Pick Up2023 第5回 石狩
(市町村 2023-12-14付)

ピックアップ当別高校
ピックアップ当別高校

◆当別高 地域課題解決へ奮闘 第5回 石狩

コンソーシアム 取組の加速化へ

 道教委「道CLASSプロジェクト」の指定を受ける当別高校(保格秀規校長)。指定期間が終了し“一本立ち”する次年度からは、コンソーシアムを学校運営協議会(CS)に位置付けて取組を加速化する計画だ。一方、北海道医療大学の移転問題が表面化。町の活性化が喫緊の課題となる中、町や商工会と連携を一層密にした地域課題探究型の学習の推進が求められる。

 11月下旬、コンソーシアム会議で生徒がプレゼンテーションに立った。「粘議場」(ねばぎば)と題した発表では、生徒たちが自らの企画を地域住民に提案。フードロス削減に向けて提案した柴田椿さん(2年)は「地域の人からもらったアドバイスをもとに企画をつくり直すのは難しいけれど楽しい」と笑顔が弾けた。

 発表会は、教員と地域住民が地域との協働において、学校側がどのような力を育成する活動かを共有するとともに、自らの企画内容を具体的に伝える力を育むことで、地域の担い手としての意識の醸成を図った。

道医療大移転で 町の経済に衝撃

 地域課題探究型の学習を通して、持続可能な地域と学校の連携・協働の仕組み構築に一定のめどが立った中、新たな地域課題が浮上。9月末、道医療大の北広島市への移転構想が表面化し、町の経済活動に衝撃が走った。

 当別町商工会が11月にまとめた町内企業を対象としたアンケート結果をみると、売り上げ減少や人手不足など、4割が経営に「影響がある」と回答した。

 同校と町商工会は11月末、地域社会の持続的な発展に資する人材育成に向けて連携協定を締結した。商工会の髙橋昌二会長は、キャリア教育への協力、持続可能的な地域振興・商店街活性化などでの連携を期待する。「地域の経済や生活が先行き不透明な中、ピンチをチャンスに変える契機としたい」と話す。

◆恵庭市 水泳授業民間委託開始

多方面で効果実感 今後の広がり期待

 恵庭市は本年度、㈱セントラルフィットネスクラブ24恵み野の協力のもと、小学校水泳授業の民間委託事業を本格化。柏小学校、松恵小学校、恵み野小学校の3校は市が借り上げたバスで移動。残る5校はインストラクターを学校に派遣する形を採用した。

 授業は習熟度に応じたグループ別学習で、泳法指導や着衣水泳を展開。実施後のアンケートでは、少人数指導によって泳力向上を感じる児童が多かった。教員は「声かけの仕方やクロール練習のポイントなどを学び、自信を持って指導に当たることができた」と授業力向上を実感する。

 管理職からはプールの維持管理に係る負担軽減、全天候に対応した時数確保などの効果を挙げられている。

 保護者からも「管理の行き届いた施設で授業が受けられるので安心」「子どもが水泳授業が楽しいと話している」と満足度が高い。市教委担当者は、小規模校でも「通常の水泳授業よりも多くの大人の目が届くため安心」と話す。

 市の試算によると、年間約500万円のコスト削減が見込まれ、財政面での効果も高い。

全天候型施設で 柔軟な教育課程も

 本年度の実施状況をみると、2コマ×5回の授業で、インストラクターが指導に当たったのは3回。残る2回は施設を貸し出し、教員のみで指導に当たった。

 夏に1度、講師派遣を受けた恵み野旭小学校は「全授業で指導者に関わってもらうことで、児童の安全性がより確保できる」と、講師派遣回数の増加を求める。

 一方で、櫻井弘康店長は「水泳授業だけでは指導できる内容が限られる」と話す。全天候型施設のメリットを生かし、年間を通した水泳授業の展開を期待する。「学校行事等の日程を考慮しながら、今後も柔軟に対応していければ」と積極的だ。

 ある管理職は「受け入れる児童数によっては、実施回数増加や水泳授業の早期化を踏まえたカリキュラムを編成することもできる」と、柔軟な教育課程編成の可能性を指摘する。

 市は、次年度も事業を継続する考え。4校目以降の受け入れ拡大に備えて体制を強化するとともに、教員に向けた泳法指導に関する座学研修などを検討する。

(市町村 2023-12-14付)

その他の記事( 市町村)

保小接続カリキュラム開発 6年度から試行導入 佐呂間町教委 会議で中間報告等

佐呂間町教委保小接続カリキュラム開発会議  【網走発】佐呂間町教委は昨年12月中旬、町民センターで第2回保小接続カリキュラム開発会議を開いた。千葉大学の天笠茂名誉教授、町教委の谷川敦教育長、町内の小・中学校長ら委員13人が出席。保育...

