【解説】学校問題解決へモデル事業
(解説 2024-02-13付)

 コロナ禍が明けて学校に寄せられる保護者・外部からの苦情が増加している。道教委の調査では、道立学校・市町村立学校に寄せられた5年度の苦情等の発生件数(9月1日時点)は2318件と前年度の1032件から約2・2倍に増加。文部科学省の調査ではスクールロイヤーに寄せられる特に多い相談内容は「保護者等からの過剰な苦情、不当な要求」だった。

 社会環境が変化し学校単独で解決することが困難な事案が増加する中、文科省は6年度から行政による学校問題解決のための支援体制の構築に向けたモデル事業の着手を計画。学校管理職OBなどを「仮称・学校問題解決支援コーディネーター」として教育委員会に配置する試みで、学校・保護者からの相談を受けて事案の解決策を提示する。

 推進に当たり教育委員会では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、弁護士、医師などで構成する専門家チームを設置し、問題に応じて専門家との相談や学校派遣を行い解決に向けて助言する。

 取組の初年度となる6年度は都道府県教委6団体、市区町村教委17団体に事業を委託する予定。都道府県教委においては、広域的な支援体制を構築する観点から、アウトリーチ型の巡回相談会、指導主事・教職員対象の研修会の開催など知見の共有を図るとともに、市町村関係者のネットワーク化を進める。

 事業費に1億円を充て、コーディネーター配置に必要な人件費、専門家派遣の謝礼、旅費、巡回相談会、研修会の開催などを補助。

 コーディネーターのなり手には主に学校管理職OBを想定しているが、自治体の状況に応じ、より第三者性の高い外部弁護士などを配置することも可能とする。学校の勤務経験などの要件は設けない方向で検討している。

(解説 2024-02-13付)

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