【解説】120自治体で心の健康観察導入
(解説 2024-02-19付)

 文部科学省は、ICTツールを活用して悩みや不安を抱える児童生徒の早期把握・早期支援を行う「心の健康観察」導入に向けた公募を開始した。6年度の採択自治体は120程度を見込んでおり、3月下旬に決定する。

 不登校、いじめ、自殺する児童生徒が増加する中、文科省は10億円を投じて心の健康観察の導入を計画。児童生徒のメンタルヘルスの悪化、援助要請、学級の変容などを教職員が察知し、問題が表面化する前から積極的な支援を図る。

 ICTツールは、無料ソフトから各教育委員会が独自に作成する方法と、民間事業者が開発したアプリを活用する方法がある。有償アプリは日々の気分や体調の確認、相談・アンケート機能のほか、蓄積したデータから支援の必要性を示す機能、保護者から見た子どもの変容を共有する機能、不安を軽減する選択肢を示す機能などがある。

 事業を受託する教育委員会は運営協議会を設置し、ICTツールや対応ルールなど全体の方針を決定。操作方法や対応フローに習熟する教職員研修、児童生徒・保護者への普及・啓発、自殺予防教育など準備を進める。

 文科省のアンケートによると、先行して取り組む自治体からは「相談件数やいじめの認知件数が増加した」「児童生徒の悩みの早期発見が可能になった」などの成果が挙がる。全ての教職員が児童生徒の状況を確認できることから「学校全体で見守る意識が向上している」との声もある。

 一方、現場ではデータを確認する新たな業務が発生し、教員がアプリに習熟する時間も必要になる。文科省の調査研究協力者会議で出席者から「児童生徒が抱える悩みを見逃すことなく、きめ細かく対応するための十分な時間・人員が必要だ」と指摘されている。

(解説 2024-02-19付)

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