【解説】法務相談でリスク回避を(解説 2024-01-12付)
社会環境の多様化・複雑化に伴い、学校が単独で解決することが困難な事案が増加している。文部科学省が昨年11月に発表した「教育行政に係る法務相談の整備等に関する調査」によると、スクールロイヤーへの相談内容で特に多い内容(複数回答)は「保護者等からの過剰な苦情、不当な要求」で、都道府県教委が76・9%、指定都市教委が93・8%、中核市・市町村教委が90・0%だった。
学校現場が相談しやすいよう工夫を講じる自治体も現れており、スクールロイヤーによる学校管理職向け研修会の開催、相談手続きの簡素化、学校訪問時における管理職とスクールロイヤーの顔合わせ場面の設定など様々な動きがある。
道教委はスクールロイヤーによる法務相談事業を3年9月から一部の地域で試行し、4年1月から全道に展開。利用者から「法的根拠に基づく助言によって安心を得た」「申請後、すぐに対応してもらい助かった」などの声が寄せられている。初期段階で相談していれば問題の悪化を回避できたものもあり、道教委は「相談しないことによるリスク(学校運営への影響)回避を」と活用を呼びかける。
文科省のウェブページでは、全国の都道府県・指定都市教委で作成した保護者からの苦情・要求への対応マニュアルや手引を公開。保護者からの提案・要望に、教師が個人として対応するのではなく学校組織として対応すること、学校での解決が困難な事案に関しては教育委員会など行政の責任で対応し、必要に応じて首長部局から支援を受ける体制を構築することが重要としており、6年度からモデルとなる事例の創出を行う新規事業の着手を計画している。
学校の働き方改革などが課題となる中、専門家と連携し、行政による支援体制の構築が求められている。
(解説 2024-01-12付)
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