3定札幌市議会決算特別委(20日)
(札幌市 2023-10-25付)

◆一体的推進へ組織再編検討 母子保健と子育て支援

 札幌市子ども未来局の佐藤学子育て育成部長は20日の市議会決算特別委員会で、母子保健と子育て支援を一体的に推進していくため、市役所の組織再編を検討していることを明らかにした。

 子ども子育て世帯の多様化するニーズに的確に対応していくため、既に各区役所に健康・子ども課を設置し妊娠期から子育て期まで包括的に支援している。

 今後、さらに支援を一体的に展開できるよう「両施策を企画立案する市役所本庁部門を子ども未来局に統合し、組織体制の強化を図りたい」と述べ、子ども未来局への母子保健事業の移管に向けた検討をより一層加速させていく方針を示した。

 竹内孝代委員(公明党)の質問に対する答弁。

◆利用児童数増加で89ヵ所中6ヵ所 階が離れた空き教室活用のミニ児童会館

 佐藤部長は、利用児童数の増加に伴い、階が離れた空き教室等を活用しているミニ児童会館が89ヵ所中6ヵ所に上っていると明らかにした。

 児童会館を利用する児童数の増加に伴い、混雑が生じている会館が増加傾向にある。学校併設型のミニ児童会館の一部では、階が離れた空き教室を活用するなどの対応を講じており、職員らの負担となっている。

 そこで市は本年度、札苗北小学校を対象に民間児童育成会の新規参入を認めることとし、現在選定に向けた作業を進めている。

 一方、利用児童数の減少が見込まれないなどの要件があるため、ほかの校区の参入については「現時点では予定していない」とした。

 佐藤綾委員(日本共産党)の質問に対する答弁。

◆対象795人のうち認定児は376人に 障がい児保育認定巡回相談

 子ども未来局の伊藤弘己子育て支援部長は、障がい児保育の認定を受ける幼児などを対象とした巡回相談の状況について報告した。

 市は、特別な配慮を要する幼児への支援の充実に向けて、公認心理師等の資格を持つ巡回指導専門員らによる巡回相談を実施している。

 4年度は、巡回指導専門員7人と保育士5人の体制で、障がい児保育認定児がいる222の幼児教育施設を336回訪問したほか、依頼によって認定児がいない22施設に相談対応を行った。

 相談の対象となった幼児の数は延べ795人。内訳は認定児が376人、認定児以外が419人となっている。

 認定児や配慮を要する幼児の増加に伴う受け入れ施設の増などを踏まえ、5年度から巡回指導専門員を1人増員しており、今後の対応として「巡回指導の体制や在り方について引き続き検討していきたい」とした。

 池田由美委員(日本共産党)の質問に対する答弁。

◆市教委などの他部局と連携 児童虐待防止

 山本健晴子ども未来局長は、児童虐待防止に向けて市教委など他部局との連携を推進していく考えを示した。

 令和元年の女児死亡事案を契機として、市はことし4月に児童虐待防止に向けた職員の人材育成ビジョンを策定。関係部局が連携して対応に当たっていくことを示した。

 個別の教育支援計画「サポートファイルさっぽろ」などの既存ツールを活用し、気になる子どもの情報を児童相談所と学校が連携する仕組みについて、宮本まゆみ児童相談所長は「現在の母子保健と児童福祉の一元的なシステムに、さらに就学後も困難を抱える子どもの情報が加わり、より長期的かつ切れ目のない予防的な支援につなげていくことが可能になる」との見解を示した。

 一方「学校や市教委が保有する数多くの情報の中から、支援策を検討する上で有効と考えられる情報を選別していく必要がある」との課題を述べた。

 山本局長は「学校や市教委の情報をはじめ、生活支援・発達支援など保健福祉局が持つ情報等を共有できれば、各部署での支援のための情報の精度が上がる」と児童虐待の未然防止への効果を期待。

 情報連携を含めた児童虐待防止に向けた取組について「私の責任のもと確実に進めていく」と強調した。

 伴良隆委員(自由民主党)の質問に対する答弁。

◆意見表明支援事業体制整備を検討 児童養護施設子の権利擁護

 子ども未来局の宮本児童相談所長は、児童養護施設等で暮らす社会的養護下にある子どもの権利擁護における取組として、国が推進する意見表明等支援事業の実施に向けた体制整備などを検討していく考えを示した。

 6年度に施行される改正児童福祉法の趣旨を踏まえ、社会的養護下にある子どもなどに対する権利擁護の体制整備が求められている。

 市は、児童養護施設などで暮らす子どもたちを対象とした「子どもの権利ノート」を全面改訂し、子どもの年齢や理解力に応じて表現を変えるといった工夫を講じた。また、弁護士が一時保護所を訪問し、中学生以上を対象に意見表明を行う取組を試行実施している。

 意見表明等支援事業については「施設に対してこの取組の必要性と効果を丁寧に説明し、理解を得ることが前提」とした上で、意見表明等支援員の養成や施設への派遣方法、聴取した子どもの意見をどのように扱っていくのかなどについて検討し「子どもの最善の利益を守る新たな仕組みを構築していきたい」と述べた。

 水上美華委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

(札幌市 2023-10-25付)

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