スポーツ庁事業指定の厚沢部町教委　部活動地域移行　今月から取組開始　専門家が正しい筋トレ指導

（市町村 2023-10-27付）

筋力トレーニングの正しい姿勢を指導した

　【函館発】スポーツ庁の地域スポーツクラブ体制整備事業の指定を受けている厚沢部町教委は、中学校部活動における休日の地域移行に向けた取組を今月から開始した。冬期間の積雪によって活動内容が制限されることに伴い、休日部活動で生徒が専門家から正しい筋力トレーニングを学ぶ場を設けている。今後は各競技の要望に応じて、スタミナづくりや俊敏性などに焦点を当てた指導にも対応する予定。顧問教員からは「教員では指導できない専門的な内容に生徒も新鮮さを感じている」などの肯定的な意見が寄せられている。

　町教委は教員の働き方改革を踏まえ、同事業を活用。運動部における休日部活動の地域移行に向けた体制の整備を進めている。町内の厚沢部中学校では、野球、バドミントン、卓球、女子バレーボールの単独運動部を設置。活動日は水曜と土日のいずれかを休日としている。

　外部講師には、函館ラ・サール高校ラグビー部でトレーニング指導を行っている合同会社パワークリエイターの小田千尋代表に委任。保護者らの要望を踏まえ、筋力トレーニングやけが予防の指導を来年３月までの土日祝日に各部月１回程度指導を受けられるようにした。

　文化祭の振替休日としていた２４日には野球、バドミントン、女子バレーボール部に所属する生徒１５人が町総合体育館で行われた練習に参加した。小田代表は多様な競技に取り組む生徒が集まったことを踏まえ、全てのスポーツに共通する筋力トレーニングを指導。腰を膝の高さまで下げて行う「パラレルスクワット」や腕立て伏せ、腹筋運動の正しいやり方を教えた。

　スクワットや腹筋では、太もも筋力の可動を意識するよう伝えたほか、腕立て伏せでは、肩甲骨の可動領域がポイントとなることを説明。生徒一人ひとりが正しいフォームで取り組めているかを確認し「回数を意識するのではなく、単純作業を効果的に行うことを意識して」と呼びかけた。

　野球部に所属する杉野琥珀さん（２年）は「股関節を意識したスクワットが効いた。チーム全体の力量を高めたいので、様々なことを教わりたい」と声を弾ませた。

　町教委は教員の働き方改革に向け、顧問教員の参加を極力控えるよう呼びかけているが、この日は初回で参加した部もあり、４人の教員が取組を参観した。野球部の顧問を務める金子公也教諭は「冬期間、筋力トレーニングを指導しているが、プロの指導によって生徒が新鮮さを感じているように感じる」と指導の効果を実感。バドミントン部の副顧問を務める越前智美教諭は「教員が専門としていない分野の指導を受けられるため、ありがたい。生徒がトレーニングの意義を感じることでけが予防にもつながるのでは」と期待する。

　今後、小田代表は競技ごとの部活動を指導するに当たり「スタミナづくりや走力を高めるトレーニングなど各部の要望や競技内容に応じて柔軟に対応していきたい」と話す。

　一方、部活動の地域移行に向けては、顧問教員の大会引率など様々な課題が残る。町教委の二宮和之事務局長は「次年度以降、指導者の確保ができ次第、取組を進めていきたい」とし、国が求める７年度までの地域移行体制確立に向け、成果や課題を検証する方針だ。

(市町村 2023-10-27付)