【リポート】中札内村教委 CS作文チャレンジ 地域とつながり表現力育む 大人がコメント添え子を応援
(市町村 2024-02-02付)

中札内CS作文チャレンジ
朝学習で小作文に励む中学生

 【帯広発】地域とのつながりの中で、子どもの自己表現力を伸ばす―。中札内村教委は、児童生徒が書いた小作文に、地域関係者がコメントを寄せる「CS作文チャレンジ」を推進している。地域の大人とのやりとりを通して、地域への愛着や作文に対する意欲の向上に効果を発揮。児童生徒からは「自分を見てくれているように感じる」と肯定的な意見が集まる。村教委は、取組の継続や対象学年の拡大を目指し、協力者の確保を検討する。

 昨年11月の中札内中学校。登校した生徒たちは、教員の朝学習開始の声と同時に、一斉に100文字程度の小作文を書き始める。テーマは「将来就いてみたい職種・職業」。「将来就いてみたい職業はあまりない」とつづる生徒の一人は「野球関係の仕事か、家が農家なので兄が継がないなら継ぎたい」と率直な思いを吐露。「考えながら生活していきたい」と締めくくった。

 およそ1ヵ月後、小作文に目を通した地域の大人からコメントが届く。「趣味や特技を生かした仕事に就くと毎日が楽しくなりそうだね」「これ!という職業に巡り合えるといいね」。日々の仕事に真摯に向き合う大人の視点を織り交ぜながら、子どもの考えや将来を後押しする言葉が並ぶ。

 村教委が4年9月から始めた「CS作文チャレンジ」でのやりとりだ。小作文のテーマは毎月、村教委が考案。「文化祭へのご案内」「ことしの漢字一文字」など、学校行事や季節等に応じ、子どもの個性が光り、大人も親しみやすい内容を心がけている。

 取組を開始した背景には、コロナ禍で絶たれた子どもと地域の関係性をつなぎ、地域コミュニティーの形成や郷土愛の醸成を図ることにある。月に1度、約1年間にわたって小作文を地域住民と交わす。ある中学生は、地域の大人が寄せるコメントに「以前の作文を覚えてコメントを書いてくれることもあり、自分を見ていてくれているように感じる」と笑顔を浮かべる。

 また、全国学力・学習状況調査や高校入試等において記述問題が増加傾向にあることも、小作文を題材にした理由の一つだ。小・中学校の管理職からは「教科指導外で日常的に文章を書く機会が設けられ、書くことへの抵抗感が少なくなっている」「地域からの反応が子どもの意欲につながっている」と、記述力の向上にも期待を寄せ、地域の協力に感謝している。

 約1年間の活動を通して、別の中学生は「短時間で考えをまとめられるようになった」と胸を張る。村教委がねらう「自分の考えを言語化する能力」の育成にも効果が発現していると言える。

 小学校6年生を対象に始めた取組は、5年度から中学校1年生にも対象を広げた。村教委は今後も、対象学年を拡大する構想を示す。

 一方で、現在は児童生徒83人に対し、取組に協力する大人は24人。「子どもが真剣に取り組んでいることに対して、真摯に向き合いたい」という教育活動への参加に積極的な地域性が土壌にあるが、今後の展開に当たっては、さらなる人員の確保が不可欠になる。

 こうした課題の解決に向けて村教委は、村内の高校生ボランティアに協力を求めたい考えだ。CS作文チャレンジを経験した高校生が、小中学生に寄り添ったコメントを寄せることで、義務教育期間で育まれた地域への愛着が深まり、主体的にボランティアに参加する姿勢のさらなる定着を目指す。

 上田禎子教育長は「大人からのコメントは自分を認めてもらう安心感があり、年齢の近い高校生からは共感や説得力が得られると思う」と語る。「地域と学校がつながるきっかけとなり、子どもの自己表現力を伸ばす一助となれば」と期待を寄せる。

 【帯広発】地域とのつながりの中で、子どもの自己表現力を伸ばす―。中札内村教委は、児童生徒が書いた小作文に、地域関係者がコメントを寄せる「CS作文チャレンジ」を推進している。地域の大人とのやりとりを通して、地域への愛着や作文に対する意欲の向上に効果を発揮。児童生徒からは「自分を見てくれているように感じる」と肯定的な意見が集まる。村教委は、取組の継続や対象学年の拡大を目指し、協力者の確保を検討する。

(市町村 2024-02-02付)

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