実態に即した教育実現を 第73次合同教研全道集会 北教組 道私教協(関係団体 2023-10-31付)
北教組(木下真一中央執行委員長)と道私教協(石井翼執行委員長)は21日と28、29日の3日間、第73次合同教育研究全道集会を開いた。21日にオンラインで開かれた全体会では、木下中央執行委員長があいさつ。給特法廃止・見直しを含む超勤多忙化解消に向けて「組合員一丸となって取り組むことが必要だ」と訴えた。28、29日は北見市内で21分科会を開き、子どもの学習権保障に向け議論を交わした。
21日の全体会では、木下中央執行委員長と石井執行委員長があいさつした。
木下中央執行委員長は「学校現場は、子どもたち、教職員も一向に改善されない過密な教育課程によって多くの苦悩を抱えていることが明らかになっている」と指摘。「子どもたちが幸せを感じる学校、地域とは何かを考え、居心地の良い場所を数多くつくる責任が大人にはある」とし、子どもたちが安心できる社会の実現を目指す必要性を訴えた。
一方で、現行の学習指導要領が「国に都合の良い価値観を強要することが目的」であり、子どもたちの実態に即した教育課程編成ではなく「学力向上や画一的な学習内容が押し付けられている」と断じた。
教職員を巡る勤務労働条件の改善については「予断を許さない状況」とし、与党が給特法の枠組みを維持した上で教職調整額の増額を提言した議論を「容認できるものではない」と強調。
給特法の趣旨と現場実態の乖離が限界に達していることを訴えた。
その上で、業務量と教職員定数の不均衡解消、義務標準法改正、年間授業時数削減のための学習指導要領等改訂、学力向上策の転換、部活動の社会教育への移行などを目指す必要があるとして「給特法廃止・見直しを含む超勤多忙化解消の目標を達成できるよう、組合員一丸となって取り組むことが必要だ」と呼びかけた。
石井執行委員長は、チャットGPTの登場をはじめとしたAIの急速な進化によって多くの職業が消失する懸念がある中、「学校や教職員が子どもたちに提供できるものは“情緒の育成”だ」と強調。
「相手への思いやりや対話の重要性などを考え、行動に移す必要がある。合同教育研究集会で再確認していただきたい」と訴えた。
北教組網走支部の萩野谷剛支部長や来賓のあいさつに続いて、基調報告を行った。
このあと、ジャーナリストの金平茂紀氏が「新たな戦前の中で正気を保つために」をテーマに記念講演した。
教員の超勤多忙化や教員不足を喫緊の課題に挙げ、「教育現場はまるで一般企業の社会原理が導入されているように見える。教育とは、費用対効果のように数値化できるものではない」と非難した。
また、ウクライナ戦争やパレスチナ・イスラエル戦争などを例に「新しい戦前ではなく、われわれは既に“戦時下”にいるのでは」と警鐘を鳴らした。
戦前的であることがもたらす影響として①自由が奪われる②監視が強まり不寛容が広がる③メディアの萎縮・御用化④ナショナリズムの高揚―と指摘。政策に係る財源の多くを国債で賄うことは「次世代からの搾取だ。負債を次世代に押し付けることにほかならない」と述べ、次世代から教育の権利を奪うことにつながると訴えた。
28、29日の2日間は、北見市内の4会場で分科会を開催。21分科会165本のレポートをもとに、子どもたちの学習権をどのように保障し、支えていくかについて議論した。
(関係団体 2023-10-31付)
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