(2024-01-10)  全て読む

上士幌町内3校園選定 地域資源活用の探究学習等 環境省 環境教育・ESD実践動画

上士幌町内3校環境省「環境教育ESD実践動画」選定  【帯広発】環境省が5年度から始めた「環境教育・ESD実践動画100選」に、上士幌町立認定こども園ほろん(横山利幸園長)、上士幌小学校(山田圭介校長)、上士幌中学校(新倉忠司校長)が応募した...

(2024-01-05)  全て読む

いじめのないまちへ 北見市教委 子ども会議

北見市教委いじめのないまちづくり子ども会議  【網走発】北見市教委は昨年12月22日、北見市立北中学校で「いじめのないまちづくり子ども会議」を開いた。市内の小・中学校から児童会・生徒会の代表35人が参加。「いじめはなぜ起きるのか」「い...

(2024-01-05)  全て読む

今金町教委 休日部活動支援で6年度 サポーターバンク試行 人材確保へ競技等経験不問

 【函館発】今金町教委は中学校の休日部活動を支援する人材確保に向け、次年度から「いまかね部活動サポーターバンク」をモデル試行する。潜在的支援人材の掘り起こしを目的に独自で検討しているもので、...

(2023-12-27)  全て読む

小中一貫教育へ池田町教育推進研 保育園と連携・協働 道教大教授が運動遊び見学

池田町保育園連携  【帯広発】池田町教育推進研究会は、小中一貫教育推進に向けて全教職員が取組の企画・検証を進めている。健康・体育指導検討部会では、児童生徒の体力向上を見据え、町立池田保育園との連携・協働を検討...

(2023-12-19)  全て読む

紋別市教育向上PJが道徳研修会 授業力向上目指し研鑚 紋別小、潮見中で公開授業等

紋別市教育向上プロジェクト道徳授業研修会  【網走発】紋別市教育向上プロジェクトは11月30日、潮見中学校(竹田継寿校長)と紋別小学校(大岩芳江校長)を会場に道徳授業研修会を開いた。小・中学校の公開授業や教育講演会などを通して、道徳...

(2023-12-13)  全て読む

帯広市教育振興基金とこども学校応援基金 統合し教育予算充実へ 公共施設等整備基金新設も

全国学力・学習状況等調査道版結果報告書  【帯広発】帯広市は、基金11種類の内容を変更・廃止する方針を明らかにした。教育振興基金・こども学校応援地域基金を統合し、教育予算の充実を図る見通し。また、高等教育整備基金を廃止し、公共施設...

(2023-12-07)  全て読む

渡島・檜山管内の学校休業期間見直し 渡島森町など 6市町56日以内に 檜山は全町で足並みそろえる

2面表  道教委は11月22日の教育委員会会議で長期休業期間に関する規則を改正。道立高校や特別支援学校における夏休みと冬休みについて、現行の50日から56日へ延長するとした。連続した25日以内とする...

(2023-12-06)  全て読む

当別町教委 西当別小と西当別中 6年夏までに設置 普通教室20室や職員室等

 当別町教委は今夏の猛暑を受け、6年度夏までに西当別小学校と西当別中学校の普通教室などにエアコンを設置する。普通教室20室のほか、職員室や校長室、プレイハウスなどにも導入。夏季休業明けに間に...

(2023-12-05)  全て読む

TOPPAN開発電子防災学習教材 全小・中学校に導入 木古内町教委 6年度から

木古内町TOPPANとの連携協定  【函館発】木古内町教委は、TOPPAN㈱が開発したデジタル防災学習教材を次年度から町内の小・中学校に導入する。発達段階に応じた災害に対する備えを段階的に学習できるシステムで、教員用の指導資...

(2023-12-04)  全て読む