道国際理解教育研究十勝・帯広大会 世界と関わる行動力を 帯広大空学園で総合福祉など
(関係団体 2023-11-08付)

国際理解教育研究大会
国際理解教育研究大会

 【帯広発】第44回道国際理解教育研究大会十勝・帯広大会が1日から2日間にわたり帯広市内で開かれた。2日は市立大空学園義務教育学校で授業公開および全体会、分科会を実施。国語科、美術科、技術・家庭科と横断的に進められた8学年総合的な学習の時間「総合福祉デザイン」では、生徒たちが福祉施設利用者のために開発した自助具を発表した。

 大会は、第33回全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会道ブロック大会、第44回十勝地区国際理解教育研究大会、第2回大空学園義務教育学校公開研究会を兼ねて開催。大会主題は「多様な世界に関わり続ける行動力を身に付けた児童生徒の育成~世界と関わり何ができるかを考え、主体的に行動する学びの創造」と設定した。

 初日は全道理事研修会や総会、JICA北海道・帯広の見学等を実施。2日目は大空学園義務教育学校の6授業を公開し、全体会および分科会を展開した。

 8学年総合的な学習の時間「総合福祉デザイン」の授業では、地域の福祉施設利用者に向けて生徒たちが自助具を開発。ユニバーサルデザインを美術科で学び、技術科で設計した製品を、3Dプリンターを活用して製作し、実社会に生きる問題発見・解決能力の育成につなげている。5年度は国語科とも連携し、効果的な発表方法等を学んだ上でこの日の発表に臨んだ。

 国際理解教育の観点は、言語や文化、年齢、性別などに関わらないユニバーサルデザインに対する理解に加え、実践を通して「使う人のためにデザインする」視点の重要性に気付くことが挙げられる。

 8学年2学級12班が、6つの症例に応じて開発した自助具を発表した。左脳出血や関節リウマチなど、症状によって福祉施設利用者が抱える生活の困り感に対応し、片手で読書できる製品、食事を運ぶキャスター付きトレーなどを紹介。握力が弱い人などに向けてヘアブラシを開発した2班は、頭皮マッサージと髪をとかすことの2点に焦点が分かれ、班によって主な用途や特色に違いが見られた。

 生徒たちは「世界には様々な障がいを抱える人がいることを知った」「一つの製品を作るためには人と協力することが大切だと感じた」「人のためにできることがあるということがうれしい。今後も誰かの役に立つような行動をしたい」など、授業を通して学んだことを伝えた。

 このあと、全体会および授業分科会を実施した。

 開会式では、道国際理解教育研究協議会の小松裕和会長、大空学園義務教育学校の村松正仁校長らがあいさつに立った。小松会長は「子どもたち自身が世界の人々に思いをはせ、互いを尊重し合い、共に生きる思いやりの心や態度を育てていきたい」と強調。村松校長は、外国籍の児童生徒20人が在籍する同校において「持続可能な社会を生き抜く子どもたちのグローバル・コンピテンシーの育成に向けて、児童生徒理解と授業改革にまい進していく」と伝えた。

 来賓を代表し、十勝教育局の新山知邦局長、帯広市教委の広瀬容孝教育長が登壇。新山局長は、国際実践力の育成に向けた研究を「時宜を得た取組」としてたたえ「国際社会と平和の発展、地球環境の保全に貢献できる日本人として生きようとする態度の育成を」と呼びかけた。

 広瀬教育長は「多様な世界に触れ、自分と世界をつなぐ教育」の重要性に触れ「持続可能な社会、世界や個人のウェルビーイングにつながる」と述べた。

(関係団体 2023-11-08付)

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