根室管内高校生が北方領土出前講座 返還運動展開の契機に 後継者研修でクイズや活動紹介
(道・道教委 2024-01-25付)

根室管内高校生による北方領土返還出前講座
北方領土返還出前講座

 根室振興局が主導する北方領土プロジェクト“N”の一環として、根室管内の高校生3人が14日、ホテル札幌ガーデンパレスで元島民後継者に向けて北方領土問題に関する出前講座を実施した。根室高校の穐元心菜さん(3年)、羅臼高校の三河里奈さん(3年)、中標津農業高校の柴田あかりさん(2年)が北方領土問題の歴史や概要を解説。自分たちで考案したクイズやこれまでの活動紹介を通じて、今後の北方領土学習や返還運動の広域展開への契機とした。

 北方領土プロジェクト“N”は、全国の先頭に立って返還要求運動を引き継ぐ後継者の育成を目的に、根室管内の高校生に焦点を当てた取組を展開する事業。3~5年度にわたる3ヵ年事業で、これまで管内で中高生向けにパンフレット配布やパネル展のほか、JR札幌駅前でデジタルサイネージ映像を活用した署名活動などを実施し、特に若年層をターゲットにした啓発活動を行ってきた。

 今回は、穐元さん、三河さん、柴田さんの3人が、公益財団法人千島歯舞諸島居住者連盟が主催する「後継者研修会」に講師として参加し、北方領土問題に関する出前講座を行った。

 講座の冒頭で、北方四島の帰属を巡る歴史をひもといた。日魯通好条約、樺太千島交換条約、サンフランシスコ平和条約をターニングポイントに置き、ソ連・ロシアとの交渉の経緯を解説し「北方領土は一度も外国の領土になったことがない。地理的にも歴史的にも日本固有の領土だ」と強く訴えた。

 つぎに、自分たちで考案した北方領土クイズを9問出題した。「根室管内の1市4町と択捉島で面積が広い方はどっち?」「北方領土の日はいつ?」「国後島の語源となったアイヌ語のキナ・シリの意味は何?」などと、参加者を巻き込みながら日頃の学習成果を発表した。

 続いて、3人が本年度の活動内容を振り返った。

 国後島4世の穐元さんは、根室高北方領土根室研究会の一員として、地元ラジオ局で返還運動に関する番組を毎週放送しているほか、内閣府を訪れて北方領土啓発次世代ラボに参加した経験を紹介。「私たちが生きている間に返還が実現されますように」と切に願っている。

 国後島3世の三河さんは、根室さんま祭りでの署名活動に参加した様子を動画で振り返った。「地元の方が優しく協力してくれたので緊張がほぐれて積極的に声をかけられるようになった。高校を卒業しても啓発活動を続けたい」と決意を表明した。

 歴史の教科書をきっかけに北方領土問題に興味を持ち「もっと知りたい。私にできることがあれば」という思いでメンバーになった柴田さん。“N”の活動に積極的に参加し、なかしべつ夏まつりでの北方領土返還要求中標津住民大会では大役を務めた。「ことしは学んだことをたくさん発表できた。これからも次世代に継承していたい」と意気込んだ。

 最後に、3人は返還実現へ「私たち若い世代が率先して行動を起こすことが大切。元島民の話に耳を傾けたり北方領土の環境問題などにも目を向けたりしていきたい」と思いを新たにした。

 参加した元島民や管内役場職員からは「非常に心強い。安心してバトンタッチができる」「高校生目線での周知活動で周りの大人の意識が変わる」「今後も共に活動を続けていきたい」などと感想が上がった。

(道・道教委 2024-01-25付)

その他の記事( 道・道教委)

能登半島地震の被災地支援へ 北海道から教職員派遣 避難先の学習指導など協力

 鈴木直道知事は24日の記者会見で、能登半島地震の被災地を支援するため、北海道の教職員の派遣に向けた準備を進めていることを明らかにした。中学生が二次避難を行っている社会教育施設や中学校におい...

(2024-01-26)  全て読む

帯農高と北森カレッジ 30日締結式 教育連携へ協定 教職員相互派遣や生徒交流等

 帯広農業高校(佐藤裕二校長)と北の森づくり専門学院(北森カレッジ、土屋禎治学院長)は、地域の森林づくりを支える担い手を育成するため、教育連携に関する協定を締結する。両校が持つ特性を最大限に...

(2024-01-26)  全て読む

道内489校で臨時休校 道教委 大雪の影響で

 道教委は、道内公立学校・園における災害による臨時休業状況(25日午前8時30分現在)をまとめた。大雪の影響による臨時休校は489校と今冬最多に。公立小・中学校全校が臨時休校となった市町村は...

(2024-01-26)  全て読む

日高振興局 高校生応援PJ始動 生徒のアイデア 政策に 地域に戻り活躍する人材へ

日高振興局高校生応援プロジェクト  【苫小牧発】日高振興局は、管内の人手不足解消に向け「ナナイロひだか高校生応援プロジェクト」をスタートした。高校生に地元を知り、郷土愛を育んでもらい、将来地元の担い手になってもらおうというも...

(2024-01-26)  全て読む

宗谷局 公立校長研修会 課題解決へ合意形成を 道教大院・北村特任教授が講話

宗谷局管内校長研修会  【稚内発】宗谷教育局は16日、宗谷合同庁舎を主会場に第2回管内公立学校校長研修会を開催した。オンラインを含め管内小・中学校長約50人が参加。道教育大学教職大学院旭川キャンパスの北村善春特任...

(2024-01-25)  全て読む

地域スポーツ指導者養成へ道教委 余市町でセミナー開催 2月3日 オンラインも

スポーツ指導者養成セミナーQRコード資料  道教委は、2月3日午前10時から「子どもたちのスポーツ環境を支える指導者養成セミナー」を余市町中央公民館で開催する。休日の部活動の地域移行を段階的に進める上で、新たなスポーツ環境の指導者を...

(2024-01-25)  全て読む

教育推進会議 第10期初会合 社会実装の視点 重視を 委員改選 新会長に中村委員

道教育推進会議  道教育推進会議は22日、札幌市内の北農健保会館で第10期第1回会議を開いた。会長に中村栄作委員(北海道科学大幹事)を選出するなど委員を改選。中村会長は本道を取り巻く経済をはじめとする環境の...

(2024-01-25)  全て読む

地元で進路実現へ! T―baseの冬期遠隔講習 共通テストや模試対応に384人

 道高校遠隔授業配信センター(T―base、阿部穣センター長)は昨年12月下旬から今月12日まで、冬期遠隔講習を実施した。大学入学共通テストや模試への対応、基礎学力の向上に向けた計18講座を...

(2024-01-25)  全て読む

道教委 探究チャレンジジャパン 道内外から37校が参加 2月1日 北大で成果発表会

探究チャレンジジャパン2次元バーコード  道教委は、S―TEAM教育推進事業の成果発表会「探究チャレンジ・ジャパン」の参加校として高校・特別支援学校37校を決定した。高校生が1年間にわたって取り組んだ探究活動の成果をポスターセッシ...

(2024-01-25)  全て読む

宗谷局など 1日防災学校研修会 子が自ら適切な行動を 活動成果や改善点を確認

一日防災学校研修会  【稚内発】宗谷総合振興局と宗谷教育局は12日、管内1日防災学校研修会をハイブリッド形式で開催した。参加者が本年度の1日防災学校の活動を振り返るとともに、次年度の改善点等を市町村ごとにグルー...

(2024-01-24)  全て読む