利尻富士町教育行政執行方針 サッカーで合同チーム 長期休業56日間に延長
(市町村 2024-04-03付)

利尻富士町吉田秀昭
吉田秀昭教育長

 【稚内発】利尻富士町教委の吉田秀昭教育長は、第1回町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。中学校部活動の地域移行については、少年団活動として行ってきたサッカー種目で鬼脇中学校と鴛泊中学校との合同チームを新たに設置。部活動顧問や地域指導者のもと、平日の活動も地域に移行していく方針。学校の熱中症対策では、国の交付金を活用した冷房設備の全校導入を実施するとともに学校管理規則における休業期間を56日間に延長し、弾力的な学校運営に努めるとしている。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼可能性を引き出す小中一貫教育の推進

 これからの子どもたちは視野を広げ、主体的に様々な変化や課題と向き合う中で人と人とが結び付き、尊重し合い、協働しながら、より良い未来の実現に向かって前進していく力が求められている。どんな社会にも主体的に対応し、持続可能な社会の創り手となるためには感性を働かせ、目的を考え出し、目的に応じた創造的な問題解決を行うことができる人間の強みが重要になると考え、ふるさと利尻富士での学びや豊かな体験、文化芸術やスポーツでの感動体験などを通じて、多様な人とつながり感情を共有し、より良く生きる力を育む取組を重点的な施策として位置付け推進していく。

 6年度、小中一貫教育における在籍予定児童生徒数は、鴛泊地区で91人、鬼脇地区で44人の計135人。5年度と比較すると2人の減少となる。鴛泊小学校では2・3年の学級が学級編制の基準によって複式学級となり、今後も複式学級の増加が予想されるが、環境の変化を見据え大きな変化があったとしても持続的で魅力ある学校教育を推進する準備と体制づくりが必要。

 そのため、少人数学級や複式学級での利点を生かしながら基礎的・基本的な学力の確実な定着と一人ひとりの子どもの発達段階を考慮し、個に応じたきめ細かな指導計画による「個別最適」で「協働的な学び」に基づく学習スタイルの統一をさらに目指していく。

▼学びと質を高める環境の確立

 日々の授業で使用する小学校用教科書が6年度から新たな採択のもと使用されることから、指導用教科書を更新し、授業での児童のタブレット端末やデジタル教科書をシームレスな授業展開に結び付けていく。

 教員のICTスキルやリテラシー向上を図るため「学校デジタル推進協議会」を主体としてインターネット関連合同会社との継続した研修事業を展開していく。

 コロナ禍の生活は、学校や家庭における生活や環境を大きく変化させ、いじめ・不登校児童生徒数の増加や体力低下など、子どもたちの行動等に影響を与えている。

 複雑化・多様化した課題の解決に向けては、北海道医療大学との連携により、子どもたちの心と環境の改善へ向けたスクールカウンセリングをはじめとする児童生徒の個別のストレスチェックや大学教員による教職員や住民向けメンタルヘルス研修や講演会を開催するとともに、大学生のボランティア実習の受け入れを実施し「メンタルヘルスケアの先行地域」にすべく健康保持増進に係る取組とした「道医療大学メンタルヘルス連携事業」を新たに展開する。

 近年の猛暑は学校生活に支障を来し、児童生徒等の命や健康を脅かす状況が続いており、学習環境の改善は喫緊の課題であることから、国の交付金を活用した冷房設備の全校導入を実施するとともに学校管理規則における休業期間を56日間に延長し、弾力的な運用を図りながら子どもたちの学びの場と学校活動が充実できる学校の暑さ対策のほか、学校施設の安全対策を進めていく。

▼地域との持続可能な教育活動の実現

 国の指針による中学校の「部活動地域移行」は、7年度までに休日での活動を段階的に移行できるよう、他の市町村でも検討の取組が進められ、その多くの課題は指導者の確保とされており、地域クラブ活動として運営方針を決定した自治体が少数にとどまっている中、本町では昨年「地域移行協議会」を設置し、ニーズ調査をはじめとする検討協議を進めてきた。

 これまで生徒数が減少する中でのスポーツ系の部活動の主体は、バドミントンと卓球の個人競技のほか、中体連などの試合では合同チームを想定した鴛泊中学校サッカー部が活動をしている。

 特に鬼脇中では、これまでバドミントン種目のみの活動であったため他種目の選択肢がなく、全生徒が所属し活動を続けてきたが、ニーズ調査の結果や地域からの声を踏まえて、これまで少年団活動をしてきたサッカー種目を新たに設置。

 鴛泊中との合同チームとして部活動顧問や地域指導者のもと、平日も含めて地域に移行することで、中体連への出場や「地域クラブ」として登録することによって、ほかの大会への出場の機会が増え、生徒の競技の機会と主体的な参加の活動を通した自主性や豊かな心の育成に寄与でき、指導者も確保できることから、6年度からサッカー部を一部種目として地域へ移行する運営方針を決定した。ほかの種目についても7年度までに当協議会において協議を続ける。

(市町村 2024-04-03付)

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