札幌市7年度重点要望案①(札幌市 2024-06-10付)
札幌市は、5月中旬の市議会大都市税財政制度・DX推進調査特別委員会に7年度重点要望案を提出した。教育関連施策をみると、最重点要望事項に4項目を掲げたほか、重点要望にはGIGAスクール構想に要する経費に係る財源補助などを位置付けた。ここでは、各要望事項の詳細を連載で紹介する。
最重点要望
子どもの成長・学びの環境整備に向けた支援
【配置基準の見直しを含む保育士等の処遇改善に向けた支援】
▼要望内容
▽保育士および幼稚園教諭・保育教諭(以下、保育士等)の処遇は公定価格において段階的に改善が進んでいるものの、賃金水準はいまだ低い状況にあることから、保育士等の処遇改善のさらなる拡充を要望
▽具体的な見直しに至っていない2歳児以下の保育士の配置基準について、7年度からの確実な見直しの実施を要望
▼要望の背景等(現状・課題等)
▽札幌市においては、女性の社会進出等による保育ニーズの増加に合わせて、施設の整備を進め、保育の質の向上にも努めてきたが、人材確保の困難化などもあり、保育施設の定員を満たしていない施設の割合が増加。
保育士等の処遇改善については公定価格において段階的に拡充されてきているものの、全職種平均と比較し保育士等の賃金水準が低く勤務年数が短い状況を踏まえ、保育士等の確保および資質の向上を図り、「長く働くことができる」職場を構築するため、保育士等の処遇改善が必要である。
▽保育ニーズの多様化・複雑化に伴い保育現場の負担が重くなっている中、保育の質の向上を図っていくため、安定的な人材確保や職場定着に資する取組が必要である。
保育士の配置基準については、3歳以上児は6年度から基準が改正されたものの、1歳児は7年度以降の見直しとされ、乳児や2歳児の見直しは予定されていない。より細かな目配りや個別の対応が求められる乳児や低年齢の幼児の保育について、十分に安全が確保できる保育環境を実現するため、早急な配置基準の見直しが必要である。
【いじめや不登校等の教育現場の課題解決に向けた支援】
▼要望内容
▽いじめや不登校等の課題を抱える児童生徒への対応を充実させるため、関係法令等の改正によるスクールカウンセラー(SC)およびスクールソーシャルワーカー(SSW)の教職員定数化と養護教諭の全校複数配置を可能とするよう配置基準の見直しを要望
▼要望の背景等(現状・課題等)
▽札幌市では「札幌市いじめの防止等のための基本的な方針」を改定し、養護教諭、SCおよびSSWを学校いじめ対策組織の構成員として位置付けるなど、学校がいじめ問題に実効的に対応するための組織体制の強化を図っているところ。
一方で、SCおよびSSWの活用事業に対する国庫補助については、計画の事業量に見合う財政措置が取られておらず、配置時間数や配置人数の拡大に限界があるところ。
また養護教諭については、教職員定数の標準に関する法律において、一部の大規模校のみ複数配置とされている。
いじめに加え、不登校、虐待等の課題を抱える児童生徒への対応を充実させるためには、関係法令等の改正によってSCおよびSSWを教職員定数として算定し国庫負担の対象とするとともに、養護教諭の全校複数配置が必要である。
▼札幌市の配置状況(6年度)
▽スクールカウンセラー
・会計年度任用職員を全校に1人配置
・1校当たりの配置時間(年)=小学校140時間、中学校等280時間
▽スクールソーシャルワーカー
・会計年度任用職員(週30時間勤務)15人が全校を巡回によって支援
▽養護教諭
・国の教職員定数の標準に基づき、小学校は児童数851人以上、中学校等は生徒数801人以上の場合に養護教諭を複数配置
(札幌市 2024-06-10付)
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