教職員の業務改善の取組を改訂 変化の実感を目標に 若手を孤立させない支援等 函館市教委(市町村 2024-05-07付)
【函館発】函館市教委は、教職員の長時間勤務や働き方の改善方針「教職員の業務改善のための取組」を一部改訂した。道教委の学校における働き方改革北海道アクション・プラン(第3期)を踏まえ「教職員一人ひとりが“変わってきた”と実感できる働き方改革の推進」を目標に設定。余剰時数を必要最小限とする適切な教育課程の編成・実施、若手教職員を孤立させない支援、子育てや介護を行う教職員に対する両立支援制度の周知を新たに盛り込み、児童生徒と教職員のウェルビーイング向上を目指す。
平成29年度の策定から3回目の改訂。道教委の6~8年度までの計画をもとに、市として取組事項を整理した。
市教委が調査した5年4~9月までの時間外在校時間調査によると、月45時間以内の教員の割合は6~8月にかけて上昇傾向にある一方、学校行事等が比較的多い6月と9月においては小学校で約20~30%、中学校で約40~45%の教員が超過勤務傾向にある。
昨年9月に実施した持ち帰り業務の把握アンケート調査では、6割以上の教員が持ち帰り業務を行っている実態が明らかとなり、特に担任を持っている教員が負担を抱えている傾向が見られた。
こうした状況を踏まえ、市教委は「働き方改革が道半ばにある状況」と分析。方針に示す教員の時間外在校等時間の目標は1ヵ月45時間以内、1年間360時間以内を継続するとした。
具体的な取組内容では、メールを使った保護者との欠席連絡やグーグルクラスルームを通した学級通信など、各校で比較的実践が進んでいるICTを活用した校務効率化の推進を設定。市教委側の対策では、少人数指導および教科担任制の充実、免許外教科担任の解消を図る専門スタッフの配置促進やスクールカウンセラー、特別支援教育巡回指導員の活用など外部人材の配置を進め、学校現場の負担軽減を支援する。
今回の改訂で学校現場に期待する重点項目は大まかに「適切な教育課程の編成・実施」「若手教職員への支援」「ワーク・ライフ・バランスを意識した両立支援制度の適切な活用」の3点。
教育課程の編成についてはコロナ禍を経て取組が進んだ学校行事の精選・見直しなどをもとに、国の答申で示された年間1086単位以下の余剰時数編成を指標とする。
若手教職員に対しては、一人で仕事を抱えていたり、悩んでいたりする場合に声かけを行うなど必要に応じた支援を推進する。子育て、介護を行う職員が仕事と家庭生活を両立できるよう、管理職による両立支援制度の情報提供を呼びかける。
市内全市立学校では5年度から留守電機能を設置しており、小学校が午後6時~午前7時30分まで、中学校が午後7時~午前7時30分までの時間帯、保護者や地域に対し、学校への勤務時間外の連絡を控えるよう理解・協力を得る取組を推進している。
市教委によると、地域に対する協力を得られた場合には独自に時間帯を延長することも可能としており、メールによる連絡体制の活性化が進むなどの成果も見られたという。
櫛田朝子教育政策課長は「学校の実態に応じた働き方改革を通して、子どもと向き合う時間の確保につながるとともに、教職員のウェルビーイング向上につながれば」と期待する。
(市町村 2024-05-07付)
その他の記事( 市町村)
函館市教委 休日の推進計画策定へ エリア別拠点校方式 8月ごろから試行 8年度以降 地域クラブ移行
【函館発】函館市教委は本年度、学校部活動の地域連携・地域移行等に関し、将来的な学校部活動の廃止に向けた検証を本格的に開始する。現在の3年生が引退する8月ごろから休日部活動の拠点校方式を試行...(2024-05-24) 全て読む
網走市教委 学校力向上地域協議会 ウェルビーイング実現へ ICTや共同事務室など協議
【網走発】網走市教委は14日、網走小学校(畠山治夫校長)で学校力向上に関する総合実践事業6年度第1回地域協議会を開催した。岩永雅浩教育長をはじめ、市教委の職員、中核校の網走小、各指定校の校...(2024-05-21) 全て読む
中札内村 中学校部活動で地域指導者 体づくり運動指導開始 野球部 競技の動きに関連持たせ
【帯広発】中札内村で6年度から、中学校部活動顧問等の依頼を受け、地域在住のパーソナルトレーナーが競技に応じたウオーミングアップメニューを生徒に指導する取組が始まった。9日、中札内中学校野球...(2024-05-20) 全て読む
鹿部町教委 目指す教育実現 子の幸せ達成へ連携を 研修会で児玉教育長が講話
【函館発】鹿部町教委は7日、鹿部中学校で第1回研修会を開いた。「鹿部町がめざしている教育」をテーマに、児玉貢教育長が教育現場におけるデジタル化の推進や不登校支援の充実など今後の方針を踏まえ...(2024-05-16) 全て読む
知内高 全国募集強化 地域みらい留学に参画 知内町教委 3ヵ年計画で魅力化
【函館発】知内町教委は知内高校の2間口維持に向け、本年度から3ヵ年計画で同校の魅力化事業に本腰を入れる。4月26日の第3回臨時市議会で一般会計補正予算案に417万円を計上。「地域みらい留学...(2024-05-07) 全て読む
伊達市 6年度教育行政執行方針 教育DXで働き方改革 長期休業期間拡大や冷房設置
【室蘭発】伊達市教委の影山吉則教育長は、6年度教育行政執行方針で「教育DX」による学校の教育活動や校務等のデジタル化を図ることにより、教職員の働き方改革はもとより、児童生徒がデジタル社会を...(2024-05-01) 全て読む
足寄町6年度教育行政執行方針 効果的なICT活用へ 人材育成 研修履歴を活用
【帯広発】足寄町教委の東海林弘哉教育長は6年度教育行政執行方針において、1人1台端末を効果的に指導計画に位置付けるほか、複式教育や長期欠席児童生徒への支援等、多様なICT活用を図ることを示...(2024-04-26) 全て読む
岩内町6年度教育行政執行方針 放課後学習支援に着手 義務校8年度開校へ準備
【小樽発】岩内町教委の三浦宣彦教育長は6年度教育行政執行方針において、8年4月の開校を目指す義務教育学校について各種検討会議の開催を通じて必要な事項を調査・検討するほか、新たに放課後や長期...(2024-04-25) 全て読む
積丹町6年度教育行政執行方針 デジタルドリルを導入 中学生向けに電子教材も
【小樽発】積丹町教委の原光宏教育長は6年度教育行政執行方針において、放課後学習や家庭学習において使用できるデジタルドリルや中学生向けにプログラミング学習用のデジタル教材を導入し、学習の質の...(2024-04-25) 全て読む
5年度地学協働活動で外部人材活用 小・中学校で465件 音更町教委 8割でリスト活用
【帯広発】音更町教委が地域学校協働活動の推進を本格化した5年度、町内小・中学校における外部人材の活用が465件に上った。うち町教委が作成した外部講師リストを活用したケースは約8割。福地隆教...(2024-04-23) 全て読む