【解説】学校課題解決へモデル事業
(解説 2024-02-16付)

 高校生の国際交流事業では、交流30年を迎えるカナダ・アルバータ州への渡航費補助を1・5倍に増額するほか、記念行事の開催を計画している。

 教育費の総額は2定補正後の前年度と比べ2・4%増加。道の一般会計予算案に占める教育費の割合は12・7%となり、5年度の11・9%から0・8ポイント上昇した。これには5年度から始まった定年引き上げが背景にあり、退職者が生じる年と生じない年が隔年で発生し、給与費の退職手当が大幅に増減することが要因。制度が完了する13年度までこの状態が続く。

 義務的経費は56億円と前年度から半減したが、5年度に道職員等退職手当基金積立金として約72億円を措置したことが主な要因。積立金や給与費を除く教育費と比較すると3億円程度の増額となるが、5年度はインターハイの開催準備や物価高騰に伴う諸経費もあり、実施的な教育費の大幅な増減はない。

 新規事業は10事業と例年以上に多く、教頭業務支援員の新規配置、医療的ケアの外部委託の検証など、直面する学校課題の解決に向けたモデル事業が目立つ。新規事業はないものの、学力・体力の向上、いじめ対応、STEAM教育、高校の普通科改革などの重点施策を継続するための経費も措置した。

 GIGAスクール構想の第2期を見据え、公教育の必須ツールである1人1台端末の更新が始まる。道教委は今後、道内の自治体が参画する協議体を設立し、市町村の需要を調査して調達を開始する。

 6年度は学校における働き方改革のさらなる加速化、教員の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進める国における改革の集中改革期間が始まる節目の年となる。社会環境の変化に伴い学校単独で解決することが困難な事案が増加する今こそ、学校を支援する一層の体制整備が求められており、モデル事業を踏まえた好事例の普及・拡大に期待がかかる。

(解説 2024-02-16付)

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