札工・臼木さん最優秀賞 道高校定通制生活体験発表会(関係団体 2023-11-09付)
定時制通信制高校発表
道高校長協会定通部会(阿部穣会長)主催による第67回道高校定時制通信制生徒生活体験発表大会が10月31日、札幌市内のかでる2・7で開催された。各支部の代表生徒12人が将来に向けた夢や目標、自身の経験で得た学びを発表。高校入学を契機に様々な挑戦を続けることで中学生時代不登校だった学校を「楽しい場所」に変える体験を語った札幌工業高校3年生の臼木風太さん=写真=が最優秀賞に輝いた。
開会式では大会長を務める阿部会長があいさつ。「皆さん一人ひとりが語る言葉、困難を乗り越えてきた経験は、同じ生徒たちに大きな希望、勇気、励みを与えるものとなる」と述べ、練習の成果を存分に発揮するよう期待した。
続いて各支部の代表生徒が7分間、学校生活を中心とした自身の体験を発表。審査の結果、最優秀賞に札幌工業高の臼木さん、優秀賞に滝川高校の星山琢磨さんが選ばれた。2人は19日に東京都内の六本木ヒルズハリウッドプラザで開かれる第71回生徒生活体験発表大会に出場する。
大会結果はつぎのとおり。=敬称略=
▽最優秀賞=「挑戦」(札幌工業3年・臼木風太)
▽優秀賞=「楽しい現実」(滝川3年・星山琢磨)
▽優秀賞=「後悔してもしきれないこと」(江別2年・須藤彩花)
▽奨励賞=「私が頑張ってきた事と将来の夢」(旭川東4年・柴野七葉)
▽奨励賞=「このままでは終われない。僕の酪農魂!」(真狩1年・山崎遙斗)
▽奨励賞=「今ここで」(遠軽1年・加藤佑梨
◆高校生活の挑戦 自信、勇気の糧に
第67回道高校定時制通信制生徒生活体験発表大会で最優秀賞を受賞した札幌工業高3年の臼木さんの発表内容はつぎのとおり。
私は今、とても楽しく充実した日々を送っています。学業とアルバイトの両立。そして、電気関係の資格取得のため、何事にも前向きに全力で目標を達成できるよう挑戦しています。
そんな私ですが、中学生の頃は不登校でした。入学当初は小学校の頃からの友人と仲良くしていましたが、だんだんと繰り返される陰口やいたずらが増え、どうすればいいか分からなくなっていきました。当時の私には友人に助けを求める勇気がなく、心の中で「助けて」と叫んでいました。次第に友人とも話すことが少なくなり、学校に行くことも嫌になってしまいました。
欠席が増え「もう行きたくない」とも考えましたが、そうなると本当に学校に行けなくなると思い、週に1度は必ず「行こう」と自分に言い聞かせて登校していました。けれども、そのたびに「あいつ、何しに学校に来ているんだ」という雰囲気に耐え切れず「学校に行くのはもう嫌だ。好きなことだけをしよう」と投げやりな気持ちになっていきました。そんな日々を送るうちに、私にとって学校は「行っても嫌なことしかない場所」になっていました。
そんな生活が2年続いた3年生の10月。学校に行ってみると、クラスメートが進路の話をしていました。「俺は○○高校を受けるけど、君はどこを受けるの?」。クラスのあちらこちらからそんな声が聞こえてきました。志望校を決めて頑張っている姿を見て私は焦りを感じました。「このままでは、俺は駄目になってしまう。俺は何がしたいんだろう」。私はこのままではいられないと気付き、進路について考え始めました。しかし、私はそれまでろくに登校せず勉強もしていなかったので「私が入れる高校ってあるんだろうか」という気持ちが強くあり、とても不安でした。
そこで、私はその不安を母や先生に勇気を出して打ち明けました。すると、母が回路や配線に興味があった私には「札幌工業高校定時制が合うのでは」と、アドバイスをくれました。そこで学校のホームページを見てみると「自分のペースで資格にチャレンジ」と書いてありました。私はそれまで何かにチャレンジすることに背を向けてきました。しかし、この時の私は「自分も何かにチャレンジできるかもしれない」と思い、電気科を受験することにしました。
受験を決めたあとは、不安な日々が続いていましたが、友人や母の応援もあり、勇気を出して「受験という挑戦」をしました。私は無事に合格でき、札工での新しい生活が始まりました。
入学式、私は期待を胸に登校しました。すると、学年主任の先生から新入生代表あいさつの生徒が急きょ欠席したので「臼木君、やってみないか」と言われました。その時、私はふと昔からの友人のことを思い出しました。その友人は何事も失敗を恐れず挑戦する人で、私にとって憧れの存在でした。そこで私も「チャレンジするために入学したんだ。今までの自分を変えたい。自分も挑戦して友人のようになりたい」と思い代表あいさつを引き受けることにしました。私にとって、人前に立つ初めての出来事でしたが、無事に役目を終えることができ大きな自信となりました。
この出来事がきっかけとなり、高校では「挑戦」を目標に活動してきました。クラス代表や生徒会役員に自分から進んで立候補するなど、中学時代の自分では考えられないことにも挑戦しました。そして今、私は生徒会副会長として、学校行事の計画や運営の中心的な役割を担っています。普段はアルバイトをしながら電気関係の資格取得にも励むなど、生徒会の仕事は正直大変な時もありますが、生徒会のメンバーと意見交換しながら「札工定時って本当に楽しいよね」と、みんなが思えるような学校づくりを目指し、日々挑戦しています。
今回の生活体験発表大会も新しい挑戦の一つです。自分の体験をつづって、人前で発表するなど中学時代の自分では考えられないことでした。しかし、今回こうして挑戦することで自分の得意なことや足りないところに気付き、挑戦することの難しさや楽しさを知ることができたのです。
入学前、不安に思っていた高校生活ですが、今はクラスメートとも積極的に話すようになり、楽しく生活しています。勉強は先生方が手厚くサポートしてくれるため、分からなくなることが減り、やりがいを感じるようになりました。気付くと、以前のネガティブな思考から「学校は楽しい所」と捉えられるようになり、毎日休まずに通うことができるようになりました。
器具や理論、法律、配線図や計算などを学ぶ専科の授業は、難しいところがあるものの仕組みが理解できた時の達成感は大きく、また新しいことに挑戦しようという考えができるようになりました。その結果「行っても嫌なことしかない場所」であった学校は、「つらいものから楽しい場所」となり、挑戦は「意味のないものから学びをくれるもの」に変わりました。
高校生活も残り1年余りとなりました。次期生徒会選挙では生徒会長に立候補する決意を固めました。さらに、卒業までに資格取得とジュニアマイスターゴールド取得を目標に挑戦していきます。
私は、これまでの高校生活で自分に対する自信と挑戦する勇気を持つことができました。そして、将来の夢であるITエンジニアを目指し大学受験という新たな挑戦をしていきます。
「先が見えなくても不安があっても挑戦を続けていれば、いずれやりたいことは見えてくる」。高校生活を通して得たこの考え方を中学時代の私のように先が見えず困っている人たちに伝えるとともに私自身も挑戦することを恐れず、常に挑戦し成長する人であり続けます。
「挑戦は、学びを与えてくれる」。私はこの言葉を忘れずに、これからも努力を怠らず、挑戦し続けていきたいです。
(関係団体 2023-11-09付)
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