十勝管内教委連 教育を考えるつどい 子が自ら考え選択する 部活動地域移行で掛川市担当者
(関係団体 2023-11-09付)

十勝教育を考えるつどい

 【帯広発】十勝管内教育委員会連絡協議会(加賀学会長)は10月27日、池田町西部地域コミュニティセンターを主会場に、十勝教育を考えるつどいを開催した。オンラインを通じて教育関係者や保護者ら約280人が参加。8年度に部活動を廃止して地域クラブを創設する静岡県掛川市から講師2人を招き、講話やパネルディスカッションを展開した。

 同会は平成18年度、北海道教育の日に合わせて毎年11月1日を「十勝教育の日」とすることを宣言。以来、十勝教育の充実と発展を図り、家庭・学校・地域・行政が協働して取り組む機運を高めるために、十勝教育を考えるつどいを開催している。

 本年度の開催テーマは「地域の実態に応じた休日の部活動の段階的な地域移行に向けて」と設定。部活動の地域移行に関して先進的な取組を進める静岡県掛川市から、市教委の沢田佳史指導主事、大原基彰指導主事を招き、講演やパネルディスカッション等を実施した。

 はじめに、十勝教育局の部活動地域移行市町村サポートチームを代表し、有働雅哉主査(地学協働)が行政説明。全道および管内における部活動参加生徒数や運動部の設置数、引率のみ教員が対応する部活動などのデータを提示。「部活動の地域移行によって体験格差の解消につなげ、子どもたちの活動の選択肢を広げる環境整備が大切」と説き、管内の事例を紹介した。

 続いて、掛川市教委の沢田指導主事、大原指導主事による講演を実施。8年夏に学校部活動を廃止し、地域クラブ体制に完全移行する構想を立てている掛川市の取組に関して解説した。

 市内中学校9校では、教職員の業務負担を鑑みて部活動指導員を各校1人配置していたが「指導員との調整などによる負担が増した」という声も上がり、根本的な解決に至らなかった。市教委は、部活動の運営主体を学校から切り離す必要性を重視。3年度から、市内の文化・スポーツ団体と連携して実践研究を重ね、地域移行の在り方を模索してきた。

 現在は「かけがわ地域クラブ」の創設に向けて準備を進めている。移行期間は地域クラブの公認制度を設け、20団体が校種にかかわらず多様な文化・スポーツ等に触れる機会を提供。沢田指導主事は「子どもが最も取り組みたいことを自分で考え、選択することが大切」と伝えた。

 また、現行の部活動指導員には、資質向上・安全管理・子ども理解の3点に分けて研修機会を設定している。市スポーツ協会が研修を開催し、市教委が公認指導者資格を付与。集合研修に加え、指導現場の様子を見て指導助言を行う派遣型の「コーチデベロッパー研修」も実施している。

 運営費用に関しては、市内団体の月額会費を比較・検証した結果、安価で受け付けている団体は指導以外の事務仕事を無償で請け負っていることが判明。現在の部活動顧問を務める教職員の姿も重なり、大原指導主事は「善意と熱意に支えられていることが当たり前になっている」と言及。活動を持続させるための適正な会費設定が課題となることを示した。

◆全員が当事者意識を 地域がすべきことテーマに討論

 パネルディスカッションは「子どもたちがスポーツ・文化に親しむ機会を確保するために地域がすべきこと」をテーマに展開した。

 幕別町教委の西田建司学校教育課長、池田町教委の佐藤良則社会教育係長、豊頃町教委の佐藤尚志学校教育係長、浦幌町教委の原口康紀次長補佐が登壇。掛川市教委の沢田指導主事が進行役を務めた。

 はじめに、4町における中学校部活動の加入状況や種目、地域団体の実態や地域の特色などを発表した。4町共に地域移行に向けた検討組織を設置している。

 中でも、幕別町は組織内に高校関係者を交え、推進計画の策定に向けて準備していることを説明。池田町は、実施運営体制や指導者確保など、協議のポイントを6点に絞り検討を進めていることを示した。

 豊頃町教委の佐藤係長は「協議会運営に苦労した点は」と問い、沢田指導主事は「当初は真剣に話を聞いてくれる人が少なかった。地域全体が当事者意識を持つことが大切だと実感している」と回答。参加費用に関する質問には「補助金に頼ると持続可能性につながらない。受益者負担を強くお願いしている」と答えた。

 浦幌町教委の原口次長補佐は、部活動改革における小規模校への対応を質問した。沢口指導主事は「保護者の送迎によって対応しているが、負担軽減に向けてICTの活用を検討している」と回答。新たにマルチスポーツを体験する場の提供を企画しており「部活動の形にとらわれず、あらゆる可能性を探る視野を持って進めてほしい」と呼びかけた。

(関係団体 2023-11-09付)

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