主体的に学び合う子育成 全小道研などが研究函館大会 柏野小 アンケートで実態共有(関係団体 2023-11-09付)
藤村教諭はICTや板書で児童の心情を可視化する授業を実践した
【函館発】第59回全国小学校道徳教育研究大会・第57回全日本中学校道徳教育研究大会・第58回道道徳教育研究大会函館大会が1日から2日間、函館市民会館などを会場に開催された。全国から延べ500人の教職員が参加。函館市内5小・中学校の授業公開のうち、柏野小学校の公開授業では「いじり」と「いじめ」の境界線に葛藤する主人公の心情理解に向け、学級アンケートを活用して身近な実態を共有。誰に対しても分け隔てなく接し、相手の気持ちを大切にする心を育む指導を展開した。
大会主題は「主体的に学び合う児童生徒の育成~Well―beingの実現を目指した道徳教育の実践」。初日は函館市立鍛神小学校(三上泰司校長)と亀田中学校(吉田敬三校長)を会場に、両校と附属函館小学校、柏野小、南本通小学校の22人の教職員が各学年の授業を公開。単元に関する事前アンケートや目的に応じたICT、道徳ノートの活用などを工夫した課題解決学習の実践を披露した。
公開授業のうち、柏野小の藤村美由紀教諭は4年生(児童数25人)を対象に「分けへだてなく」を主題に設定。日本文教出版の小学校道徳教科書「いじりといじめ」を教材として扱った。
本時は「級友が間違った時に笑った行為は“いじり”か“いじめ”なのかと悩む主人公の葛藤を通して、相手が誰であろうとその気持ちを想像し、大切にしようとする心情を育てる」をねらいに設定。
藤村教諭は学級内の実態把握に向け、事前に道徳アンケートを導入した。授業では「周囲の人に態度を変えられたと感じたことはあるか」との質問に「よくある(12・5%)」「たまにある(20・8%)」「ほとんどない(33・3%)」「ない(33・3%)」と回答した児童の結果を提示し、自分事として考えさせる工夫を取り入れた。
主人公の心情理解を一層深めさせるため教材内容を再読。「主人公が級友の失敗や間違いを笑っても良いと思うか、それとも良くないと思うか」と投げかけ「心のメーター」を黒板に掲示。共感の度合いを児童自身にネームプレートを貼らせることで周囲の考えを可視化させた。
「本人が“気にしていない”と言っても、本当の心情は分からないのではないか」と発表した児童の意見を取り上げ「人の心は見えない。誰に対しても相手の心の中を想像することが大切」と呼びかけた。
授業公開後は各会場で授業研究分科会や道徳教育に関するグループディスカッション「道徳教育の指導計画と評価」をはじめとする5つの課題別分科会を実施。
2日目は函館市民会館で開会式が行われ、全国小学校道徳教育研究会の小西祐一会長、全日本中学校道徳教育研究会の月田行俊会長、道道徳教育研究会の荒川芳央会長、北海道函館大会運営実行委員会の永井貴之委員長が主催者あいさつ。道教委の倉本博史教育長(山下幹雄渡島教育局長代読)と函館市教委の藤井壽夫教育長が祝辞を述べた。
うち小西会長は文部科学省がことし7月に発表した「初等中等段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」に触れ「学ぶことの意義についての理解を深める指導が重要であることや学びに向かう力、人間性等のかん養がこれまで以上に重要になることが示された一方、心が現実をつくることに変わりはない。豊かな心を育成することを目的として行われる道徳教育の重要性はさらに大きくなる」と強調。
荒川会長は「大会の熱量が参加者を通じて全国各地に広がり、道徳教育の充実に寄与できることを願っている」と期待した。
開会式後は亀田中の川合園子教諭が基調提案を行ったほか、堀田竜次文科省初等中等教育局教育課程課教科調査官兼国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官が「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う道徳教育の推進・充実」と題して講演した。
(関係団体 2023-11-09付)
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