旭川市 6年度教育行政方針 いじめ防止へ 旭川モデル充実 SC派遣やActサミット等
(市町村 2024-04-08付)

旭川市野﨑幸宏
野﨑教育長

 【旭川発】旭川市教委の野﨑幸宏教育長は6年度教育行政方針において、学校や市長部局と一体となっていじめの未然防止や早期発見、重大化防止を重点的に取り組む「旭川モデル」の充実を図る考えを示した。いじめ防止対策として、スクールカウンセラーの派遣によって相談体制の充実を図るほか、関係機関や団体と連携した人権教育等の実施や生活・学習Actサミットの開催などを進める。

 教育行政方針の概要はつぎのとおり。

【学校教育】

▼子どもたちに未来を生き抜く力を育む

 確かな学力の育成については、各学校において健康面に配慮しながら、ICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実することにより、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進める。

 そのため、教職員向けの研修会や学校訪問等を通して、本市の先進校による実践事例を普及させるとともに、全国学力・学習状況調査の結果分析に基づき作成した「指導の改善策」や、日々の授業づくりの要点をまとめた「授業ポイント集」の活用促進を図る。

 タブレット端末の持ち帰りをかばんの重さ等に配慮しながら、全ての小・中学校で実施する。

 英語教育については、各学校にALTおよび小学校外国語活用サポーターを派遣するほか、長期休業期間に児童生徒を対象としたイングリッシュ・チャレンジ教室を実施するとともに、教員の英語力や指導力の向上を図る研修会を開催する。

 いじめの防止対策の充実については、市いじめ防止対策推進条例や市いじめ防止基本方針に基づく施策を推進し、学校・教育委員会と市長部局が一体となったいじめ防止対策「旭川モデル」の一層の充実を図る。

 いじめの未然防止に向け、関係機関や団体と連携した人権教育等の実施や生活・学習Actサミットの開催を通じ児童生徒の主体的な活動の支援に取り組む。

 スクールカウンセラーの派遣によって、各学校における相談体制の充実を図るとともに、いじめ対策に係る研修や学校訪問の実施により、いじめの積極的かつ幅広い認知や迅速な対処等の組織的な対応を徹底する。

 不登校への対応については、教員による教育相談や家庭訪問と併せ、スクールカウンセラーによる支援を継続し、未然防止や初期対応の徹底を図る。

 不登校児童生徒の登校再開や社会的自立に向け、教育支援センター「ゆっくらす」において、通室できない児童生徒に対し、オンラインによる対応などICTを活用した支援に新たに取り組むとともに、教員や保護者等を対象とした講演会を開催するほか、関係機関とも連携し、児童生徒一人ひとりの状況に応じた対応や保護者への支援を進める。

 豊かな心の育成については、道徳教育の一層の充実に向け、引き続き研修会を開催し、授業改善を図るほか、児童生徒に命の大切さや思いやりの心を育成するため「生命(いのち)の安全教育」やSNSに関する学習を全学校で実施するとともに、パラアスリートを講師とした体験活動等を実施する。

 健やかな体の育成については、児童生徒自らが目標を持って生活し、運動に取り組むことができるよう、教員研修を通じて、体育授業の改善を進めるなど、学校における体力向上等の取組の充実に努める。

 学校給食については、安全・安心を確保するため、給食調理施設の適正な維持管理や職員研修の実施など、衛生管理と安全管理の徹底を図る。

 学校給食を通じ、食の大切さはもとより、地産地消、地域の食文化などについて幅広く学ぶことができるよう、生産者との交流なども行いながら食育を進める。

 物価上昇による家計の負担増が続いていることから、5年度に引き続き、学校給食費を4年度と同額とし、保護者の負担増とならないよう支援する。

 子どもたちの多様な個性を伸ばす教育の推進については、児童生徒のふるさと旭川への理解を深め、郷土への愛着と誇りを育むため、キャリア教育等で活用できる地域人材や施設のリストを拡充し、各学校における地域の教育資源を効果的に活用した特色ある教育活動の推進を支援する。

 特別支援教育については、増加傾向が続いている特別な支援が必要な児童生徒のニーズにきめ細かに対応するため、専門員による具体的な助言や研修によって教員の専門性のさらなる向上に努めるとともに、補助指導員を増員し、医療的ケアを含めた児童生徒の支援体制の充実を図る。

▼子どもたちの学びの環境を整える

 児童生徒の安全については、昨今の猛暑対策として、6年夏までに保健室、多目的室等にエアコンを整備するとともに、9年度までに小・中学校全ての普通教室および職員室へのエアコン整備を目指す。

 学校の増改築については、7年度2学期からの供用開始に向け、永山西小学校の工事を継続するほか、新たに豊岡小学校の体育館についても8年度からの供用開始に向け、工事を実施する。

 耐震化については、日章小学校および明星中学校の補強工事を継続するほか、雨紛小学校についても実施する。

 体育館のバスケットゴールの落下防止対策や、窓ガラスの飛散防止措置等の非構造部材の耐震化に着手するほか、校舎内照明のLED化および防犯カメラについて、7年度の全小・中学校への整備完了を目指し、順次工事を進める。

 小・中学校の適正配置については、市立小・中学校適正配置計画に基づき、地域の実情を踏まえ、保護者や地域住民の理解を得ながら学校の統合や通学区域の見直しに取り組む。

 また、6年度で第2期の計画期間が終了することから、これまでの経過や児童生徒数の推移などを踏まえ、次期適正配置計画の検討を進める。

 就学援助制度については、関係部局と連携し、各種制度や相談窓口についても周知するなど、支援制度活用に当たっての保護者負担の軽減ときめ細かな情報提供に努める。

▼子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる

 地域の理解と協力を得た学校運営に向けて、各学校におけるコミュニティ・スクールの取組を着実に進める。

 中学校の部活動については、休日の部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向け、各競技等に関する専門的な知識や技術を有し、部活動を単独で指導できる部活動指導員の配置拡充を図るとともに、市長部局や各競技団体等と連携した取組を進める。

 全ての教員が教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、自律的かつ継続的に新しい知識や技能を学び続けることができるよう、研修機会の充実に努めるとともに、研修履歴を活用した受講奨励を行うことにより、教員の資質・能力の向上を図る。

 一人ひとりの教員が持っている力を高め、発揮していくためには、教員がゆとりを持って子どもたちと向き合うことができる環境を整えることが重要であることから、保護者や地域の人々の理解と協力を得ながら、市立小・中学校働き方改革推進プランに基づき、学校における働き方改革を推進する。

 服務規律の順守については、教職員一人ひとりが教育公務員としての自らの責任の重さを再確認し、不祥事根絶に向け強い危機意識を持って職務の遂行に当たるよう徹底する。

(市町村 2024-04-08付)

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