客観的に示すとともに、現状の課題や目標をより明確にする必要があると考えており、指標および目標値の設定については、その妥当性も含めて、北海道総合開発委員会での議論やパブリックコメントなど、道民の意見もいただきながら検討を進めていく。
Q中川委員 今後の見直しに向けては、道民、企業、市町村の意向調査、パブコメ等、手続きが進んでいくことになるが、これらの実施については少し工夫をする必要があると思っている。
例えば、アンケートや意見交換会などで、本道の未来を担う子どもの意向を酌み取れる場をつくるべきであり、道内在住の外国人、地域おこし協力隊、個別テーマなどによっては、道民に限らず、道外に暮らす方々などの意向も聞いても有用だと考える。所見を伺う。
A佐々木計画推進課長 意向の把握について。新たな計画の策定に当たって、道では、道民や企業、団体等に対し、北海道の将来に関する意向などを把握するためのアンケート調査を実施することとしており、この調査対象には、道内で暮らす外国人への生活相談などを行っている団体もあることから、こうした団体からの意見を通じ、外国人の意向についても把握していく考えである。
また、各地域を訪問し、高校生や道外出身を含む大学生から意見を伺うなど、若い世代の意向を把握することを検討しているところであり、道としては、こうした取組を通じ、様々な分野の団体、企業や地域づくりを担う方々からも意見を伺うなど、様々な世代や地域、職種から幅広く道民の声を把握し、計画の検討を進めていく。
Q中川委員 どのように総合計画について道民の共有や共感を得られるよう進めるのか、見解を伺う。
A三橋総合政策部長 計画策定の進め方について。エネルギー問題や食料、経済の安全保障など、社会経済情勢の大きな変化に的確に対応していくためには、新たな計画において、概ね10年後の本道の将来を見据えた目指す姿や政策の目標を分かりやすく示すとともに、その内容についてしっかりと情報発信するなど、道民と共有することが重要と考えている。
このため、道としては、計画策定の段階から幅広い世代の地域住民や市町村の皆さんから丁寧に意見を伺うことによって、多くの方々と共有できるよう努めながら、具体的な政策の方向性などについて検討を進め、北海道総合開発委員会の審議も踏まえた上で、計画の素案を年内に取りまとめ、道民や道議会に示すことができるよう進めていく。
また、新計画の決定後、市町村、関係団体への配布をはじめ、道のホームページや広報紙なども活用し、より多くの道民に新たな計画について理解いただけるよう、周知に努めていく。
(道議会 2023-11-02付)
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