【解説】高まる教育分野への関心
(解説 2024-01-16付)

 経済産業省は12日、イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会の初会合を開いた。財源を公財政に大きく依拠する教育分野において、企業・地域・個人など外部資源を活用する方策について検討を開始。好事例を創出・普及し、今後の施策へと反映させる。

 企業の社会貢献活動は増加しており、特に教育分野への関心が高い傾向にある。企業側は自社の認知度向上や将来の人材確保などの利点があるが「学校との接点がない」「手法が分からない」などの声も多い。

 教育分野への寄付を希望する個人も多く、経産省の4年度調査によると教育機関への寄付を「積極的にしたい」「検討しても良い」と回答した割合は44・1%。年収1000万円以上では50・1%と高い。一方、諸外国と比べわが国では寄付金の用途に不安を抱く割合が高く、受け入れ側の体制や説明不足、成功モデルの少なさが課題となっている。

 会議では①自治体・学校と企業・団体の教育分野における連携②教育分野における事業性・財源確保の方策③マッチング・認知面の課題―を論点として提起。自治体・学校が寄付を受け取りやすい類型の整理、ふるさと納税(企業・個人版)の効果的な活用、寄付・支援の増加・継続性の確保などの検討事項を示した。

 出席した鎌倉市教委の高橋洋平教育長は、3ヵ年で1500万円を調達したクラウドファンディング「鎌倉スクールコラボファンド」を発表。多様な企業・大学・NPOと連携した取組の実現、最先端の企業・団体と仕事をすることによる教師自身の教育観の広がりなど独自の財源確保による成果を示し、官民連携の架け橋となる教育委員会の役割やターゲットを明確にしたPR展開の必要性を説いた。

(解説 2024-01-16付)

その他の記事( 解説)

【解説】社会教育士ネットワーク化

 国は、社会教育人材が活動しやすくするために、社会教育ネットワークの構築に向けた検討を進めている。ネットワークに求められる機能やオンラインの活用等を含めた具体的な手法などを検討。ネットワーク...

(2024-01-23)  全て読む

【解説】幼児教育縦断調査を開始

 文部科学省は6年度から、幼児教育に関する大規模縦断調査事業を開始する。全国8ブロックから5歳児を対象に5年間の追跡調査を行い、子どもの成長に資する幼児教育の効果を科学的に検証。調査で得られ...

(2024-01-22)  全て読む

【解説】学校新築施設 7割が木材

 文部科学省は、4年度公立学校施設における木材利用状況調査結果をまとめた。4年度に新しく建築された全ての学校施設676棟のうち、7割を超える477棟で木材を使用。4年度に整備された学校施設で...

(2024-01-19)  全て読む

【解説】こども計画策定へ準備

 昨年12月のこども大綱の閣議決定を受け、今後各自治体で「こども計画」の策定が進むことが予想される。本道においては平成16年に「道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」を制定。社会全...

(2024-01-18)  全て読む

【解説】生成AIの社会実装へ

 生成AIが急速に普及する中、㈱ベネッセコーポレーションとウルシステムズ㈱が共同発起人となり、1月中に一般社団法人Generative AI Japan(代表理事、宮田裕章慶應義塾大医学部教...

(2024-01-17)  全て読む

【解説】日本語教育推進へ 道が方針

 道は10日の道議会総合政策委員会で、日本語教育の強化と総合的な体制整備を進める指針となる「北海道日本語教育の推進に係る基本的な方針(仮称)」の策定に取り組むことを明らかにした。ことし夏ごろ...

(2024-01-15)  全て読む

【解説】法務相談でリスク回避を

 社会環境の多様化・複雑化に伴い、学校が単独で解決することが困難な事案が増加している。文部科学省が昨年11月に発表した「教育行政に係る法務相談の整備等に関する調査」によると、スクールロイヤー...

(2024-01-12)  全て読む

【解説】能登半島地震 文科省の対応

 元日、石川県能登地方でマグニチュード7・6、最大震度7の地震が発生した。文部科学省がまとめた同省関係の被害状況(9日11時時点)によると、新潟県、富山県、石川県の3県を合わせて公立学校52...

(2024-01-11)  全て読む

【解説】本道少子化顕著に 将来推計人口

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月22日に公表した地域別将来推計人口によると、2050年における本道の14歳以下の人口は32万4909人。前回国勢調査が行われた20年と比...

(2024-01-10)  全て読む

【解説】教員養成大の教員就職率

 文部科学省は国立の教員養成大学・学部、国私立の教職大学院の5年3月卒業者・修了者の就職状況をまとめた。国立の教員養成大学・学部卒業者の教員就職率(大学院への進学者と保育士への就職者を除く、...

(2024-01-09)  全て読む