【解説】子の貧困改善 格差懸念も
(解説 2023-12-08付)

 ユニセフは6日、先進国の子どもの相対的貧困率を順位付けした「レポートカード18」を発表した。OECD・EU加盟国における子どもの直近の貧困率や改善度に基づき各国を順位付した結果、日本は39ヵ国中8位と比較的上位となった。一方、母親の就労率の向上などが背景にあるとされ、ひとり親世帯をはじめ改善の状況が偏在している可能性があるという。

 報告書によると、2014~21年の安定した経済成長によって子どもの貧困率は減少し、ポーランドなど4ヵ国では大きく改善。一方、英国など比較的豊かだった5ヵ国では貧困率が大きく上昇した。国民所得が同程度の国でも貧困率には大きな差がある。

 ひとり親家庭で暮らす子どもは他の子どもの3倍以上の確率で貧困の中で暮している。障がいのある子ども、少数民族・人種的背景を持つ子どもも平均より貧困のリスクが高い。

 日本においては08年以降の不況で子どもの貧困率が上昇したものの、12年からコロナ禍にかけ改善。直近の貧困率は14・8%で39ヵ国中11位、改善率も11位となり、総合順位で8位となった。

 日本の結果に関し東京都立大学の阿部彩教授(子ども・若者貧困研究センター長)は、母親を中心とする就労率や正規雇用率が大幅に上昇したことが貧困の指標である生活困難度の低下につながった可能性を指摘する。

 しかし、ふたり親世帯とひとり親世帯、またはひとり親世帯間でも所得の格差が生じている可能性を懸念。日本の教育費の軽減やサービス給付の充実など貧困対策の拡充を評価しつつも、公的現金給付による貧困の削減機能が他国より大きく劣っている点に触れ「現金給付とサービス給付の両輪が必要だ」と訴えている。

(解説 2023-12-08付)

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